英語の文法
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これを「仮定法過去」といい、叙述されているのは現在の状態・動作である。仮定法によって過去の状態・動作を叙述するには、次のような構造を用いる。

例:If I had been a bird, I could have flown into the sky. 「もし私が鳥だったならば、空に向かって飛んでいけたのだが。」
条件節内を「助動詞 have の過去形 had+過去分詞」とし、主節内を「助動詞過去形+助動詞 have+過去分詞」とする。これを「仮定法過去完了」という。仮定法の条件節において if を使わず、助動詞を倒置させることがしばしばある。

例:Had I had the money, I could have made my fortune. 「あの金さえあればひとやま築けたのに。」

命令法動詞を原形で文の最初に置くことによって表現する。命令法以外では文頭に動詞の原形が置かれることはほとんど無い。

例:Be quiet. 「静かにしなさい」 Go to school. 「学校に行け」 Open the window. 「窓を開けなさい」

時制

英語の基本的な時制は非過去と過去の二つである。これはゲルマン語派系言語に共通する特徴である。過去形は不規則変化動詞においては語幹変化で、規則変化動詞においては -ed 語尾を付して表現する。本来英語には未来時制がないので、未来のことを表現するときは法の助動詞 will, shall を用いて表現したり be going to という慣用表現を用いたりする。直近の予定は現在進行形で表現することもある。

英語の時制、法、相、態は以下のように結びつく。

時制法相態動詞
完了形進行形
O (非過去)

-ed (過去)O (通常)

will (未来)O (通常)

have -ed (完了)O (通常)

be -ing (進行)O (能動)

be -ed (受動)do

時制、法、完了、進行が各2通りあるので、実質的な時間表現は16通りある。不定詞では相および態しか使えない。本来の時制の他、will による未来表現も時制に入れることがある。この場合、-Oが現在、-edが過去、willが未来、wouldが過去未来と呼ばれる。

英語のは、完了形進行形が存在する。
完了形「助動詞 have + 過去分詞形動詞」によって表される。助動詞 have を過去形 had にすることにより、完了相の時制を表現することが可能である。

現在完了の例:She has gone to India.「彼女はインドへ行ってしまった。」

過去完了の例:He said that she had gone to India.「彼は、彼女がインドに行ってしまったのだと言った。」
過去完了を用いることにより、間接
話法中において、時制の差異を表現することができる。これを「大過去」ともいう。現在完了と過去時制との違いは、後者が過去における事実を叙述するに過ぎないのに対し、前者は過去の行為が現在に及ぼす影響を含んでいること。したがって現在完了は経験や継続を表すのに使われる。

現在完了の例:She has gone to India.「彼女はインドへ行ってしまった。」そのまま戻っていない。

過去の例:She went to India.「彼女はインドに行った。」もう戻っているかもしれないし、戻っていないかもしれない。

現在完了の例:She has lived in India.「彼女はインドに住んだ経験がある」または「彼女はインドに住み続けている。」

過去の例:She lived in India.「彼女はインドに住んでいた。」現在どこに住んでいるかは叙述していない。
古くは自動詞の完了相は「助動詞be + 過去分詞形動詞」によって表されていた。現在でも少数の自動詞は慣用的にこの形をとる。「少数」とはいえ、慣用により頻出である。

例 He is gone. 「彼は行ってしまった。」

例 The sun is set. 「日は沈んでしまった。」

例 I'm done with it. 「私はもう済みました。」

進行形「助動詞 be + 現在分詞形動詞」によって表される。ただし動作を表す動詞にしか用いることはできない。また助動詞 be を過去形 was, were にすることにより、進行相の過去時制を表現することが可能である。

現在進行形の例:She is playing tennis.「彼女はテニスをしている。」

過去進行形の例:She was playing tennis.「彼女はテニスをしていた。」

英語の能動態受動態があり、能動態においては動詞によって表される状態・動作を主語が行うことを表す。一方受動態は、主語が何らかの動作を「されている」ことを表す。受動態は「助動詞 be + 過去分詞」で表現され、その場合の真の動作主は by で導かれる前置詞によって表されるが、by以下が省略され真の動作主が表されないこともある。ただし、他動詞に限定され、能動態において目的語を取らない自動詞は受動態にできない。また、助動詞 be を過去形 was, were にすることにより、受動態の時制を表現することが可能である。

「能動態」の例:He built the dog house.「彼は犬小屋を造った。」

「受動態」の例:The dog house was built. 「犬小屋が造られた。」

これらの法・時制・相を組み合わせて複雑な時間軸・動作の表現をすることも論理上可能になる。

例:He would say that the building had been being built.「彼は言っただろう、その建物は建設中であったと。」

be動詞の活用

原形は be である。仮定法過去においては人称に関係なく were となる。過去分詞形は been、現在分詞、動名詞は being である。

直説法一人称二人称三人称
単数複数単数複数
現在形amareareisare
過去形waswerewerewaswere

人称代名詞とbe動詞の関係

be動詞の変化の仕方などについては、下の表を参照。be動詞は進行形にも使用される。

標準的な現代英語における人称代名詞と対応するbe動詞人称主格
(~が/~は)目的格
(~に/~を)所有格
(~の)所有代名詞
(~のもの)再帰代名詞
(~自身)対応するbe動詞
現在形過去形過去分詞現在分詞
単数一人称 (私)Imemyminemyselfamwasbeenbeing
二人称 (あなた)youyouryoursyourselfarewere
三人称男性 (彼)hehimhishimselfiswas
女性 (彼女)sheherhersherself
中性 (それ)itits-itself
複数一人称 (私たち)weusouroursourselvesarewere
二人称 (あなた達)youyouryoursyourselves
三人称 (彼ら/彼女ら/それら)theythemtheirtheirsthemselves






I'm Jim. 私はジムです。

You're playing soccer. あなたはサッカーをしています。

She was young. 彼女は若かった。

It's cold. 寒い。

Is she a teacher? 彼女は先生ですか?

What are those? あれらは何ですか?

Who left their dirty socks on the breakfast table? 誰が朝食机の上に汚れた靴下を放置したの?

動詞を原形で用いる場合

原形で使用する場合もある。

助動詞の後 例 It must be true. それは本当に違いない。

不定詞のとき 例 Be sure to be there at ten. 10時には必ずそこに行きなさい。

命令文のとき 例 Be quiet. どうか静かにしてくれ。

要求・提案を表す動詞につづくthat節。ただし、
イギリス英語ではshould+動詞の原形となる。 例 I demanded that they be present at all classes. 私は彼らがすべての授業に出ることを要求した。

助動詞

助動詞は法、相などの文法的機能を担い、意味を担う本動詞と共に用いる。
不定詞を後置する場合助動詞には直後に原形不定詞を置くものと to不定詞を置くものがある。中でも可能・義務・予定など、話者の意思を表すものは法助動詞と呼ばれ、助動詞の中でも使用の頻度が高い。

法助動詞の例:can, will, shall, may, must, need, dare
古英語・中英語期に、一般動詞として使用されてきたものが転じて助動詞となったものがある。must を除く法助動詞は過去形を持ち、本動詞の代わりに語形変化をして過去時制を表す。

例:Once I could swim very well.「私はかつて、上手く泳げた。」
英語には元来未来時制は存在しないが、will, shall, be going to を用いることによって未来を表せる。
分詞を後置する場合分詞を後置する助動詞には have, be があり、各々過去分詞・現在分詞と結びついて完了相・進行相を形成する。この場合 have, be は主語の人称・数・時制に対応して一般動詞の場合と同様の語形変化をする。
疑問文と否定文の形成
助動詞が無い文の場合助動詞が無い肯定文を疑問文・否定文にするには、助動詞 do を用いる。その場合の do は主語の人称・数・時制に対応して語形変化する。その際の語順は、疑問文の場合「助動詞 do →主語 →本動詞」となる。

例:Do you swim? 「あなたは泳ぎますか?」

例:Does he swim? 「彼は泳ぎますか?」

例:Did you swim? 「あなたは泳ぎましたか?」
ただしbe動詞と古風なイギリス英語における所有を表す have は、do を使わずに主語と倒置させて疑問文を作る。

例:Are you a swimmer? 「あなたは泳者ですか?」

例:Do you have a pen? 「ペンを持っていますか?」
否定文の語順は「主語→助動詞 do→副詞 not→本動詞」となる。一般に do と not が縮約して don't になる。疑問文と同様、be と古風なイギリス英語における have は、do を用いない。

例:I do not swim. 「私は泳ぎません。」

例:He does not swim. 「彼は泳ぎません。」

例:You did not swim. 「あなたは泳ぎませんでした。」

例:I am not a swimmer. 「私は泳者ではありません。」

例:I do not have any money. 「私はお金をまったく持っていません。」

助動詞がある文の場合助動詞がある肯定文を疑問文にするには、助動詞を主語の直前に置き語順を「助動詞 - 主語 - 本動詞」にする。

例:Can you swim? 「あなたは泳げますか?」

例:Are you driving? 「運転中ですか?」
また、助動詞の直後に副詞 not を置くことにより否定文を形成する。am と may を除き、n't を含む縮約形がある。ただし口語表現では mayn't という形は存在し、また砕けた表現ではあるものの am not→ain't という表現がある。

例:I will not swim. 「私は泳ぎません。」

例:I am not driving. 「運転中ではありません。」

疑問否定文の形成否定文をさらに疑問文にするには、助動詞を主語の前に移動する。この時、n't を含む縮約形は1語と見なす。

例:Don't you swim? 「あなたは泳がないのですか?」

例:Aren't you driving a car? 「運転中ではないのですか?」
硬い表現では縮約形を使わないが、この時、not は元の位置に留まる。am と may は縮約形が無いので、必ずこの形式になる。

例:Do you not swim? 「あなたは泳がないのですか?」

例:Are you not a swimmer? 「あなたは泳者ではないのですか?」

否定命令文の形成動詞の種類にかかわらず don'tを文頭に置く。副詞の never を用いることもある。

例:Don't swim. 「泳ぐな」

例:Don't be surprised. 「驚かないでね」

例:Never mind.「気にするな」

付加疑問文の形成助動詞と代名詞からなる2語の疑問文を文末に付加し、付加疑問文を形成する。付加疑問文では文中の動詞と同一の時制、相をとる。先行する文が肯定文の場合は付加疑問文は否定文となり、先行する文が否定文の場合は付加疑問文が肯定文となる。


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