落書き
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広島県広島市広島市立袋町小学校被曝建造物として校舎の保護活動[6]が行われていたが、老朽化により2000年8月7日より解体作業が行われた。この際に黒板の下などから当時の、避難した人の消息を伝える数多くの被曝伝言が発見されている。現在では切り取られた壁面などが平和教育用の資料として保存・公開[7]されている。

また震災等の大規模災害では通信網の分断や情報の混乱が発生し、家族と離れ離れになる人も出てくる。阪神・淡路大震災では、行方不明者や尋ね人の情報が避難所として利用されていた学校施設の壁に掲示・または書き記された。現在では当時の資料として写真の形でその多くが記録されている。
ベルリンの壁の落書き

1961年から東ドイツ政府は東西ベルリンを遮断し有刺鉄線を、のちに石壁を西ベルリンを囲むように張り巡らせ、1975年にはコンクリートの155kmに及ぶ壁が完成した。東側からは幅100mの無人地帯のため立ち入ることができなかったが、西側からは接近することができたため、壁の建設をなじり撤去を求める政治的な落書きが出現するようになった。やがてさまざまなメッセージや色鮮やかなストリートアートが西側の壁を彩ることになった。

落書きが多かった西ベルリン側の壁

郡山八幡神社の落書き

郡山八幡神社の本殿解体修理時に、木材に木片が打ち付けられているのが発見された。そこには永禄2年(1559年)8月11日の日付とともに「其時座主ハ大キナこすてをちやりて一度も焼酎ヲ不被下候(くだされずそうろう) 何共めいわくな事哉(ことかな)」(今回の施主はたいへんけちで一度も焼酎を振る舞ってくれなかった。なんともひどい話だ。)と書かれており、施主に対する愚痴を綴っただけの落書きであるが「焼酎」の語を使用した最も古い文献とされている。落書きがされている板は頭貫と呼ばれる水平材であり、打ち付けられている状態では見えないようになっていた[8]

「焼酎」の語が使用された最古の文献とされる落書き




インターネットでの「落書き」

「価値のない情報が氾濫する場」という意味で、電子掲示板に書かれる内容を、「便所の落書き」に例えることがある。由来としては、新世紀エヴァンゲリオン庵野秀明監督が、インターネット上のチャット通信について「便所の落書き」と批判したことにある[9]。また東芝クレーマー事件において筑紫哲也が自身の番組中、インターネット上の情報を、「かなり恣意的で、トイレの落書きに近い、などという酷評すらあります」と報じた[10]

インターネットの普及によって、電子掲示板や個人・団体のウェブサイト上にも、様々な落書きがみられる。荒らし行為によるものから、特定個人・団体に対する中傷もあり、中には訴訟事例に発展する事例も多い。意図してそのようなモノを公開するのは論外と言えるが、他方では意図せずそうなってしまうケースもあるため、注意が必要であると共に、掲示板管理者などにより、一定のガイドラインが示されている場合も見られる。
現代の落書き問題

現代社会で文化財のような公共財産を含む他者の財産への落書きによる汚損や破壊・落書きを放置すると治安悪化と落書き増加を招くこと・消す費用のが圧倒的に高いこと、その費用を被害者が負うこと、問われる罪が軽過ぎることが問題になっている[11][12][13][14][15][16]。落書きをする人々は、犯罪でしか自己顕示欲や承認欲求を満たせない「つまらない人間」であり、犯罪者として法的責任を負わせる必要がある[11]。一つ許すと模倣犯も増殖する。彼らは「アート」と主張するが、自己の財産以外への落書きは犯罪行為であり、器物損壊罪等にあたり、3年以下の懲役または30万円以下の罰金に課せられる。現場を直撃された落書き犯はかつ「自分は書きたい場所に書いているだけ。人の家だろうが、公共だろうが、国のなんちゃらだろうが。」「みんなそういうの思い思いに書いたりするのがアートなんで。それで成り立っている世界なんで。」と主張している。落書きされた財産の持ち主らからの依頼で落書消し業者の男性は、 書くのは簡単だろうが「消すのは大変」と指摘している[12]


フィンランドにある落書きされたルーフフェルト工場の廃墟

公共施設や他人の家屋・店舗などに勝手にペイント書きをする行為は、各国の法律において器物損壊、犯罪行為であり、落書きという様式の暴力ヴァンダリズム)である。

特に他人を誹謗・中傷する意図で攻撃的な文言を書き残した場合は、脅迫の範疇によって扱われる。これは刑法にいうところの器物損壊としてれっきとした犯罪行為であるとともに道徳的に見ても公共良俗を損なう行為である。
建造物・天然記念物への落書き

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出典検索?: "落書き" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2013年11月)

歴史的建造物に来訪者が落書きを残すケースは多く、1980年代 - 1990年代には日本人観光客らが訪れた国の文化財とされる歴史的建造物を汚損したとして逮捕される事例も度々出て問題視された。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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