著作権法
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

38条営利を目的としない上演等私人が所有する家庭用のDVD、ビデオテープ等については頒布権は消尽するとされている[45]

営利を目的とせず(非営利)、聴衆・観衆から料金を受けず(無償)、かつ実演家・口述家が報酬を受けない(無報酬)場合には、公表された著作物を上演・演奏・上映・口述することができる。実際には、非営利の要件は厳しく、商品の宣伝に著作物を使用する場合は、非営利とは認められない[46]。また、観客等からだけでなく、開催者から実演家に報酬など直接の対価がある場合も認められない。(1項)具体的には、学校の運動会などがこれに該当する[47]

営利を目的とせず(非営利)、聴衆・観衆から料金を受けない(無償)場合には、放送・有線放送される著作物を受信して有線放送し、自動公衆送信し、または受信装置により公に伝達することができる。ここでの自動公衆送信については、それによる受信対象地域が放送対象地域に限定されている必要がある。この規定は放送等と同時に伝達することを要件としており、放送等を録画・録音して事後に再度伝達する事は含まれない。また、「受信装置により公に伝達」とは、受信装置により通常の方法で伝達されることを想定しており、受信装置以外の特殊な方法、装置を用いて伝達範囲を拡大することなどは認められない。なお、通常の家庭用受信装置(テレビ、ラジオなど)により公に伝達する場合は、非営利・無償の要件は適用されない。よって、営利目的の店舗等に置かれている家庭用テレビ・ラジオによる伝達は権利の対象とならない。(2項)

営利を目的とせず(非営利)、貸与を受ける者から料金を受けない(無償)場合には、映画の著作物以外の著作物の複製物(権限者による複製物であって、私的使用を目的とした複製(30条)により増製されたものではない)を公衆に貸与することができる。図書館等が無償で著作物を貸与できるようにするための規定であるが、主体は限定されていないため、私人間における非営利・無償の貸与も対象となる。なお、DVDなど映画の著作物については適用されないため、図書館で映画を公衆に貸与する場合、図書館から著作権者に著作権料が支払われている。(3項)

映画の著作物に関しては、権限者による複製物の頒布(譲渡、貸与)も頒布権が及ぶが、図書館ほか政令で定める公的な視聴覚施設間における無償の頒布は、補償金を権利者に支払うことにより認められる。(4項)

42条の2行政機関情報公開法等による開示のための利用行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人は、行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法又は情報公開条例の規定により著作物を公衆に提供し、又は提示することを目的とする場合には、それぞれの法令で定める方法により開示するために必要と認められる限度で著作物を利用することができる。なお、行政機関以外では、最高裁判所は「最高裁判所の保有する司法行政文書の開示等に関する事務の取扱要綱」に、衆議院事務局は「衆議院事務局の保有する議院行政文書の開示等に関する事務取扱規程」に基づき情報公開制度を実施しているが、本条による著作物の利用を行えないため、国の機関以外の者が作成した著作物について、著作権を理由に不開示決定することが可能となる。
46条公開の美術の著作物等の利用屋外に恒常的に設置された美術の著作物や建築の著作物は利用できる。

ただし、制限には例外があり、専ら販売目的での美術の著作物の複製等、利用が認められないものがある。[48]

著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用

思想感情の享受を目的とせず一定の要件を満たした場合、著作財産権が制限され著作物を他者が自由に利用できる(第30条の4)。

著作権法において、思想感情の享受を目的とせず、各著作物の様態に照らして著作権者の利益を不当に害さない場合[49]、利用目的に必要な範囲[50][51]での全著作財産権が制限される[52][53]

具体的用途として「利用技術の開発・試験[54]」「情報解析[55]」「知覚を伴わないコンピュータでの情報処理[56]」が明示されている。
著作者人格権と著作権制限規定

著作権制限規定は原則として著作者人格権に影響しない(法第50条[37])。一方で例外が存在する。
同一性保持権と著作権制限規定

著作権制限規定のいくつかは二次的著作物の創作権(翻案権)を制限している、すなわち原著作物の自由な改変を認めている。これが著作権者の意に反した改変を認めない著作者人格権(同一性保持権)と衝突するのではないか、という論点がありうる[57]

この論点について、裁判例[58]・学説[59][60]いずれにおいても、翻案が認められる(同一性保持権侵害とならない)とされている。なぜなら、同一性保持権侵害を常に認めた場合、著作権制限規定が翻案を認めた趣旨が損なわれてしまう(制限規定を明文で制定する意味がない)からである。
著作者人格権

著作者人格権とは、著作物を創作した著作者に認められる人格的利益を保護するための権利である。著作権(著作財産権)とは異なり、一身専属的な権利であるため、他者に譲渡することはできない。公表権・氏名表示権・同一性保持権の3種の権利が存在する。詳細は「著作者人格権」および「同一性保持権」を参照
著作隣接権「著作隣接権」も参照

著作隣接権とは、「著作物を公衆に伝達する役割を果たす行為に対して与えられる独占的な財産権」のことを指す[61]。具体的には、実演家・”(法でいう)レコード”製作者・放送事業者・有線放送事業者に認められる権利のことを指す[61]
なお、著作隣接権は、著作者の権利に影響を及ぼす物として解釈してはならない。
法による定義

「実演」とは、著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:115 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef