落雷
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よって、海や山などのレジャーレクリエーションゴルフ、屋外でのイベントに出かけるときなど、直ちに建物に避難できないような場所に出かけるときは、その前から天気予報に十分注意して、予定変更や中止を含めた判断を行うことが求められ、例えば野外音楽イベント花火大会などの最中でも会場から離れる選択が必要[7][9][11][24][13]

レジャーで訪れるキャンプ場海岸ゴルフ場、スポーツ競技中のグラウンドなどの開けた場所では、人に雷が落ちやすいため注意する必要がある[13]

そして、基本的には雷鳴が聞こえている間は退避を続けることが勧められている。活動再開をルール化するときには、「雷鳴が30分間聞こえない」ことなどが目安として使用される[13]

自動車、飛行機列車の中にいれば落雷が直撃しても中の人間は守られる。ただし、激しい衝撃があり窓が割れたり一部設備が焼け焦げたりする恐れがある。また、荒れた天候での自動車への避難は突風による横転のリスクも考慮する必要がある[11]

建物内では、特に一般家屋では配電線およびテーブルタップ、電源プラグで接続する家電製品およびそれに接続されているコード類、またテレビのアンテナ線は雷サージの影響を受けるものの、これらから1 m以上離れることができれば人身防護の観点では十分に安全と考えられる(家電製品自体の保護の観点ではプラグを抜くことが有効)[7]

屋外スポーツの指導者や施設管理者にも落雷事故を予防するための正しい知識が要求される。日本では高知県の高等学校の生徒が課外クラブ活動としてのサッカーの試合中に落雷により負傷した事故の損害賠償請求訴訟で、最高裁が「上空には黒く固まった暗雲が垂れ込め、雷鳴が聞こえ、雲の間で放電が起きるのが目撃されていた」という事実を認定したうえで、「スポーツ指導者において、落雷事故発生の危険性の認識が薄く、雨がやみ、空が明るくなり、雷鳴が遠のくにつれ,落雷事故発生の危険性は減弱するとの認識が一般的なものであったとしても左右されるものではない。なぜなら、上記のような認識は、平成8年までに多く存在していた落雷事故を予防するための注意に関する本件各記載等の内容と相いれないものであり、当時の科学的知見に反するものであって、その指導監督に従って行動する生徒を保護すべきクラブ活動の担当教諭の注意義務を免れさせる事情とはなり得ない」とした(平成18年3月13日最高裁判決)。
避難できない場合の被害軽減策電柱による保護範囲の概念図。見上げた角度が45°以上かつ、(この図では)2 m以上離れた領域は相対的に安全とされる。

建物へ避難できない場合は、4 - 20 mの電柱電線鉄塔の「保護範囲」内、つまり見上げた角度が45°以上かつその物体の足元からは数 m(資料によって差異があるが2 - 4 m程度)離れたところで姿勢を低くすることが次善の策となる。これはその物体が良導体で完全に接地(アース)されていることを前提とする。そのため、接地が不完全な金属柱やフェンスなどの近くにいれば側撃雷を受ける恐れがあって安全ではない。なお同様の原理で、樹木は広がる枝葉からの側撃雷のおそれがあるため近づかないほうがよい。かつては「樹木を見上げる範囲の根元から少しだけ離れたところで姿勢を低くする」ことが退避行動のひとつに挙げられたが、木の下の雨宿りの際に落雷で死亡する例は後を絶たず、現在は却って避けるべき行動とされている[7][9][11][24]

屋外活動の際に避難場所となる小屋類、特に柱・屋根のみの東屋の中には落雷からの防護が不完全なものがある。ファラデーケージのように金属製の雷防護設備が備わったものが最も安全であり、ゴルフ場などではこの種の避難小屋の設置が望ましいとされている[11]

また避難経路として、鉄塔送電線や電柱配電線を見上げて45°以上となる帯状の範囲は架空地線の保護範囲となり相対的には安全とされる[7]

退避できる場所が全くないようなやむを得ない場合には、両足を揃えて膝を曲げ、さらに爪先立ちになって接地面積を減らし、上半身は前かがみ、爆風で鼓膜が破れるのを防ぐため親指で耳の穴を塞ぎ、残りの指で頭を抱え下げる体勢をとるという方法がある(日本大気電気学会のQ&Aによる。参考:「雷しゃがみ」 - NHK防災)。体をできるだけ低くするために地面に腹ばいになるという考え方があるが、こちらは近傍への落雷による歩幅電圧(両足の電位差)の影響と、地面と体表面の間の沿面放電による心室細動の危険性が相対的に高いため望ましくないとされる。ただし、恐怖を感じるような荒れた天候の下でこのような姿勢をとり続けるのは難しく、このような事態にならないよう事前に備えることが望まれる[11][13]

なお、身に着けている金属製品については、外した場合も同様に雷撃を受け、電流は金属片だけに集中せず人体に流れることから、特に外す必要はないとされる。むしろ、体から物体を高く突き出す方が危険性を高くするので、釣り竿、登山時のピッケルなどを体より高くしない(下ろす)ことが推奨される。また、ゴム製長靴レインコートを身に着けていても危険性は低下しない[7][13]。過去には、傘を差していて落雷を受けた際に傘の骨組みが偶然にも電流をバイパスして(ジッパー効果)体内の電流が軽減された事例もあるが、常に起こるわけではなく、傘を差すことは絶対に避けるべきとされている[11]
建物・機器の落雷対策

日本での落雷数は、8月には100万回を超える[26]。家電製品などの雷被害は非常に多く、日本では少なくとも年間、数万件の被害が発生していることがわかってきた。このため日本では特に建物・機器の雷対策が欧米の雷対策先進国よりも「遅れている」と言われるようになったが、事情は複雑である[26]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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