薬物乱用
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2002年初頭にWHOは、世界では1.4億人がアルコール依存、4億人がアルコール利用障害を抱えていると報告している[21]
児童青年

薬物・アルコールの初回使用は、多くは青年期であり、青年期後期では物質使用経験は一般的である[22]

米国においては、2010年の全国Monitoring the Futureサーベイによれば、12学年生(17-18歳)の48.2%について、これまでに何らかの違法薬物使用経験があった[23]。同調査では、過去30日について、12学年生の41.2%がアルコール使用、19.2%がタバコを使用していた[23]。CDCによれば、2009年には米国の約21%の高校生が、処方箋なしで処方薬を保持していた[24]

また英国においても、16-24歳の青年において最も罹患率が高い疾患は薬物乱用であり、これは環境的、家庭、経験、精神保健、教育などの面でディスアドバンテージを抱える青年層においては有病率は24%に跳ね上がる[22]
規制条約

国際的には、1961年に麻薬の乱用を防止する国際条約である麻薬に関する単一条約が公布された。その後、1960年代に医薬品として広く流通した幻覚剤のLSDや鎮静催眠剤の非バルビツール酸系ベンゾジアゼピン系の乱用により、1971年に向精神薬に関する条約が、その乱用を防止する目的で公布された。1988年には、麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約が公布された。

2011年には、NGOの薬物政策国際委員会が、麻薬に関する単一条約にはじまる薬物との戦いの失敗を宣言し、社会や市民に悲惨な結果がもたらされたという言及とともに薬物政策の見直しを求め、有害性と法律が合致していないことも指摘されている[25]

2018年11月には国連システム事務局調整委員会は、国連システムとしての薬物問題への対処法を確認し声明を出したが、人権に基づくこと、偏見や差別を減らし科学的証拠に基づく防止策や治療・回復を促すこと、薬物使用者の社会参加を促すことといった考えが含まれている[26]。2019年6月には、国際麻薬統制委員会 (INCB) も声明を出し、薬物乱用者による個人的な使用のための少量の薬物所持のような軽微な違反に対して懲罰を行うことを薬物を規制する条約は義務付けておらず、そのような場合には有罪や処罰ではなく治療や社会への再統合という代替策があるとした[27]
日本の現状(司法)

タバコアルコールに関しては、喫煙、飲酒者の4人に1人が20歳未満の時に喫煙飲酒を始めている。未成年でアルコールやタバコを経験すると、薬物の乱用に興味をもちやすくなるといわれる。

2004年に行われた有床精神科医療施設に対する調査では、違法な薬物の単独使用は、51%が覚せい剤である。有機溶剤は17%と2位であるが、初回使用薬物としては45%を占め、薬物乱用への入門薬としては軽視できず、低年齢の乱用者が多いことも問題とされる。

2008年現在は、覚せい剤の「第三次乱用期」であり、乱用薬物の中でもっとも深刻な問題を引き起こしている。日本における違法薬物や禁制品の流通は、暴力団などの反社会的勢力にとって伝統的であり、割合としてもきわめて大きな資金源となっている[28]

また、麻酔科医師が医療用麻薬の自身への不正使用によって薬物依存に至ったり[29]、死亡するケースも存在している。
薬物乱用対策(司法・行政)日本の少年院で使われる薬物非行防止指導用教材

薬物乱用や違法薬物製造は全世界で広がりを見せており、発展途上国の外貨獲得産業として違法薬物製造が生産され、人間の生命や、社会や国家の安定を脅かすなど、人類が抱える最も深刻な社会問題の1つとなっている[30][31]

1987年(昭和62年)に開催された国際麻薬会議において、その終了日(6月26日)を国際麻薬乱用撲滅デーとし、各国がこの宣言の趣旨を普及するよう促した。また、1998年(平成10年)の国連麻薬特別総会においては、「薬物乱用防止のための指導指針に関する宣言」(国連薬物乱用根絶宣言)が決議されている。

2004年(平成16年)に開催された国際連合本部で「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」に関し、公衆衛生分野における初めての多数国間条約として、本条約が発効された。日本も同条約の締結を行い、タバコ規制のための国家能力の構築を図ることを決議された。

日本においては、違法麻薬の薬物乱用に対する警戒心や抵抗感が薄れるなど「第三次覚せい剤乱用期(1997年から現在まで)」が続いている。このような状況を早期に終息させるため、日本政府は薬物乱用対策推進会議(議長:厚生労働大臣)を設置し、薬物乱用防止五か年戦略(最新は2018(平成30)年8月決定の第五次)のもと関係省庁が連携して薬物乱用防止対策に取り組んでいる[32]。また、厚生労働省では、関係省庁の協賛や関係団体の後援を得て、平成5年度(1992年)より「6・26国際麻薬乱用撲滅デー」を広く普及し、薬物乱用防止をいっそう推進するために、「薬物乱用防止ダメ。ゼッタイ。」運動を実施している。
社会と文化
経済的コスト

イギリス内務省は、薬物乱用による英国への経済・社会的コスト(犯罪・病欠・疾病)は、年間200億ポンドに上ると推定している[33][34]
用語

キメる:違法薬物を使用すること[
要出典]。


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