薬局
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「かかりつけ薬剤師」は、患者から同意を得た薬剤師が、市販薬も含めて患者の服薬状況を把握し、24時間体制で相談に応じる。必要に応じて患者宅を訪問して残薬の整理もする[9]

厚生労働省の『患者のための薬局ビジョン』[10]では以下の3つの機能を求めており、団塊の世代後期高齢者に達する2025年までに、全ての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つことを目指しすとした。

服薬情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導

24時間対応・在宅対応

かかりつけ医を始めとした医療機関等との連携強化

かかりつけ薬局は、制度の浸透が大きな課題となっている。内閣府が2020年10月に行った調査では、薬局を一つに決め、薬剤師を一人に決めているか聞いたところ、「かかりつけ薬剤師・薬局を決めている」と答えた者の割合が7.6%、「薬局は一つに決めているが、かかりつけ薬剤師は決めていない」と答えた者の割合が18.4%、「病院や診療所ごとにその近くにある薬局に行く」と答えた者の割合が57.7%となっていて[11][12]、かかりつけ薬局よりも門前薬局のほうが多く利用されている実態が浮き彫りになった。
健康サポート薬局

2016年2月12日、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成28年厚生労働省令第19号)」[13]により規程された。 かかりつけ薬剤師の基本的な機能を備えた上で、地域住民の健康づくりを積極的に支援する「健康サポート機能」を持つ薬局のこと[14]。厚生労働大臣が定める一定の基準をクリアし、都道府県知事に届出を行った薬局だけが、健康サポート薬局と表示できる[14]
健康サポート薬局の多くは、薬局の外にロゴマーク(アルファベットの「S(support)」をモチーフに取り入れたもの)を表示している[15]。全国の届出件数は、制度創設から2年が経過した2018年11月30日時点で1,147件[14]、2019年12月27日時点で1,797件[16]

健康サポート薬局は、制度の周知が大きな課題である。内閣府が2020年10月に行った調査では、健康サポート薬局について知っていたか聞いたところ、「よく知っていた」と答えた者の割合が1.5%、「言葉だけは知っていた」と答えた者の割合が6.5%、「知らなかった」と答えた者の割合が91.4%となっていて、厚生労働省は周知を図る考えである[11][12]
病院の薬局(調剤所)

病院、診療所など医療施設内に設置された薬局と呼ばれる施設は、法的には調剤所といい、その施設の医師の処方箋に基づいた調剤をする施設である。これには薬局開設許可は不要であるので、他の医療施設からの処方箋を調剤することはできず、また一般用医薬品を販売することはできない。

厚生労働省の医薬分業推進もあり、入院患者を除き、外来患者に対しては一般薬局が営業していない夜間深夜のみ調剤する医療施設がほとんどである。
薬局距離制限事件「薬局距離制限事件」を参照
統計

平成23年(2011年)度末時点の薬局数 54,780
[17]

平成21年(2009年)度末時点の薬局数 53,304 [18]

世界の薬局制度
フランスの薬局
フランスでは医薬品は処方箋医薬品と処方箋任意医薬品に分類されており、これらを販売することが可能な業態は薬局に限られる[19]。薬局には薬剤師を常時配置することが必要で、一定の販売額を超える薬局では販売額ごとに決められた人数の薬剤師を配置することを要する[19]
ドイツの薬局
ドイツなどの薬局で頻繁に飾られるワニのはく製[20]ヒュギエイアの杯アスクレピオスの杖に見られるように爬虫類は癒しのシンボルであり、ワニは異国情緒と異国の薬も扱ってるように見えることから飾られるようになった[21]。詳細は「de:Apothekengesetz (Deutschland)」および「ドイツ薬局史学会(ドイツ語版)」を参照ドイツでは医薬品は処方箋医薬品、薬局販売医薬品、自由販売医薬品に分類されている[19]。処方箋医薬品と薬局販売医薬品を販売することが可能な業態は薬局のみ、自由販売医薬品を販売することが可能な業態は薬局及びドロゲリーに限られる[19]。処方箋医薬品と薬局販売医薬品の販売には薬剤師を常時配置することが必要であるほか、全ての医薬品は薬局の管理者による常時対応が可能になっていることを要する[19]。1241年、神聖ローマ帝国の皇帝フリードリヒ2世が医師と薬剤師に職業を区分し、薬剤師が薬局を管理するように命令(サレルノの勅令(ドイツ語版))を発した[22]。中世においては、薬局の開設は許可や免許が必要で、王やフュルスト(高位貴族)などから勅許を得たHof-Apotheke(ドイツ語版)、市議会などの許可を受けた市議会薬局(ドイツ語版)(ドイツ語:Ratsapotheke、Stadtapotheke)で薬局を開く必要があった。1958年、日本の医薬分離に影響を与えた職業選択の自由判決、Apotheken-Urteil(ドイツ語版) が成された。この判決では、薬局が増えると薬の供給に悪影響を与える懸念から新設を控えるバイエルン薬局法第3条第1項を撤回し、薬剤師が選んだ場所で薬局を開設する権利を取得した[23]
イギリスの薬局
イギリスでは医薬品は処方箋医薬品、薬局販売医薬品、自由販売医薬品に分類されている[19]。処方箋医薬品と薬局販売医薬品を販売することが可能な業態は薬局に限られる[19]。自由販売医薬品は一般小売店でも販売することができる[19]。処方箋医薬品と薬局販売医薬品の販売には薬剤師を常時配置することが必要である[19]
中国の薬局
詳細は「en:Pharmacy in China」を参照伝統薬と西洋医学での薬を扱う薬局で区別される[24]
著名な薬局関連の建物・組織詳細は「Category:薬局・薬店」を参照

サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局 - 現存する世界最古の薬局

Ratsapotheke (Hildesheim) - 世界最古の継続して営業している薬局。

三光丸 - 世界2番目に古い継続営業している薬局

Raeapteek(英語版) - ヨーロッパで継続して営業している最古の薬局の一つ。1422年創業。ドイツと同様にRaeapteekは市議会薬局の意

博物館詳細は「薬局博物館の一覧(ドイツ語版)」を参照

内藤記念くすり博物館 - 岐阜県各務原市に所在。エーザイが運営。

中冨記念くすり博物館 - 佐賀県鳥栖市に所在。久光製薬が運営。19世紀末のロンドンにあったアルバン・アトキン薬局を移設展示している。

Daiichi Sankyo くすりミュージアム - 東京都中央区に所在。第一三共が運営。

旧村田薬局 - 秋田県横手市の増田町に所在。約300年続いた東北でも屈指の薬局として様々な歴史的なものが展示されている[25]

済生堂薬局小西本店 - 神奈川県小田原市本町、小田原城近くに所在。1633年に創業、建物は1925年頃に建造、2002年8月21日に国の登録有形文化財(建造物)として登録された[26][27]

スロバキア

赤いザリガニの薬局
(英語版) ‐ スロヴァキアの首都ブラチスラヴァに所在する屋号が赤いザリガニの薬局博物館[28]

Pharmacy Salvator(英語版) - スロヴァキアの首都ブラチスラヴァに所在する薬局博物館。

過疎地・災害対応

移動薬局車(モバイルファーマシー、災害対策医薬品供給車両などとも呼ばれる) ‐ 2011年の東日本大震災を教訓に開発され、2023年4月23日の読売新聞によると日本薬剤師会の統計では広島や徳島など18都府県の約20台が配備された[29]。平時でも買い物難民対策として過疎地などで運用している[30][31]
シンボル

緑十字は薬局のシンボルとして普及している。多くの国で使われている。

緑十字の別の例。


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