薄型テレビ
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移行期には地上アナログ・デジタルの両方を搭載する製品が多く、その後はアナログチューナーが廃止された。なおBSアナログチューナーは2007年頃までに廃止され、VHF・VU共用の各アンテナも2010年8月限りで生産を終了した。

登場当初は大画面サイズを中心にチューナーユニットが外付けの機種が多く見受けられた(ユニット部とディスプレイ部は専用ケーブルで接続していた)が、2007年までにはほぼ全ての製品がチューナー一体型となっていた。

デジタルチューナーの搭載により、廉価、簡易版の機種を除くほとんどの機種でBMLによるデジタル放送のデータ放送を表示可能である。

4K8K放送開始後は「4Kまたは8Kチューナーを内蔵した40V型以上の大型モデル」生産へ力点を移しており、国内大手メーカーは「4K非対応従来型据置(32V型以下の小型)モデルのラインナップを大幅縮小し、将来的に在庫品限りで販売終了」としている(パーソナルモデルは無線伝送式「プライベートビエラ」などのみを生産し、今後の据置薄型テレビは4K・8Kチューナー内蔵機種へ一本化予定)。4Kまたは8Kチューナー内蔵モデルは・着脱式の従来型B-CASカードに代わり「ACASチップ」を本体に内蔵しており、デジタル放送視聴時に必須となる「B-CASまたはmini B-CASカード」を紛失・損傷する心配が解消されている。
本体内蔵スピーカー

登場初期はこれまでのブラウン管テレビ同様、画面の両サイドにスピーカーが取り付けられた「サイドスピーカー」と画面の下側に取り付けられた「アンダースピーカー」の2通りあり、スピーカータイプも(ウーハー+フルレンジの)2ウェイとフルレンジの2通りあった。

しかし、年式が進むにつれ本体は次第に薄くなってきたため、今日のモデルは「フルレンジのアンダースピーカー」が主流である。同じアンダースピーカーでも、一部上位機にはウーハー+フルレンジの2ウェイタイプを採用している機種もある。スピーカーは従来通り正面に向けて取り付けられる機種に加え、下側に向けて取り付けられる機種も登場している。本体操作ボタン・B-CASカードスロット・ヘッドホン端子も当初は前面にあった機種がほとんどであったが、現在は天面や側面に移設されている。なお、大型(65V型以上)の一部上位機の中には、スピーカーが外付け(本体とは付属スピーカーケーブルで接続)や、別売りとなっている機種(103V型)もある。

薄型テレビの本体内蔵スピーカーはこうした構造上の制約から、サイズや個数(スピーカーユニットの種類)が限られてしまうため、本体内蔵スピーカーのみでは音に物足りなさを感じる場合も少なくなく、より迫力ある音を楽しみたい向きはホームシアターやラックシアターシステムも併せて購入している。

現在のホームシアターシステムは接続が従来機より大幅に簡素化され、HDMIケーブルや光デジタルケーブルを接続するのみで迫力あるサウンドが楽しめる。さらに2010年からは新規格の「オーディオリターンチャンネル(ARC)」が登場、従来の光デジタルケーブル接続が不要となり、HDMIケーブルを1本接続するのみで迫力あるサウンドが楽しめるようになった。この接続方法は、2010年以降製造の機種同士を組み合わせた場合に限られ、2009年以前製造の機種と組み合わせる場合は、従来通り、光デジタルケーブル接続も必要である。薄型テレビでも普及価格帯の中には光デジタル出力端子が非搭載で、HDMI端子もARC非対応の機種があり、この場合はホームシアターとの組み合わせは不可となる。2011年からはテレビ本体のヘッドホン端子にアナログ音声ケーブルを繋ぐだけで迫力あるサウンドが楽しめる、普及型シアターシステムも登場している。ただしこれは、HDMIが非搭載で、テレビ本体の内蔵スピーカーから音は出ない。

薄型テレビ用ホームシアターシステムは、一部を除き(ビエラリンクなどの)HDMI連動機能に対応しているため、テレビに付属のリモコンでホームシアターの集中操作、および音声メニュー切替が可能である。ただし製造年の組み合わせにより、使える機能は異なる。なお、ラックシアター(スピーカー・アンプを内蔵したテレビ台)は奥行きが薄く、かつ防磁設計とはなっていないので、従来型ブラウン管テレビは載せられない。
外部録画機器との接続方法

発売当初はIrシステムが主流で、テレビ受像機側のモニター出力端子と録画機側の外部入力端子相互間をAVケーブルで(映像信号は接続する録画機によりコンポジットビデオケーブル・Sビデオケーブルいずれかを)接続していた。同時にデジタルチューナー(内蔵テレビ)に付属のIrシステムケーブルを(デジタルチューナーの)Irシステム端子に繋ぎ、送信部を録画機のリモコン受光(リモートセンサー)部へ付属両面テープで貼り付ける。接続後は録画機のメーカー設定が必要。

(Irシステムによる)デジタル放送録画は、番組表Gガイド)から録画したいデジタル放送の番組を選んで決定すれば、その内容をリモコン赤外線信号に変換して録画機のリモコン受光部(リモートセンサー)へ送信される。録画開始時間が来ると、テレビ受像機側より録画信号がIrシステムケーブルを介して赤外線リモコン信号として送信される。

しかし、2005年モデルからは高画質・高音質のAV信号を1本のケーブルのみで伝送可能な「HDMI」が登場、翌2006年モデルからは(パナソニック「ビエラリンク」を皮切りに)HDMIに連動機能が付加された。これにより従来のリモートワイヤーは不要となり、HDMIケーブルを介してテレビ受像機のリモコンで接続した録画機の連動(録画予約・再生などの)操作が可能となったため、従来のIrシステムに比べ、操作・接続は大幅に簡素化された[注 3]。同一メーカーのテレビとレコーダーが売れやすくなる囲い込み効果により、特にパナソニックとシャープはBD/DVDレコーダーのシェアを大幅に引き上げ、ブランド力の強化に成功した。

画質・音質もHDMI接続のほうが(従来のAV接続に比べ)格段に向上したため、2009年モデルからはIrシステム・モニター出力両端子を廃止する機種が増加[注 4]。アナログチューナーのみ搭載の従来型録画機によるデジタル放送録画は廃れつつあり、現代のテレビ放送録画はHDMI連動へほぼ完全移行した[注 5]
端子群.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}入出力端子の例入出力端子(背面)の一例(2010年)入出力端子の(背面・側面)一例(2020年)

登場当初は従来型ブラウン管テレビ同様、映像・音声(白(左)・赤(右))入力・S1/S2映像入力・D入力Irシステム端子、モニター出力端子(S映像も含む)で構成されていた機種が多かったが、(高画質・高音質のAV信号無劣化伝送と接続の大幅簡略化を実現した)HDMIの台頭により従来型AV入出力端子は年式が進むにつれ減少。2011年モデルは従来型ビデオ入力端子が大幅に減少し、モニター出力・Irシステム・S1/S2入出力端子は全廃(一部上位機はアナログ音声出力端子のみ存続)[注 6]、(AACS規定により、D端子におけるハイビジョン映像アナログ伝送がD2以下の画質に制限される新ルール施行に伴い)D入力端子を廃止する機種も登場している(2014年以降はD2以下も含むD端子でのハイビジョン映像アナログ伝送が全面禁止)。2022年以降製造機種はアナログAV入力端子が「映像・音声一体型ミニジャック」へ変更されたため、接続には市販の変換ケーブルが必要。2024年発売のパナソニック4Kビエラは業界で初めて「アナログAV入力端子の全廃」に踏み切っており、HDMI端子のない従来型アナログ再生機器接続ができなくなった。

HDMI端子は上位モデルは4系統、普及モデルは2系統もしくは3系統の機種が多い(メーカーや機種によっては、ハンディカメラやスマートフォンなどを接続するときに、わざわざ後ろに周り込まなければならなくなる「わずらわしさ」を軽減するため、左右の側面に一部またはすべての端子を配置している場合もある)。2009年のモデルからはサウンドシステムとテレビをHDMIケーブル1本で接続するだけで音声も伝送できるARC(オーディオリターンチャンネル)対応端子が搭載されるようになり、2013年頃から2016年頃にかけてはスマートフォンとテレビの接続・給電に対応したMHL(モバイルハイデフィニションリンク)対応端子を搭載した機種も存在した。

ヘッドホン端子は登場当初は(テレビ本体内蔵スピーカーの音が消える)従来型の端子と、ヘッドホンを差し込んでもテレビ本体内蔵スピーカーからの音が消えない(ダブルチューナーの2画面モデルでは右画面の音声を出力する)「ファミリーイヤホン端子」を搭載した機種が多かったが、2008年以降のモデルではファミリーイヤホン機能を廃止した(ヘッドホン出力を本体内蔵スピーカーからの音が消える1系統のみに戻した)機種が急増した。なお2010年以降のモデルはヘッドホン端子こそ1系統のみだが、ヘッドホンを差し込んだ時にテレビ本体内蔵スピーカーから音を出すか否かがメニュー画面操作で選べる機種が登場している(2画面モデルの一部上位機では本体内蔵スピーカーとヘッドホン端子とで別々のチャンネル音声を出力させることも可能)。

電源ケーブルは登場当初は37V型以上の大型モデルがアース付き3芯プラグを採用しており、通常の2芯式コンセントに繋ぐ場合は付属の変換アダプタを使用していたが、2009年以降製造の機種より全て通常の2芯式に変更されアース線も廃止された(現在は37V型以上の大型モデルが本体側マグネット式、32V型以下の小型モデルが本体側直付け式コード、15V型以下はACアダプタ使用)。なお103V型は(通常の100Vではなく)200V電源を使用する(特殊用途のため受注生産)。
録画機能

薄型テレビ自体にハードディスクドライブを搭載し、レコーダーを接続しなくてもデジタル放送の録画ができる製品がある。特に東芝や日立が力を入れ、他の主要メーカー各社も追随した。レコーダーよりも手軽にタイムシフト視聴などができ、光学ディスクへのダビングを必要と感じない消費者に好まれている。またシャープは2008年にBDレコーダー内蔵液晶テレビを発売した。また、三菱電機は2009年にHDD・BDレコーダー内蔵液晶テレビを発売した。

パナソニックは2008年にHDD内蔵のプラズマビエラ&液晶ビエラを発売、2009年にはHDD・BDレコーダー内蔵の液晶ビエラを発売。2011年にはSDメモリーカードに直接録画ができ、かつ別売の外付HDD(USB接続式)にも録画可能なプラズマ&液晶ビエラを発売した(ただし本機で録画したSDカードは録画元の機器でしか再生できず、ビエラワンセグなど他機器での再生はパナソニック製であっても不可)。
設置方法液晶テレビと薄型テレビ台の例
テレビ台

登場当初は37V型以上のモデルを中心に据置スタンドおよびテレビ台が別売りの機種が多かったが、現在は全て据置スタンド付属で、本体の向きを左右それぞれ最大15度あるいは20度まで変えられる「スイーベル(首振り)機構」を搭載した機種と、向きを変えられない固定式の二通りがある。スイーベル機構搭載モデルは50V型以下の機種がほとんどで、52V型以上の機種は全て固定式である。さらに23V以下の小型モデルは左右に向きを変えられるのみならず、前後に角度調整が可能な機種もある(左右スイーベル機構非搭載で前後角度調整機構のみ搭載の機種もあり)。

現在発売中のテレビ共用台は全て薄型テレビを載せることを前提とした薄奥行き設計となっているため、従来型ブラウン管テレビは(はみ出して転倒・落下する恐れがあるので)載せられない。ブラウン管テレビの生産終了に伴い、2007年限りでブラウン管式対応テレビ台の生産も終了している。かつては国内大手電機メーカー全社が「純正テレビ台」を生産していたが、ブラウン管テレビ終焉と共に純正テレビ台生産より撤退するメーカーが相次ぎ、最後の砦だったパナソニックも2021年限りで純正テレビ台生産を終了。国内大手電機メーカーは純正テレビ台生産より完全撤退し、国内テレビ台メーカーは朝日木材加工・ハヤミ工産(「TIMEZ」ブランド)・ヤマダホールディングスニトリのみとなった。


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