英語は複数中心地言語であり、明確な標準語は存在しない。ただし、最も早くイングランドに植民地化されたアメリカでも17世紀初頭、それ以外は18世紀末から19世紀末にかけての植民地化によって英語圏となったため言語が分化する時間が短く、さらに英語圏諸国は密接な関係を維持しているために言語の断絶も少なくなっており、意思疎通ができなくなるほどの言語分化は起こっておらず、一体性を持った言語として存続している[6]。英語の系統としては、アメリカ大陸への植民によってアメリカ英語とイギリス英語の系統に分かれており、アメリカ英語系統はカナダ英語とアメリカ合衆国英語とに分かれ、合衆国英語は植民地化したフィリピン英語の元となった。これに対し、イギリスは18世紀末以降の積極的な植民によって世界各地に英語圏を広げていき、オーストラリア英語やニュージーランド英語、西インド諸島英語やインド英語など、カナダを除く旧イギリス領諸国の英語は全てイギリス英語の系譜へと連なっている[7]。
一方、英語圏の辺縁においては、言葉の通じないもの同士が簡単なコミュニケーションを取るためのピジン言語が各地で成立した。特にカリブ海地域においては、奴隷貿易によって連れてこられたものたちの間で多様なピジン言語が成立し、さらに次の世代には母語話者を得て文法・語彙が整備され、ジャマイカ・クレオール語に代表される英語系のクレオール言語が多数成立した[8]。このクレオール言語は解放奴隷によって西アフリカへと持ち込まれ、クリオ語などの英語系クレオール言語がさらに成立した[9]。英領の太平洋諸島においてもこの過程は存在し、パプアニューギニアのトク・ピシンなどの英語系クレオール言語が成立している[10]。英国が世界各地に植民地を建設した関係上、英語を起源とするピジン言語・クレオール言語は非常に数が多く、全世界のピジン・クレオール言語の約40%は英語を起源とすると考えられている[11]。
方言
イギリス英語
容認発音(RP、BBC英語、クイーンズイングリッシュ[米国で使うことの多い呼び名])
コックニー(ロンドン下町英語)
河口域英語
スコットランド英語
スカウス(リヴァプール英語 / マージーサイド英語)
ジョーディー
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出典検索?: "英語"
もともとイギリス諸島の先住民はケルト人系であり、ケルト語系の言語が使用されていた。やがて1世紀からローマ人がブリテン島に駐留するようになったが、そのローマ人が西暦410年に本国に引き上げると、5世紀半ばから6世紀にかけて、ジュート人・アングル人・サクソン人といったゲルマン系の人々が大陸からブリテン島に渡来して、先住のケルト人を支配するようになり、イギリス諸島においてゲルマン系の言語が定着した。ここから英語の歴史が始まる。彼らの話していた言語はゲルマン語派のうちの西ゲルマン語群に属しており、ドイツ語やオランダ語と近い関係を持っていた。なかでもオランダのフリースラント州で話されていたフリジア語とは極めて近い関係にあり、アングロ・フリジア語群として同一語群の中に含まれている[12]。