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日本の実定法における著作物(ちょさくぶつ)は、思想又は感情を創作的に表現し文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものである[9]。
以下、著作権法は条数のみ記載する。 著作物とは、日本の著作権法の定義によれば、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(2条
著作物の定義
「思想又は感情」
「創作的」
「表現したもの」
「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
そのため、表現それ自体でない部分(例: 事実、事件、データ[10]、思想、感情、アイデア、キャラ設定)は著作権で保護されない[11]。また、創作の加わっていない模倣品[10]、範囲外の工業製品[10](例えば自動車のデザイン[12])などは著作物とはならないほか、短い表現・ありふれた表現[10][13](例えば作品のタイトル[14][15]や流行語[16]や商品名[17])・選択の幅が狭い表現などは創作性が認められない傾向にある。 旧著作権法においては著作物の定義に関する規定はない。1条でいくつかの著作物を例示的に掲げていたにすぎなかった。が、「凡ソ著作権ノ目的タル著作物トハ精神的労作ノ所産タル思想感情ノ独創的表白ニシテ客観的存在ヲ有シ而モ文芸学術若ハ美術ノ範囲ニ属スルモノナリト解スルヲ相当トス」と判示した判例があった[18]。また、同じく旧法下において東京地裁の判決に同じ判示があった[19]。 元々、「著作物」という語はベルヌ条約のフランス語原文における「Oeuvre」や英語の「Work」に相当するものであり、旧著作権法を起草した水野錬太郎は著書「著作権法要義」において、「著作物トハ[...]有形ト無形トヲ問ハズ吾人ノ精神的努力ニヨリテ得タル一切ノ製作物ヲ云フ」と解説していた[20]。旧著作権法では、著作物のうち「文芸学術の著作物」(Oeuvre litteraire)と「美術の著作物」(Oeuvre artistique)に対して著作者の複製権専有を規定することで、それらの著作物のみが著作権の目的物となるようにしていた。 新聞紙法の第一条において、定義を示さずに「著作物」という語が使われているが、新聞紙法における著作物の意味は、思索考量によって案出された著述だけでなく、時事その他に関する報道も含んでいる (信用毀損及新聞紙法違反ノ件(明治四十四年二月九日大審院判決))。 著作権法10条
旧著作権法における著作物の定義
新聞紙法における著作物の定義
著作物の例示
言語の著作物(10条1項1号) 小説、脚本、論文、講演その他。
ただし、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は、著作物に該当しない(10条2項)。
音楽の著作物(10条1項2号)
舞踊又は無言劇の著作物(10条1項3号)。
美術の著作物(10条1項4号)
美術の著作物は、絵画、版画、彫刻その他。美術工芸品を含む(2条2項)。なお、応用美術(量産品)については意匠法で守られており、高裁判決において、美術鑑賞の対象となりうる審美性を備えていない限り著作物には該当しないとされている[21]。また、漫画のキャラクターにおいては、キャラクターの絵は著作物となるものの、キャラクター自体は「漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって、具体的
建築の著作物(10条1項5号)
図形の著作物(10条1項6号)- 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他。
映画の著作物(10条1項7号)。- 映画の著作物には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含む(2条3項)。映画、ビデオグラム、テレビジョン、テレビゲーム、コンピュータなどの画面表示
写真の著作物(10条1項8号)。写真の製作方法に類似する方法を用いて表現される著作物を含む(2条4項)。
プログラムの著作物(10条1項9号)-「プログラム」とは、電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう(2条1項10号の2)。ただし、プログラムに対する著作権上の保護は、これを作成するために用いる次のものに及ばない(10条3項)。
プログラム言語 - 「プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系」をいう。ただし、特定のコンパイラなどは著作物である。