蔵王連峰
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これらの他に蔵王連峰を構成する主な山として、五色岳(1,672メートル)、杉ヶ峰(1,745メートル)、不忘山(1,705メートル)、名号峰(1,491メートル)、地蔵山(1,736メートル)、三宝荒神山(1,703メートル)、瀧山(1,362メートル)、雁戸山(1,484メートル)、鳥兜山(1,387メートル)、横倉山(1,152メートル)、青麻山(799メートル)、後烏帽子岳(1,681メートル)、前烏帽子岳(1,432メートル)、馬ノ神岳(1,551メートル)がある。熊野岳から刈田岳の間の尾根は馬の背と呼ばれる[1][2][3][4]。これらの多くの山々は、北東から南西方向へ、または北西から南東方向へ連なっている。両者はさながらアルファベットの文字「X」を描くように馬の背付近で交差している。このうち、北東から南西方向に連なる山々が宮城県と山形県の県境であり、日本列島における中央分水界である。北西から南東に連なる山々は両県にそれぞれ飛び出している部分である。蔵王連峰から流れ出る河川として三途川がある。三途川は蔵王連峰の宮城県側の中腹にある高原「賽の河原(賽の磧)」を通る。

三階の滝の紅葉(宮城県)

火山活動によってできた蔵王連峰の地形は多様である[4]。蔵王連峰の東側には火口湖を源とする不帰の滝や、振子滝、地藏の滝、不動滝、日本の滝百選の一つである三階の滝がある。また、火山活動の恩恵である温泉がいくつかある。山形県側に蔵王温泉があり、宮城県側には峩々温泉青根温泉遠刈田温泉がある[2][4]。古くは高湯と呼ばれた山形の蔵王温泉は強酸性の泉質が特徴である。開湯伝説によると、東征した日本武尊に従った吉備多賀由によってこの温泉が発見され、多賀由温泉から転じて高湯と呼ばれるようになったという。この他に、宮城県側の渓谷の中にかもしか温泉という野湯がある。

蔵王連峰で見られる植物としては、コマクサミネズオウガンコウランハイマツヒメコマツが挙げられる。オオシラビソ過冷却水滴の吹き付けによって樹氷となる。また、カモシカイタチツキノワグマなどの動物が生息する[2][4]

蔵王はかつて修験道の場であり、その為に蔵王権現が祀られた。これに起源を持つ刈田嶺神社 (七ヶ宿町)が刈田岳の山頂に鎮座し、またこれに対をなす刈田嶺神社 (蔵王町遠刈田温泉)が蔵王の山麓にある。山頂の神社が奥宮、山麓の神社が里宮と呼ばれていて、この二つの神社の間で季節に伴う遷座が行われている。さらにこれとは別に刈田嶺神社 (蔵王町宮)もある。また、熊野岳の山頂には蔵王山神社がある。

蔵王の山々の中にある施設としては、すみかわスノーパークえぼしリゾートセントメリースキー場、みやぎ蔵王白石スキー場、山形蔵王温泉スキー場蔵王坊平ライザワールドスキー場、蔵王猿倉スキー場、蔵王坊平アスリートヴィレッジがある。

また、蔵王連峰とその周辺は蔵王国定公園に指定されている。その範囲はおおよそ南側の不忘山から北側の面白山までに及び、長老湖や山寺として有名な立石寺がこれに含まれている。面積は約400平方キロメートルである[3][4]
火山活動

蔵王連峰の3D画像1976年度(昭和51年度)撮影の国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。
写真中央に御釜(五色沼)があり、その東側に五色岳がある。これらを東側が開いたC形の外輪山が囲む。南側の外輪山の刈田岳頂上には「蔵王」の名称の由来となった刈田嶺神社(奥宮)、および、蔵王山頂レストハウスなどがある。南側の刈田岳(宮城県)から北東方向に撮影した蔵王カルデラ。中央の窪地が旧火口、その左側の峰が中央火口丘の五色岳、その左側に火口湖の五色沼(御釜)がある。

蔵王連峰の山々は火山群である。ただし、山体すべてが火山噴出物でできているわけではなく、隆起によって形成されていた奥羽山脈の上に後世の火山活動による噴出で形成された上げ底のような構造となっている[5]

御釜がある蔵王の中央部と、瀧山のある北西部、屏風岳のある南部の三つの火山帯に区分され、それぞれが爆裂火口を持っている。このうち、北西の瀧山と南の屏風岳の火山活動は有史以前のものである。有史以降は御釜がある蔵王の中央部が火山活動の中心となっている[3][2]
火山活動史

約100万年から70万年前には海底火山であったと考えられ、玄武岩質マグマの活動が水中で起こった。その後の30万年間ほどは休止期だった。

約40万年から10万年前には安山岩質の溶岩流を伴う活動に変化し、現在の山容の骨格となる山体の上部を成す熊野岳、刈田岳などを形成した。約7万年前には30億立方キロメートルの大規模な山体崩壊を起こし酢川泥流を生じた[10][11]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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