著作権延長法
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よって、この法律はディズニーに対する皮肉の意味を込め「ミッキーマウス保護法」[1]ないし「ミッキーマウス延命法」と揶揄され、2023年12月31日に両キャラクターのデビュー作である『蒸気船ウィリー』の著作権が失効し、初めて両キャラクターのパブリックドメインが発生するまで著作権保護が継続された[2][3]。なお、「Mickey Mouse」や「ドナルド・ダック」といった、主要な「キャラクター名」や「作品名」(名称・図形・タイトルロゴなど)は「商標」その他の知的財産権でも保護されているため、仮に全作品の著作権が切れたとしても(「商標権」やその他知的財産権が存続するため)自由に商用目的で使えるわけではない。

パブリックドメインを目指すグループは、この法律は、アメリカ合衆国憲法第1条8節8項の「議会は、限られた期間中、作家発明家に対して著作発明に対する独占権を与えることができる」という規定[4]に違反するものとして、差止訴訟を提起した。3人の市民が起こし(1999年)、様々な個人・52人の法学者・17人の経済学者全米作家協会インテルなどがこれを支持した。訴訟は、合衆国最高裁判所まで持ち込まれたが、評決により7対2で合憲とされ、成立が確定した(2003年2月)。

本判決後、アメリカ合衆国通商代表部 (USTR) は各国に対して著作権の保護期間を延長するよう圧力を強めている。隣国メキシコは従来、個人の死後または法人の公表後75年であった規定を100年に延長し(これは現時点で世界最長の保護期間)、日本は2003年映画の著作物に対して、2018年にこの他の著作物に対して保護期間を個人の死後または法人の公表後50年から70年に、オーストラリア2004年に全ての保護期間を、個人の死後または法人の公表後70年へと延長した。一方で、アメリカ合衆国連邦政府の延長要求を拒否し、現在も個人の死後または法人の公表後50年を維持している国や地域にはカナダニュージーランド中華民国などが存在する。
脚注[脚注の使い方]^ 福井健策 (2013年6月18日). “著作権「死後50年」は本当に短すぎるか? 10分でわかる正念場の保護期間問題”. Internet Watch. 2013年6月25日閲覧。
^ 八田浩輔 (2024年1月2日). “初代ミッキーマウス、米で著作権切れ ホラーゲーム広告も早速公開”. 毎日新聞. 2024年1月21日閲覧。
^ “初代版ミッキーマウスの著作権が失効、パブリックドメインに”. CNN.co.jp (2024年1月2日). 2024年1月21日閲覧。
^ この規定はもともと権限配分に関する規定であり、憲法の解釈としては、規定がない事項は各州の議会に立法管轄があると理解されているものである。

参考文献

ローレンス・レッシグ「FREE CULTURE」(山形浩生・守岡桜:訳、翔泳社ISBN 4798106801

横山久芳「著作権の保護期間延長立法と表現の自由に関する一考察」(学習院大学法学会雑誌・39巻2号)

福井健策「著作権とは何か 文化と創造のゆくえ」(集英社新書 ISBN 4087202941 P194 第六章 1 アメリカ「ソニー・ボノ法違憲訴訟」)

福井健策「『著作権保護延長』は文化を殺すのか クリエイターにとっての損と得」(中央公論 2006年10月号)

関連項目

永久著作権

1953年問題

青空文庫

著作権の形式的手続き

権利の所在が不明な著作物

ウォルト・ディズニー・カンパニー#ディズニーと著作権

環太平洋戦略的経済連携協定(第10章に「知的財産」の規程がある)

外部リンク

Eldred.cc
- ウェイバックマシン(2010年4月9日アーカイブ分)(違憲訴訟の原告であるエリック・エルドレッド(英語版)のサイト)

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