菌類は植物との関係が深く、動物との関係ははるかに薄い。例えば植物寄生菌には実に多くの種類が存在し、サビキンやクロボキン
など、綱レベルの大きな分類群が丸ごと植物寄生である例も見られる。それに比べると動物寄生のものははるかに少ない。また、その遺体を分解する場合にも、動物の遺体は主として細菌類によって分解され、植物の遺体は菌類が担当する傾向がある。また、共生関係においても現在ではほとんどの陸上植物が菌根を持っていることが知られている。また、この型の菌根が古生代から存在したらしい証拠も見つかっている。他方、菌類の進化は主に陸上で起こったものと考えられる。接合菌、子嚢菌、担子菌はどれも大部分が陸生であり、水中生活のものはごくわずかである。その点、植物界の主要な群であるコケ類、シダ類、種子植物も陸上で進化したものであり、両者のそれは並行的である。このようなことから、菌類は植物と共進化してきたと考える見方がある。植物は陸上進出の段階で丈夫な繊維質を持つ茎や根を材木として発達させた。これを分解するように進化したのが子嚢菌や担子菌ではないかというのである。植物の側でも菌根などによって菌類の恩恵を受けているから、両者は共進化の関係にあるとも言える。 古典的には、菌界の大分類は以下のようになっていた[8]。下記の亜門を門として扱った例もある。現在においても、教科書などではこれを踏襲している事がある。
分類
古典的な分類体系
変形菌門(アクラシス綱・水生変形菌綱・変形菌綱・ネコブカビ綱)
真菌門
鞭毛菌亜門:ツボカビ綱・サカゲカビ綱・卵菌綱
接合菌亜門:接合菌綱・トリコミケス綱
子嚢菌亜門:半子嚢菌綱・不整子嚢菌
担子菌亜門:菌蕈綱・腹菌綱・半担子菌綱
不完全菌亜門
これ以降の大きい変更としては、まず変形菌門が菌界から外されたことが挙げられる。上記の体系では真菌門のみが菌界とされた。また、鞭毛菌に含めていたサカゲカビ類と卵菌類は菌界から外され、ストラメノパイルに分類されるようになった。この見直しで菌界から外された群は時に偽菌類と呼ばれる。
21世紀初頭の現在、菌類の分類体系には手が入り続けている。2007年に見直された分類体系では子嚢菌門、担子菌門、ツボカビ門、コウマクキン門、ネオカリマスティクス門(以上の三門が旧ツボカビ門)、グロムス菌門、微胞子虫門、および門としての分類の難しい4亜門(主に旧接合菌門に由来)に分類されている (Hibbett et al. 2007 [9])。 国際原生生物学会(ISOP)がまとめ、改定を繰り返している真核生物の分類体系があり、2020年現在の最新版である2019年のもの[10] では下記の系統が採用されている: Amorphea
国際原生生物学会の分類体系
上位の系統
Amoebozoa(アメーバや粘菌を含む系統)
incertae sedis オバゾア
Obazoaアプソモナス類 Apusomonadida
ブレビアータ類 Breviatea
オピストコンタ
Opisthokontaホロゾア Holozoa後生動物 Metazoa を含む系統
ホロマイコータ NucletmyceaRotosphaerida(ヌクレアリア、Fonticula などを含む)
菌類 Fungi
ディアフォレティケス
Diaphoretickesアーケプラスチダ Archaeplastida(灰色藻類 、紅藻類、緑色植物を含む系統) 同じく国際原生生物学会(ISOP)の2020年現在の最新版である2019年のもの[10] では下記の系統が採用されている: オピストスポリディア[11] Opisthosporidia
SAR Sar (ネコブカビ類、不等毛藻、渦鞭毛藻類、繊毛虫類、放散虫類、有孔虫類含む系統を含む系統)
ハプチスタ Haptista やクリプチスタ Cryptista などいくつかの単系統群
クルムス CRuMs など以上に属さないいくつかの単系統群
下位の系統
Rozellida(ロゼラ属 など)
微胞子虫 Microsporidia
コウマクノウキン目 Blastocladiales
ツボカビ門 Chytridiomycotaツボカビ綱 Chytridiomycetes
ディカリア Dikarya子嚢菌門 Ascomycota
担子菌門 Basidiomycota