著作権侵害が成立するには、21条
?28条が規定する著作権の効力の範囲内で著作物が利用されていることが必要である。著作権法は、著作物の利用行為のうち、以下の態様によって著作物を利用する権利を著作者に専有させている。したがって、以下の行為が、著作権の効力が及ぶ範囲での著作物の利用に該当する。日常語としての「利用」には、著作物を読んだり視聴したり、プログラムを実行させること(「使用」)も含まれるが、上に列挙した著作権については「使用」は規定されていないため、上に列挙した著作権に対する侵害は基本的には成立しない。ただし、一部の権利侵害類型では「使用」を要件の一部とする場合もある(法113項2項など)。 著作物の利用促進等への配慮から、著作権の効力は制限される。すなわち、私的複製(30条 著作物を利用しているとされるには、現に利用されている著作物(利用著作物)が、対象となる既存の著作物(既存著作物)に依拠して作出されたものであって(依拠性)、利用著作物と既存著作物における表現が類似していること(類似性)が必要であると解する。いずれかの要件を欠く場合は、既存の著作物を利用していることにはならず、著作権侵害は成立しない。 以下のような場合は、著作物の利用について、正当な権原を有しているといえる。 著作権者から著作物の利用許諾(63条 著作権者(複製権者)から出版権(79条 以上に列挙した要件を満たさない場合は、原則として著作権侵害(直接侵害)は成立しない。しかし、これらの要件を満たさない場合であっても、直接侵害の予備的行為が著作権侵害と擬制されることがある(みなし侵害)。
著作権の効力の制限
依拠性と類似性
依拠性
「ワン・レイニーナイト・イン・トーキョー事件」の最高裁判所判決(昭和53年9月7日)は、「既存の著作物と同一性のある作品が作成されても、それが既存の著作物に依拠して再製されたものでないときは、その複製をしたことにはあたらず、著作権侵害の問題を生ずる余地はないところ、既存の著作物に接する機会がなく、従つて、その存在、内容を知らなかつた者は、これを知らなかつたことにつき過失があると否とにかかわらず、既存の著作物に依拠した作品を再製するに由ないものであるから、既存の著作物と同一性のある作品を作成しても、これにより著作権侵害の責に任じなければならないものではない」と判示し、現に利用している著作物と既存の著作物が同一または類似している場合であっても、利用著作物が既存著作物とは独立して創作されたものである場合には、著作権侵害は成立しないことを示した。このような著作権の性質から、著作権は相対的独占権
被告による原告の著作物へのアクセス可能性
被告の利用著作物と原告の著作物における表現の酷似性
原告の著作物の著名性、周知性
これらの間接事実を原告が立証したときは、逆に依拠性が存在しなかったことを、被告が独立創作の抗弁として立証しないかぎり、依拠性は認められるものと解する。
類似性
「パロディ・モンタージュ写真事件」(第一次)の最高裁判所判決(昭和55年3月28日)は、「自己の著作物を創作するにあたり、他人の著作物を素材として利用することは勿論許されないことではないが、右他人の許諾無くして利用をすることが許されるのは、他人の著作物における表現形式上の本質的な特徴をそれ自体として直接感得させないような態様においてこれを利用する場合に限られる」と判示した。本事件は著作者人格権の一つである同一性保持権侵害の事案であるが、著作権(財産権)侵害の場合にも適用されるべきものと解される。
利用者が著作物利用について正当な権原を有していないこと
著作物の利用許諾
出版権の設定
みなし侵害
著作権法113条
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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