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品種によっては海洋性気候でも生育可能であり、最北でイギリスペンブルックシャー [5]アメリカ合衆国ワシントン州[6]で栽培されている。

茶樹は種子から、あるいは挿し木によって繁殖する[7]。茶樹が種子を付けるまで4年から12年ほどかかり、新しい木が収穫(摘採)に適するまでには3年ほどかかる[4]。年平均気温が12.5 - 13以上(適温は14 - 16℃)、年間降水量が1300 - 1400mm以上、土壌はpH4 - 5程度の酸性であることが望ましいとされている[8]。茶の品質は一般に窒素を多くするほど向上する(ある程度以上では効果は薄い)。そのため多施肥化が進み、日本などでは硝酸態窒素による地下水汚染が問題になっている[9]タンザニアの手摘みの様子。
栽培されている変種

世界で主に栽培されているチャノキは基準変種であるチャノキ(学名:Camellia sinensis (L.) O. Kuntze var. sinensis)とアッサムチャ(学名:Camellia sinensis (L.) O. Kuntze var. assamica)であり[10]茶業では前者を中国種、後者をアッサム種という[11]

なお、カンボジア種 (C. assamica subsp. lasiocaly)[12] およびダージリンティー[13]はいずれも中国種とアッサム種のハイブリッドである事が遺伝子解析により示された。

また中国雲南省ではCamellia taliensis(大理茶)が茶(白茶や紅茶やプーアル茶[14][15][16])を作るのに使われている。
中国種

比較的カテキン含有量が少なく、酵素の活性も弱く酸化発酵しにくいことから、一般に緑茶向きとされている。

中国種は幹が枝分かれした低木で、寒い冬にもよく耐え、100年程度栽培可能である[17]。葉は比較的小さく、成長時の長さは5センチメートル程度である[18]中国、日本などの緑茶生産国のほか、イラングルジアトルコなど冬の寒さが厳しい場所で栽培されている[19]。また、インドダージリンスリランカでも栽培されている[17]
アッサム種

アッサム種はカテキン含有量が多く、酵素の活性が強く発酵しやすいことから、紅茶向きとされている。また黒茶のうち、プーアル熟茶もアッサム種を使うことが前述のISO 20715:2023「Tea ? Classification of tea types」に規定されている[20]

アッサム種は単幹の高木で、放置すれば6メートルから18メートルの高さにも達する。葉が大きく、15-35センチメートルまで成長する[18]。栽培に適した高さに刈り込みながら摘採した場合、経済的に利用可能なのは40年程度である[21]。アッサム種の中に5つの亜変種があるとの説もある[17]。生育の良さと葉の大きさのため収量があり、インドのアッサム地方スリランカ低地、インドネシアケニアなどで栽培されている[19]摘採直後の茶葉。同じ木から摘んだものでも、葉の小さいものの方が重量当たりの価値が高い(インド・ダージリン)。
栽培

新芽が成長してくると摘採を行う。摘採時期が遅れると収量は増えるものの、次第に粗繊維が増加して葉が硬化し、主成分であるカフェインカテキンアミノ酸テアニン)も急激に減少するため、品質が低下する。そのため、品質を保ちながら収量を確保するため、摘採時期の見極めが必要である[22]

成熟した茶樹のうち、摘採するのは上部数センチメートルの葉と葉芽だけである[23]。成長期には摘採後7日から15日で新しい葉が生え、葉がゆっくり成長するほど風味豊かな茶となるとされる[4]
味と香りの化学
主成分と味

茶には主として以下の成分が含まれている:

茶の主成分とその味要素[24]成分
うま味苦味渋味甘味酸味
カテキン類遊離型エピカテキン?◯???
エピガロカテキン?◯???
エステル型エピカテキンガレート?◯◯??
エピガロカテキンガレート?◯◯??
アミノ酸類テアニン◯??◯?
グルタミン酸◯???◯
アスパラギン酸????◯
アルギニン?◯???
その他◯◯?◯?
カフェイン?◯???
遊離還元糖???◯?
アルコール沈殿高分子物水溶性ペクチン?????

上記に上げた味のうち、渋味のみ基本味ではなく物理的な収れん感覚であり[25]辛味とともに補助味とされる[25]
香りと化合物

茶の香りの元となる主な化合物は以下のとおりである:

茶の香りと主な化合物[26]香り主な化合物
若葉の爽やかな香り青葉アルコールやそのエステル
スズラン様の軽く爽やかな花香リナロール
バラ様のあたたかい花香ゲラニオールフェネチルアルコール
ジャスミンクチナシ様の甘く重厚な花香シス-ジャスモン、メチルジャスモネート、ヨノン
果実、特に様、乾果様の香りジャスミンラクトン、その他ラクトン
木質系の香り4-ビニルフェノール、セスキテルペン
青苦く重い香りインドール
青海苔様の匂いジメチルスルフィド
加熱により生じる香ばしい香りピラジン類、フラン
保存中に増加する古茶臭2,4-ヘプタジエナールなど

分類・製造詳細は「製茶」を参照

中国茶では、緑茶、白茶黄茶烏龍茶、紅茶、黒茶の大きく6種類の区別が用いられている[27][28]。茶の分類の国際規格ISO 20715:2023「Tea ? Classification of tea types」においても同じ6分類が用いられているので[29]、これは国際的にも有効な分類である。


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