著作物
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これにより、A のアイデアに依拠した新規著作物 C は原著作物であって二次的著作物/翻案とみなされないことが明確化されている[39](最高裁、江差追分事件)。

表現上の本質的特徴が著作物の「創作的表現」と1対1に対応するかは学説が分かれている。
表現それ自体でない部分「アイディア・表現二分論」も参照

日本の著作権法体系における表現それ自体でない部分(ひょうげんそれじたいでないぶぶん)は著作物の表現ではない部分である[40]

表現それ自体でない部分の例として以下が挙げられる:

思想・感情・アイデア[41]

ゲームのルール[42]


事実・事件[41]

キャラクター概念/設定[43][44]

著作権法は表現に権利を与えるものであり、表現それ自体でない部分は保護されない[11]。たとえ独創的なアイデアであったとしても、守られるのはアイデアの創作的表現であり、表現それ自体ではないアイデアは保護されない(アイディア・表現二分論)。
著作物と著作権

日本の著作権法体系において、著作物とは文芸・学術・美術・音楽に属する思想又は感情の創作的表現である。この定義に「権利性」すなわち「著作権」との関係は含まれていない。ここからわかるように、著作物という概念は著作権(支分権)と独立した概念である。「著作権を認められた作品 = 著作物」という関係ではない。

著作権法は「条件を満たした著作物」の「条件を満たした利用」に限って権利を独占的に付与する方式をとっている。例えば保護期間が切れた著作物は全ての支分権を主張できないし[45]、北朝鮮で作成された著作物は条約国条件を満たさないため保護されない。また条件を満たした著作物の複製権は、私的利用条件では付与されない(万人が自由に私的複製できる)[46]。著作物であることは著作権付与の必要条件ではあるが、十分条件ではない。
アメリカ合衆国における著作物詳細は「著作権法 (アメリカ合衆国)#著作権の定義と保護範囲」を参照

米国の法体系は連邦法と州法に分かれ、米国著作権法の主たる内容は連邦法として合衆国法典第17編 (17 U.S.C.) に収録されている。著作物の定義、保護対象と例外については第1章で規定されている。
フランスにおける著作物詳細は「著作権法 (フランス)#著作物の定義と保護対象」を参照

フランス著作権法の条文は知的財産法典(フランス語版)の第1部に収録されている。フランス著作権法は「精神の著作物の著作者」という条文表現から始まっており (L111条-1)[47]、著作者による知的な創作活動によって (創作性)、何らかの表現がなされていること (表現性) が、著作権保護の要件として挙げられる[48]。14ジャンルの著作物が著作権法上で定義されており、季節性の高いファッションや実用品デザインといった応用美術にも著作物性を認めている (L112条-2)[49]。ただし14ジャンルはあくまで例示であり、著作権の法的保護はこれらに限定されるものではない[50]
出典^ 「著作権特殊講義 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄附講座 2003年度」成蹊大学法学部、2004年、17頁
^ a b c d e 藤野仁三、鈴木公明『グローバル経営を推進する知財戦略の教科書』2013年、265頁
^ 「著作権特殊講義 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄附講座 2003年度」成蹊大学法学部、2004年、143-144頁
^ 「著作権特殊講義 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄附講座 2003年度」成蹊大学法学部、2004年、144-145頁
^ 茶園成樹『著作権法 第3版』有斐閣 2021年 ISBN 978-4-641-24351-4 pp.2
^ 「著作権特殊講義 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄附講座 2003年度」成蹊大学法学部、2004年、104頁
^ コンピュータネットワーク上の国際的な著作権侵害ー東北大学
^ 「著作権特殊講義 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄附講座 2003年度」成蹊大学法学部、2004年、45頁
^ "この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。" 著作権法.
^ a b c d著作権テキスト 初めて学ぶ人のために 文化庁長官官房著作権課 2010年度[リンク切れ](代替 平成28年度版PDF(※脚注リンク切れの平成22年度版ではないので注意))
^ a b c "江差追分事件がいっているように,「表現それ自体でないもの」は,著作権法における保護の対象にはなりません。" p.140より引用。部. (2013). 著作権法の守備範囲. パテント 2013 Vol. 66 No. 13.
^ [1]著作権なるほど質問箱 自動車メーカーが売り出しているファミリーカーのデザインは著作物ですか。
^ 著作権法の基本的な枠組みについて(オープンデータ関連) 文化庁 2013年1月24日
^ [2]著作権なるほど質問箱 小説や音楽などの題名は著作権で保護されますか。
^ [3]著作権なるほど質問箱 図書館で、書籍の題名、著作者名、出版者名、発行年等の書誌情報をデータベース化し、パソコンコーナーで検索できるようにしようと考えていますが、問題がありますか。
^ [4]著作権なるほど質問箱 流行語大賞を獲得した言葉や造語は著作物ですか。
^ [5]著作権なるほど質問箱 独創的な商品名は著作物ですか。
^ 大阪控判昭和11・5・19法律新聞4006号2頁(訴廷日誌事件)
^ 東京地裁昭和40・8・31判例時報424号40-41頁(船荷証券ひな型事件)
^ 著作権法要義 水野錬太郎 1899年
^ ○玩具「ファービー」人形のデザインは美術の著作物に該当しないと判断された事例 平成14年7月9日判決宣告 仙台高等裁判所 平成13年 (う) 第177号(日本の裁判所
^ K, ⇒「ポパイ」著作権侵害第3事件:東京地昭和59年(ワ)10103号平成2年2月19日判(一部認容)(1)、東京高平成2年(ネ)734号平成4年5月14日判(棄却)(2)、最高平成4年(オ)1443号平成9年7月17日判(上告認容)(3)
^ a b 半田 & 松田 2015, p. 635.
^ a b 半田 & 松田 2015, p. 646.
^ 中山 2014, p. 139.
^ a b 中山 2014, p. 131.
^ 三山 2016, p. 124.
^ 三山 2016, p. 119.
^ 中山 2014, p. 135.


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