抗ヒスタミン薬を使用する。
血圧低下などのショック症状があれば、アドレナリン(商品名エピペン)の注射が奏功する。呼吸困難を合併していれば、気道確保のため気管挿管が必要である。
発疹が強い場合、強力ネオミノファーゲンシーが奏功することがある。一般に「強ミノ」と略され、頻繁に使われる(日本でのみ)。 6週間以上続く場合は、抗ヒスタミン薬を増量・異種併用する。 漢方薬としては、柴胡加龍骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)・酸棗仁湯(さんそうにんとう)・十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)がよく使われる。 度々発生したり難治性の場合は、細菌・真菌感染を疑い、慢性胃炎合併の場合は、ヘリコバクター除菌療法、慢性扁桃炎合併の場合は扁桃摘手術を施行すると、蕁麻疹も治癒することがあるため行われる。掌蹠膿疱症と同様の機序が考えられている。 寒冷蕁麻疹では、鎮静作用の少ない第二世代抗ヒスタミン薬でも有効であるため副作用は弱い[6]。レボセチリジン(抗ヒスタミン薬)の鎮静作用は、ほかの第二世代抗ヒスタミンと同等である[7]。第一世代抗ヒスタミン薬でも慢性的な蕁麻疹に有効である[8]。妊婦における第一世代抗ヒスタミン薬の使用は胎児の予後にリスクをもたらしていなかった[9]。 慢性的に自然発症する蕁麻疹では、寄生虫駆除によって治療できることがある[10]。 ビタミンDはアレルギー疾患に関与すると考えられ、慢性の蕁麻疹人では血中ビタミンDが有意に低く、週60,000 IUなど高用量に摂取した場合に症状が改善された[11]。 人口の15%?20%が、一生のうちで一度は経験する。ただし、慢性蕁麻疹の頻度は非常に少ない。 蕁麻疹の一種に血管性浮腫(けっかんせいふしゅ、Angioedema)、またはクインケ浮腫(クインケふしゅ、Quincke's edema)と呼ばれる病態がある。 蕁麻疹と同様に皮膚の毛細血管の拡張と透過性の亢進により発症する。蕁麻疹との相違点は蕁麻疹が皮膚の表層で起こるのに対して、血管浮腫は深在性に起こるということである。死因は主に喉頭浮腫による窒息死である。 日本、欧米の治療ガイドラインにて蕁麻疹の定義は、血管性浮腫を含む[3]。蕁麻疹の4割が血管浮腫を伴う[3]。 真皮深層や皮下組織など深いところで炎症を起こし、一過性限局性の浮腫が生じることがあり、血管性浮腫と言われる。特に口唇やまぶたに生じるのが典型的。蕁麻疹とは異なり、掻痒はなく、出現すると3?4日続くのが特徴。まれに、腸管にも浮腫を生じることがあり、その場合、消化器症状を伴う。 気道内にも浮腫を生じることがあり、この場合、呼吸困難を併発し、死ぬこともある。 降圧剤のACE阻害薬が原因のことがある。ACE阻害薬によりブラジキニンの産生が生じ、それが血管透過性の亢進を招くのが原因である。 また、近年、アンギオテンシンII受容体拮抗薬でも生じる例も多く、注目されている。 そのほか、遺伝性もあり、HAE(遺伝性血管性浮腫:Hereditary angioedema)と呼ばれる。補体第一成分阻害因子(C1-INH)の先天的欠損や凝固第XII因子の先天異常などである。この場合は補体の過剰な活性化により血中補体価の低下がおこる。 抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬を使用するのが一般的。ステロイド内服薬も使用することも多い。外用剤は、ステロイド外用剤が使用される。 血管性浮腫に対しては、キニンの産生を抑制するためトラネキサム酸を使用することがある。 呼吸困難を合併していれば、気管挿管などの気道確保が必要である。 蕁麻疹を伴うアレルギー反応のうち、特異的な病態を示すものを列挙する。
慢性期
有効性
頻度
血管性浮腫
症状
原因
治療
特異的なアレルギーをする病態
ラテックスアレルギー
食物依存性運動誘発性アナフィラキシー (FDEIA)
口腔アレルギー症候群 (OAS)
出典[脚注の使い方]^ 蕁麻疹診療ガイドライン 2018, p. 2504.
^ Kudryavtseva AV, Neskorodova KA, Staubach P (August 2018). “Urticaria in children and adolescents: An updated review of the pathogenesis and management”. Pediatr Allergy Immunol. doi:10.1111/pai.12967
^ a b c d e f g h i j k l m n Shahzad Mustafa S, Sanchez-Borges M (May 2018). “Chronic Urticaria: Comparisons of US, European, and Asian Guidelines”. Curr Allergy Asthma Rep (7): 36. doi:10.1007/s11882-018-0789-3
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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