著作権侵害
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なお、これらの損害額の算定については補充的規定であり、法114条4項および民法709条に基づいてそれらを越えた額の損害額の請求を妨げない。
不当利得返還請求
その他、著作権者は、著作権を侵害することによって利益を得ている者に対し、当該不当利得の返還を請求することができる(民法703条)
刑事罰

著作権を故意に侵害した者は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金に処せられる(懲役と罰金が併科されることもある)(119条)。

また、法人の代表者、従業員等が著作権侵害行為をしたときは、行為者のほか、当該法人も3億円以下の罰金に処せられる(両罰規定)(124条)。

刑事罰(懲役刑、罰金刑)が科されるのは、著作権を故意に侵害した場合のみである。過失により著作権を侵害した場合は、刑事罰は科されない(刑法38条1項)。

いわゆる「違法ダウンロードの刑事罰化」として、「私的使用の目的をもって、有償著作物等の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害した者に対し、2年以下の懲役若しくは 200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」[5]が定められている。違法ダウンロードの刑事罰化における「有償著作物等」とは、「録音され、または録画された著作物、実演、レコードまたは放送もしくは有線放送に係る音もしくは影像であって、有償で公衆に提供され、または提示されているもの(その提供または提示が著作権または著作隣接権を侵害しないものに限る。)」である。

これらを含む著作権侵害罪の大部分(著作権法第119条、第120条の二第三号及び第四号、第121条の二並びに前条第一項の罪とされるもの)は親告罪である(123条1項)。これらについては、著作権者による告訴がなければ、検察官公訴を提起することができない[注 5]が、TPP11協定法改正により、一定要件下の著作権等侵害等罪につき、非親告罪となった(「日本の著作権法における非親告罪化」を参照)。

技術的保護手段の回避を行うことをその機能とする装置の提供、およびそれを利用した複製を業として行った場合については、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処せられる(懲役と罰金が併科されることもある)(著作権法第120条の2第一号及び第二号)。別途、不正競争防止法による罰則もある。

著作権法には国外犯規定がないが、刑法施行法(明治41年3月28日法律第29号)第27条第1号により著作権法に掲げる罪については刑法第3条の例に従う、即ち日本国民の国外犯が適用になり、日本国内での行為の他、日本国民が日本国外で著作権侵害(罪)となる行為を行った場合、処罰される。
歴史

日本で初めての著作権侵害訴訟は、浪曲家・桃中軒雲右衛門のレコードを巡るものである[6]
アメリカ合衆国「著作権法 (アメリカ合衆国)」も参照

アメリカ合衆国ではアメリカ合衆国通商代表部(USTR)が知的財産権の保護の世界的状況について毎年評価報告書を公表している[7]。この報告書は「スペシャル301条報告書」と呼ばれるもので301の番号は1974年通商法301条を指し、通商代表部が知的財産権の保護を十分に行っていない国を特定するという条項である[7]

アメリカ合衆国通商代表部は知的財産権の保護・執行が不十分とみられる国の監視リストを報告書に記載し、それに従って米国政府は貿易制裁などの報復的措置をとることが可能となる[7]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 一定の要件下で70年となる。ただしタイミングによっては適用されず50年となる場合がある。放送及び有線放送の著作隣接権についても50年のまま(ただし放送や有線放送を構成する著作物等については別途検討要)である。(「TPP11協定法改正」参照)

^ 著作権は無体財産権の一種である知的所有権の一種であり、財産法体系的には放棄は可能と考えられる。
^ もっとも、該当著作物に関し、正当な著作権者が著作権を放棄した事を証明できれば、対抗する第三者はそれを反証しなければならない。
^ 「利用」ではなく「使用」である。よって、一般的にはプログラムの実行である。
^ これは、罪が親告罪であるために、公訴するにあたり告訴が行われている事が必要である事を意味するのであって、違法事態発見者による捜査機関への情報提供の受付や、またそこからの捜査機関による著作権者への連絡(これを受けた著作権者が告訴を行えば公訴が提起可能になる)及び事態の捜査についても行えないという事ではない。

出典^ 日本国語大辞典, 精選版. “著作権侵害とは”. コトバンク. 2021年9月16日閲覧。
^ 知恵蔵,デジタル大辞泉,ブランド用語集. “知的財産とは”. コトバンク. 2021年9月16日閲覧。
^ ホテルジャンキーズ事件、高裁判決(確定)
^ YouTubeの字幕「無断転載は著作権侵害」 大阪地裁判決 毎日新聞 2021年11月21日
^ 法第119条第3項
^ 「東京三大貧民窟」出身でありながら皇族に愛された伝説の浪曲師 百回忌で再び脚光矢来町ぐるり(新潮社)、2014.8.7
^ a b c ローラ・デナルディス『インターネットガバナンス 世界を決める見えざる戦い』2015年、河出書房新社

参考文献

田村善之 『著作権法概説』 有斐閣、2001年。

加戸守行 『著作権法逐条講義』 著作権情報センター、2006年。

金井重彦・小倉秀夫 『著作権法コンメンタール』(上下巻) 東京布井出版、2002年。

関連項目

著作権

違法ダウンロードの違法化


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