著作物
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なお、編集著作物は素材の配列・選択に創作性を見出すため、その前提として素材が何かを確定する必要がある。

素材が何かは当該編集物の目的・性質・内容に照らして判断される必要があるが、素材に階層性が認められることもある。[35]

例えば、新聞記事にあっては、記事原稿自体が素材であるとともに、記事が伝達しようとした事実自体も素材であるとされる。[35]
表現

著作権法は表現それ自体を保護する[11]。また表現のうち創作的なもののみを保護する。よって何が表現であり何が表現でないか、表現が創作的か否かは重要な論点となる。この観点から、1つの作品は次の部分に分解できる:

作品

表現

創作的表現

表現上の創作性がない部分(ありふれた表現


表現それ自体でない部分

表. 作品を構成する4象限創作性が
あるない
表現である    創作的表現   表現上の創作性がない部分
ない表現それ自体でない部分

創作的表現

日本の著作権法体系における創作的表現(そうさくてきひょうげん)とは、表現のうち創作的なものである。

ありふれた表現の対義語である。
ありふれた表現

日本の著作権法体系におけるありふれた表現(ありふれたひょうげん)とは、表現のうち創作性の認められないものである[36]。表現上の創作性がない部分(ひょうげんじょうのそうさくせいがないぶぶん)とも呼ばれる。

創作的表現の対義語であり、表現のうち誰が表現しても同様のものが得られるものとも言える[37]
表現上の本質的特徴

日本の著作権法体系における表現上の本質的特徴(ひょうげんじょうのほんしつてきとくちょう)とは、著作物を構成する表現を本質的に特徴づけるものである。

表現上の本質的特徴は「表現上の」とあるように表現を指しており、著作権が保護する対象とみなされている。表現上の本質的特徴には(表現それ自体でない)アイデアは含まれない。

表現上の本質的特徴は「翻案」行為を定義づける重要な役割をもっている。既存著作物 A に依拠し、その表現上の本質的特徴を維持しつつ、思想・感情の創作的表現を追加した新規著作物 B を創作したとする。B の鑑賞者がAの表現上の本質的特徴を直接感得できたとき、B は A の翻案であると言える[38]。これにより、A のアイデアに依拠した新規著作物 C は原著作物であって二次的著作物/翻案とみなされないことが明確化されている[39](最高裁、江差追分事件)。

表現上の本質的特徴が著作物の「創作的表現」と1対1に対応するかは学説が分かれている。
表現それ自体でない部分「アイディア・表現二分論」も参照

日本の著作権法体系における表現それ自体でない部分(ひょうげんそれじたいでないぶぶん)は著作物の表現ではない部分である[40]

表現それ自体でない部分の例として以下が挙げられる:

思想・感情・アイデア[41]

ゲームのルール[42]


事実・事件[41]

キャラクター概念/設定[43][44]

著作権法は表現に権利を与えるものであり、表現それ自体でない部分は保護されない[11]。たとえ独創的なアイデアであったとしても、守られるのはアイデアの創作的表現であり、表現それ自体ではないアイデアは保護されない(アイディア・表現二分論)。
著作物と著作権

日本の著作権法体系において、著作物とは文芸・学術・美術・音楽に属する思想又は感情の創作的表現である。この定義に「権利性」すなわち「著作権」との関係は含まれていない。ここからわかるように、著作物という概念は著作権(支分権)と独立した概念である。「著作権を認められた作品 = 著作物」という関係ではない。

著作権法は「条件を満たした著作物」の「条件を満たした利用」に限って権利を独占的に付与する方式をとっている。例えば保護期間が切れた著作物は全ての支分権を主張できないし[45]、北朝鮮で作成された著作物は条約国条件を満たさないため保護されない。また条件を満たした著作物の複製権は、私的利用条件では付与されない(万人が自由に私的複製できる)[46]。著作物であることは著作権付与の必要条件ではあるが、十分条件ではない。
アメリカ合衆国における著作物詳細は「著作権法 (アメリカ合衆国)#著作権の定義と保護範囲」を参照

米国の法体系は連邦法と州法に分かれ、米国著作権法の主たる内容は連邦法として合衆国法典第17編 (17 U.S.C.) に収録されている。著作物の定義、保護対象と例外については第1章で規定されている。
フランスにおける著作物詳細は「著作権法 (フランス)#著作物の定義と保護対象」を参照

フランス著作権法の条文は知的財産法典(フランス語版)の第1部に収録されている。フランス著作権法は「精神の著作物の著作者」という条文表現から始まっており (L111条-1)[47]、著作者による知的な創作活動によって (創作性)、何らかの表現がなされていること (表現性) が、著作権保護の要件として挙げられる[48]。14ジャンルの著作物が著作権法上で定義されており、季節性の高いファッションや実用品デザインといった応用美術にも著作物性を認めている (L112条-2)[49]。ただし14ジャンルはあくまで例示であり、著作権の法的保護はこれらに限定されるものではない[50]
出典^ 「著作権特殊講義 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄附講座 2003年度」成蹊大学法学部、2004年、17頁
^ a b c d e 藤野仁三、鈴木公明『グローバル経営を推進する知財戦略の教科書』2013年、265頁
^ 「著作権特殊講義 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄附講座 2003年度」成蹊大学法学部、2004年、143-144頁
^ 「著作権特殊講義 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄附講座 2003年度」成蹊大学法学部、2004年、144-145頁
^ 茶園成樹『著作権法 第3版』有斐閣 2021年 ISBN 978-4-641-24351-4 pp.2
^ 「著作権特殊講義 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄附講座 2003年度」成蹊大学法学部、2004年、104頁
^ コンピュータネットワーク上の国際的な著作権侵害ー東北大学
^ 「著作権特殊講義 日本音楽著作権協会(JASRAC)寄附講座 2003年度」成蹊大学法学部、2004年、45頁
^ "この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。" 著作権法.
^ a b c d著作権テキスト 初めて学ぶ人のために 文化庁長官官房著作権課 2010年度[リンク切れ](代替 平成28年度版PDF(※脚注リンク切れの平成22年度版ではないので注意))
^ a b c "江差追分事件がいっているように,「表現それ自体でないもの」は,著作権法における保護の対象にはなりません。" p.140より引用。部. (2013). 著作権法の守備範囲. パテント 2013 Vol. 66 No. 13.
^ [1]著作権なるほど質問箱 自動車メーカーが売り出しているファミリーカーのデザインは著作物ですか。
^ 著作権法の基本的な枠組みについて(オープンデータ関連) 文化庁 2013年1月24日
^ [2]著作権なるほど質問箱 小説や音楽などの題名は著作権で保護されますか。

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