また、2011年に訪台した自由民主党の安倍晋三・菅義偉との面会にも党シンクタンク幹部として美琴が同席し[23][24]、2015年の訪米にも同行したことから公私にわたり信頼関係を築いていることを窺わせている[25]。
2024年5月20日に行われた中華民国総統就任式典では、退任する蔡英文を涙を拭いながら見送った[26]。
政治キャリア
立法委員2008年のチベット支援活動
2002年からは比例区枠で立法委員(在外華僑の僑選枠)に就任[27]。大陸委員会諮問委員、自由主義インターナショナル副主席、アジア・リベラル民主評議会秘書長(2004-2005年)も務めた[5]。2005年からは台北選挙区から出馬、党内派閥では新潮流系(中国語版)に属するようになった[28]。
かつて国民党のネガティブキャンペーンとして使われた光ディスク媒体が流布されていた事件(zh:非常光?)は2007年に形を変えて民進党陣営に波及した。この騒動で標的とされた美琴は[29]、翌2008年の立法委員選挙での台北2区での党内公認候補争いで王世堅に敗れた[30]。
2012年の第八回中華民国立法委員選挙では不分区(比例制)名簿7番目で当選[31]。その後も花蓮での活動を継続した。
2015年、翌年の第九回中華民国立法委員選挙では花蓮県選挙区(中国語版)で中国国民党候補王廷升(中国語版)の三選阻止の刺客となり、当選した[32]。
立法院の超党派議連『台美国会議員聯誼会』の発言人(スポークスパーソン)として訪米もしている[28][33]。また、『台日国会議員聯誼会』(台日交流聯誼会の前身)で幹事長として対日議員外交にも積極的だった[34]。
専門の外交や安全保障分野だけではなく、花蓮を拠点とするようになってからは、地元の観光業振興にも注力した。一定の条件を満たせば税軽減の措置が得られ、在住外国人によるインバウンド向けガイドを可能とする「発展観光条例」修正法案を提出し、2016年12月に立法院で三読審議を通過させたほか[35]、花蓮と沖縄県を結ぶ日台間のフェリーや航空便の誘致などでも精力的に活動した[36][37]。
2020年の第十回中華民国立法委員選挙では「花蓮王」の異名をもつ元花蓮県長傅??(中国語版)に敗北[38]。去就が注目されていたが、第15代中華民国副総統に当選した頼清徳の訪米に同行[39]、4月より国家安全会議の諮問委員に就任していた[40]。
チベット問題立法院でチベット亡命政府/ガンデンポタンの財務相と会談(2013年)
2012年6月、世界各国の立法府が「フレンズ・オブ・チベット」を結成していたことを受けて、美琴も数名の委員とともに立法院内で「立法院圖博之友會」を結成し[41]、抗議の焼身自殺が相次ぐチベットの人権問題への関心と亡命政府首相ロブサン・センゲへの支持を社会に訴えた。 2014年3月18日に発生したひまわり学生運動(太陽花學運)期間中は呉秉叡 長きにわたり同性婚支持を表明し、2006年には立法委員として初めて同性婚姻法案を提出した[44]。当時は台湾社会でも抵抗が強く、(ねじれ国会で議会多数派だった)国民党の反対により法案通過は叶わなかったが[45]、その後蔡英文政権で合法化が実現している。 自身のブログでも、「婚姻は2個人間の人間関係や1つの儀式というだけではなく、パートナー関係の当事者が社会の中でどう扱われるかという問題にも及ぶ。2人の同性カップルも男女カップルと同等の価値をもち、平等な尊厳や権利、自由を享受できるべきだ。また、社会がもっと(この問題を)オープンに、寛容的に、議論に対して尊重することができると信じているし、台湾の同性パートナーたちの権利が社会的に認められ、受け入れられるようにしましょう。そうすればこの社会はもっと多元的で豊かでカラフルなものになると信じている。」と綴っている[46]。 2020年6月16日、総統府は新駐米代表に美琴を指名し、7月以降の着任を発表した[47]。翌日米国在台協会(美國在台協會、AIT)や[48]、民進党も参加している自由主義インターナショナル(Liberal International)が祝福のメッセージを寄せた[49]。女性としてだけではなく、民国60年代生としても初の駐米誕生となった[8]。なお、中華民国外交部による公式呼称は「大使」である[50]。 7月20日、71名が加入した第10期立法委員による超党派議連『台美国会議員聯誼会』結成大会にAIT代表ウィリアム・ブレント・クリステンセン
太陽花学運
同婚問題
駐米代表AIT代表クリステンセンを迎えて政権閣僚らとともに米国独立記念日を祝福 (前列左から4番目。2020年7月4日、台南市立棒球場にて)総統府での駐米代表就任宣誓式典(2020年7月20日)
7月24日、ワシントンの駐米代表オフィスに出勤し、正式に着任[53]。中国政府の戦狼外交に対峙する「戦猫外交」を掲げた[54]。
2020年9月20日、本人公式アカウントのTwitterでプロフィール欄を「Taiwan Ambassador to the US」(台湾駐米大使)に変更し、物議を醸した[55][注 3]。外交部長の呉サ燮は『正式名称は代表』と公式に表明しているものの、蔡英文は黙認ともとれる意思を示している[57]。立法委員の鄭運鵬(中国語版)は「これまでも正式な国交がない国に派遣した代表が大使と呼ばれることもあったし、米国外交筋がアカウントの表記に表立って反対意見を表明していないことは支持を仄めかしているもの。」としている[58]。後日『戦猫(Cat Warrior)』とも付記しているが[59]、元外交官の劉仕傑(中国語版)は、中国政府が主にオンライン上で繰り広げる戦狼外交に反撃する手段の一つと分析している[60]。米国ではその後、米連邦議会上院議員スコット・ペリー(英語版)が駐米代表処やAIT台北事務所をそれぞれ大使館に昇格させる法案制定を主張している[61][62]。