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ウルシノキ材に触れる、あるいは煙を浴びることでアレルギーを引き起こす可能性あり

加工道具チェーンソー薪割り機

斧ヨキとも。体力と技術が必要。木の繊維に従い割り裂けるよう、が厚くなっている。スウェーデンフィンランド、ドイツ製品も輸入されている。伐採用や製材用の斧は刃が薄いので、無理に薪割りに用いれば刃が台無しになる。

割矢・金矢(わりや・かなや)薪割り専用の鉄製くさびのことで、2本1組で使用されることが多い。2本を交互に鉄ハンマーなどで叩いていくと、次第に割れていく。斧に比べて安全かつ身体への負担が少ない方法。くさびの上部にスライドハンマーを設置したタイプもある。

スプリッターコーンユニコーンスプリッターとも。円錐型の大きなドリルを回転させて、木材を割り広げていく、単純な方式のスプリッター。

スプリッターログスプリッターまたはファイヤーウッドスプリッターとも。エンジンモーターで油圧を発生させ、薪をくさびに押し付けて割る機械。発生する圧力をトンで表す(トンが低い物では、広葉樹を割るだけの力がない)。薪割りの重労働に耐えうる者が少ない山村では、数軒で薪割り機を共同使用している例もある。

プロセッサーログプロセッサーまたはファイヤーウッドプロセッサーとも。スプリッターの前に、丸のこやチェンソーの玉切り装置を付加した物。薪をトラックに積載するベルトコンベアを備えたものも多い。据え置き式、トレーラー式、重機式、トラクター後部設置式などがある。北欧と北米に多くのメーカーがある。

斧を使用した手順

薪用の樹木は伐採後に枝を落とし、チェーンソーなどで玉切り(丸太の鋸断)する。地面や台の上に立てられるよう、なるべく水平に切断する。切断した薪材は台の上に立て、で割る。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}生木のうちに、根元を上側にすれば割れやすい[要出典]。台に立てられないような、切り口が水平でない木は丸太に立てかけた状態にして斧を入れる方法もあるが、危険が増すため切り直す方がよい。

太い玉切りは一刀両断できずに斧が木口(こぐち:鋸断面)に刺さって抜けなくなるので、周囲から削ぎ取るように割っていく。繊維が入り組んだ節の多い部分は、くさびを併用する。乾燥が進んでいないスギヒノキをはじめ多くの針葉樹ミズナラサクラシラカバカシケヤキは容易に割れるが、クスノキは割りにくい。
薪の乾燥乾燥中の薪

伐採された直後の樹木は60 %から100 %程度の大量の水分を含む。こうした樹木を薪として加工した直後は、火がつきにくく燃焼のエネルギーが水分の蒸発に消費されるため、乾いた薪と比べて温度が上がりにくい。これは、一見大きな問題ではないように感じられるかも知れないが、加熱燃焼の温度が低い場合は、可燃性ガスの着火点や発火点に達する部分が小さくなり、結果、排出された可燃性ガスが完全燃焼されず、そのまま有害ガスとして放出されたり、不完全燃焼の生成物質として煙や煤(すす)となって放出される[1]。この煤は、調理器や燃焼器具を文字通りすすけさせるだけでなく、元来が可燃性物質のため、予期せぬ火災や、異常加熱による故障のもととなる。また呼吸器に害を与え、煙く不快である。

こうした問題を軽減するために薪を乾燥させることが大切となる。

薪の乾燥では、もともとの水分量を低減させ、20 %程度まで下げることを目標する[注 2]
自然乾燥

現在の薪の生産では主流である。日当たりと風通しの良い屋外に風が通りやすいように積み上げて、1年から2年程度放置する。水分量の少ない冬期に伐採した樹木で1年数か月。水分量の多い夏期に伐採した薪で2年程度が主流である。ただし、伐採後の薪割りを細くすることで、脱水効率を上げることができ、3センチメートル程度のやや細めに割ることで、数か月から10か月程度でも、20 %程度まで脱水させることが可能となる。
強制乾燥(人工乾燥)

なんらかの熱源により、急速に乾燥させる方法である。木材ペレットなどでは加工工程で圧縮と摩擦により加熱されるが、薪に対してはあまり行われていない。
乾燥状態木材水分計

薪の乾燥状態を知るには、薪の重さと軽く叩いたときの音で判別できる。よく乾燥した薪は軽く、カンカンと歯切れのいい音がする。含水率が高い薪は重く、ゴンゴンという鈍い音がする。また、水分計を使用することもできる。
市販の薪

薪はホームセンターなどでも購入可能で、地域によってはコンビニなどで販売していることもある。商品としての薪には規格は存在せず、乾燥が十分でない低品質のものが販売されている場合があるため注意が必要である。

販売されている薪(フロリダ州)

コンビニでの薪の販売(山形県)

薪の熱処理

薪は熱処理されたものとされていないものに分けられる。また、熱処理された薪は熱処理の種類によってKiln Dried FirewoodとHeat Treated Firewoodに分けられる。Kiln Dried Firewoodは規格に準拠していない熱処理のことで、熱処理の詳細が不明な信頼性の低いものに対するラベルとされる。Heat Treated Firewoodは温度や時間などの条件が明記された信頼性の高い薪に対するラベルである。アメリカにおいては熱処理の手順がアメリカ農務省(USDA)により規格化されている。

薪に熱処理が求められるのは、キクイムシなどの主に病害虫の殺虫のためで、これらが行われていない場合、薪の輸送により木を枯らす森林病害虫が遠隔地に拡散してしまう危険性がある。

一般的な熱処理温度と時間は、薪の芯温60度で1時間とされる。アメリカでは検疫エリアが設定されており、熱処理されていない薪の州をまたいだ輸送は禁止されている。USDA認証を受けた業者から熱処理済みの薪を購入することができ、これらの薪に限り輸送が許可される[5][6]
問題点
森林破壊森林破壊

薪は主に発展途上国における燃料として使われており、そのために森林が伐採されている。薪は再生可能エネルギーではあるが、人口増加に伴う薪の消費量の増大が森林回復のスピードを上回っており、森林破壊や砂漠化が進行する原因となっている[7][8]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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