1964年には、世界保健機関の専門委員会は、嗜癖 (addiction) の用語を依存症 (“dependence”) と置き換え、依存症の定義を、定期的または継続的に薬物を反復的に摂取している状態とした[26]。
1980年代には欧米で、LSDのような身体的依存や渇望を起こさず、単に意識を変容させるための好奇心から乱用される薬物についての議論が持ち上がり、嗜癖 (addiction) という言葉で区別されたが、依存と嗜癖の用語は一般的には混同される[7]。
は依存症の意味での中毒の語は破棄して、依存症の語の使用を提案している[5]。医学的に中毒 (intoxication) とは、依存ではなく、過剰摂取によって有害作用が生じている状態である[6]。レクリエーショナルドラッグ(英語版)とは、活力や、多幸感 (Euphoria) や快感を生じさせるという目的での薬物の使用を描写するための、比較的新しい医学的でない用語である[26] 「まだ大丈夫」・「自分はいつでも止められる」と問題性を否認しているうちに、肉体・精神・実生活が徐々に蝕ばまれ、やがて依存しなければ日常生活もままならない状態となり、最終的には依存者本人の人生をも破壊していく。それだけでなく、家族などの周囲をも巻きこむ場合も多く、社会生活や生命の破滅にいたることも稀でない。 強迫性障害に伴う気分変調を紛らわすという目的で薬物に依存し、アルコール依存症などに陥る場合もある。ニコチン依存症は喫煙のように、依存者自身やその周囲にいる他者へ受動喫煙として悪影響を与えることで、生活習慣病や重大な死因、気管支の疾患や胎児へ影響し、健康に対する影響が社会的に甚大となる薬物もある。 アルコールへの依存も、未成年者の脳の発育や胎児、生活習慣病や肝臓の疾患に影響する。これらを日本での社会的な費用に換算すると、喫煙は社会全体で約4兆円の損失、アルコールは社会全体で医療費や収入減などを含め約6兆6千億円になるとされる[27]。2008年には、日本の薬物の治療施設において鎮静剤の患者が第2位となり急増しており、医療観察法によって入院となった者でも入院前に依存・乱用が気付かれていた者はその3分の1である[14]。
影響