著作権法によると、二次的著作物は著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物」としている。 データベースとは、論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう(2条1項10号の3)。データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するものは、著作物として保護する(12条の2第1項)。しかし、このことは、当該データベースの部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない(12条の2 データベース以外の編集物(著作権法上単に「編集物」という)で、その素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する(12条
データベースの著作物
編集著作物
意義・特徴
しかし、このことは、当該編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない(12条2項)。
旧著作権法は「数多ノ著作物ヲ適法ニ編輯シタル者ハ著作者ト看做シ其ノ編輯物全部ニ付テノミ著作権ヲ有ス但シ各部ノ著作権ハ其ノ著作者ニ属ス」と規定しており、非著作物を素材とする編集物が編集著作物となるか疑義があった。[23]
そのため、現行法は素材の選択・配列に創作性が認められる編集物を広く保護すべしとの思想のもと、編集著作物に関する定義規定を設けた。[23]
編集著作物の法的性質については、編集著作物とその他の著作物との間に明確な境界線を引くことは困難であり、確認的規定に過ぎないとする見解もあるが、素材の選択・配列という行為が独立して著作権により保護されるという点で、創設的な規定であるとする見解も有力である。[24]
特に、非著作物を素材とする編集物については、素材そのものには特質性がない中で、もっぱらそれを選択・配列することに創作性が認められるという点で、通常の著作物とは大きく異なるとされる。[25] 現行法が、素材の選択と配列に創作性を見出して、非著作物を素材とする編集著作物をも保護範囲に含めたことは、実質的には編集方針というアイデア保護に一歩踏み込んだものとされる。[26] しかし、それでも現行法上は具体的な編集物を離れて、抽象的な編集方針というアイデアそれ自体が著作権により保護されるわけではない(アイディア・表現二分論)。[27] そのため、(特に事実を素材とする編集物において)最も創造性を有する編集方針というアイデアが保護対象外であるという矛盾を抱えるとされる。[26] また、編集方針が保護されないことの帰結として、編集著作物として保護されるのは、一定の素材を創作的に選択または配列した具体的な編集物である。 そのため、素材が全く異なる時には編集著作権侵害の余地はないとする見解もあるが、異論も多い。[28][29] 著作権法は投資保護法ではなく、人の精神的創作物の保護を企図している。[30] そのため、編集著作物の創作性も素材の選択・配列に見出され、素材それ自体の収集にどれだけの労力・資力を費やしたとしても、それを創作的に選択・配列しない限りは編集著作物としての保護は及ばない。[31] 他人が行った情報収集行為にフリーライドする行為は、現行法上は民法709条等の不法行為法により保護されるに留まる。[24] 創作性の程度については、一般の著作物と同様に、新規性や独創性までもが要求されるものでなく、編集者の何らかの個性が表れていれば足りる。[32] ただし、事実等を素材とした編集物については、安易にその保護を認めると事実の独占に繋がりかねないため、創作性の認定は慎重に行う必要があるとされる。[32] また、創作性は素材の選択または配列のいずれかに現れていれば良い。[33] 「(上林暁が執筆した作品の内)判読不能なもの、未完成のもの、一部しかなく完全でないもの、全集と重複するものや対談等の記事を除き、本件書籍を構成する作品として本件書籍に収録」した場合、収録及び除外基準はありふれているため編者の個性が現れているとまではいえないが、「一定の分類項目を設け(特に「アンケート」,「自作関連」,「観戦記」という分類項目を独立させ)、作品をそれらの分類項目に従って配列した点には、編者の個性が表れているということができる」とした裁判例が存在する(知財高判平28・1・27、『ツェッペリン飛行船と黙想』事件)。[33][34] なお、編集著作物は素材の配列・選択に創作性を見出すため、その前提として素材が何かを確定する必要がある。 素材が何かは当該編集物の目的・性質・内容に照らして判断される必要があるが、素材に階層性が認められることもある。[35] 例えば、新聞記事にあっては、記事原稿自体が素材であるとともに、記事が伝達しようとした事実自体も素材であるとされる。[35] 著作権法は表現それ自体を保護する[11]。また表現のうち創作的なもののみを保護する。よって何が表現であり何が表現でないか、表現が創作的か否かは重要な論点となる。この観点から、1つの作品は次の部分に分解できる: 表. 作品を構成する4象限創作性が 日本の著作権法体系における創作的表現(そうさくてきひょうげん)とは、表現のうち創作的なものである。
編集方針の不保護
編集物における創作性
表現
作品
表現
創作的表現
表現上の創作性がない部分(ありふれた表現)
表現それ自体でない部分
あるない
表現である 創作的表現 表現上の創作性がない部分
ない表現それ自体でない部分
創作的表現
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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