英語学
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本来、英語が属するゲルマン語派屈折語であるが、英語に限っては孤立語の特徴が顕著に現れるようになった(分析的言語(Analytic language) )。その結果として、活用体系が崩れ、接置詞が発達した。

ゲルマン語系語彙の使用頻度が高いが、ラテン語フランス語などの影響を受け、ロマンス諸語系の語彙も多く用いられ、それらの複合語 (Compound)および派生 (Derivation) が広く浸透している。

この影響により、ゲルマン語系でありながら"c"が /ts/ ではなく、/k/ または /s/ で発音される(car、centerなど多数)。


綴り字

綴り字と発音との対応関係には主要な規則以外の多種の規則が見られる。また規則から外れたものも少なくない。(フォニックス大母音推移なども参照)

例えば、"ou"の場合、

"mouse" /ma?s/  聞く[ヘルプ/ファイル](この"ou"の発音については英語の規則に則っている)

"rough" /??f/  聞く[ヘルプ/ファイル]

"cough" /k??f/  聞く[ヘルプ/ファイル]

"soul" /s??l/ (英)、/so?l/  聞く[ヘルプ/ファイル] (米)

"loupe" /luːp/  聞く[ヘルプ/ファイル]



音声・音韻学
発音

イギリスでは容認発音 (Received Pronunciation)や河口域英語アメリカでは一般米語 (General American) が標準発音とされている。

例えばtow [to?]と類音で表記される場合でも、実際には、容認発音では[t???]、一般米語では[to??]などと発音に多少の差がある(→International Phonetic Alphabet chart for English dialects)。なお本稿ではIPA発音表記を用いている。


コミュニケーションには支障をきたさないが、英語母語話者には以下のような音韻的現象が生じないと違和感を覚えることがある[1]

sの直後でない強勢の直前の無声音の帯気がある。(例:timeのt)

合成語を除き、sの直後に来る語尾でない無声破裂音が無気音になる。(例:stayのt。ただし、合成語であるdistasteのtは有気音)

円唇母音の前の子音が円唇化する。(例:doのd)

鼻音の前の母音は鼻音化する。(例:canのa)

語末の子音が開放を失う(内破音になる)ことがある。(例:patのt)


子音

英語の子音のIPA表は以下のようになる。

両唇音両唇軟口蓋音唇歯音歯音歯茎音後部歯茎音硬口蓋音軟口蓋音声門音
破裂音p b   t d  k ? 
破擦音+他音      [2]   
鼻音m   n  ŋ 
摩擦音  f vθ ðs zʃ ʒ  h[3][4] 
接近音   ? w[5]    ɹ   j[6]  
側面接近音   l    


音素ではない破擦音: /ts/, /dz/

r の発音(国際音声記号の/?/)は、英語学の慣習上の発音記号は/r/と表記される。

j, g の発音で /d?/ が用いられる。

s の一部の発音で /?/ が用いられる(pleasure, precision など[7])。

wh の発音は現代はほぼ /w/ が用いられる[8](なお who/whoo では /h/)。

qu + 母音、gu + 母音(アクセントのない場合)の u は /w/ と発音される。

母音

英語の母音三角形は以下のようになる。左右の区別は、左が非円唇母音、右が円唇母音

前舌中舌後舌
i       u
ɪ    ʊ
半狭e       o
ə
半広ɛ  ?  ? ɔ
æ  (?) 
a  (a)  ɑ ?


英語で /?/ だった発音は現代では実際にはほぼ曖昧母音の/?/もしくは/?/へ変化している[9]。短母音の/?/は現代では、イギリスではほぼ/?/へ(北米では/?/へ)変化している[10]

二重母音・三重母音があり、母音音素が複数集まって1つの音素として識別される。

二重母音 /e?/, /??/, /a?/, /a?/, /??/, /??/, /e?/, /??/

三重母音 /???/, /a??/, /a??/, (/e??/, /???/)



現代英語においては、ゲルマン語由来の「母音の長さ」すなわち長母音[11](long vowels)と短母音[12](short vowels)と呼ばれる母音の区別の概念は[13]、通常の音声学及び多くの言語(日本語を含む)とはかなり異なっている。

英語話者は通常の音声学でいう母音の長さ(長音記号 /?/ )の区別を強くは意識しない[14]。ただし日常的に見られる音声学でいう長母音には/i?/, /u?/, /??/などがある。

また北米では、以前は /??/ だった母音が /a/ と発音される単語例も多く(語尾を除く)、また短母音だった /?/ が /??/ に近く発音される例も多い。


なお長母音・短母音の区別は綴り字上区別可能で規則的関係を持つ場合も多い。例えば、その後ろの子音字が後にeを伴うかどうかの区別がある[15]

長母音・短母音は一定の条件の下で転換可能である。例えば、

direction(長短どちらでも発音される)

bathe(動詞) ? bath(名詞)

hide(不定形) ? hid(過去形)





現代英語における「母音の長短」の認識の区別は以下の表に示された音の区別を指す。発音記号は類音(en:Help:IPA_for_English)を表記している。

ただしこの中で、/?r/, /?r/, /??r/ の間の発音の差は小さく、区別が必要になることはほぼない。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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