冷戦が終結した近年においても、イギリス空軍は1991年の湾岸戦争で100機以上の航空機を参加させ、実戦で初めて誘導爆弾を使用したことで、イギリス空軍の歴史において重要な分岐点となり、その後も空中給油機と偵察機を動員して多国籍軍を支援した。コソボ紛争(コソボ戦争)は第二次世界大戦の終結以来、初めてヨーロッパでの作戦行動となった。
イラク戦争でも多数の航空機を派遣して大規模な作戦行動を行った。同作戦でアメリカ軍のパトリオット地対空ミサイルシステムによる誤射でトーネード攻撃機を撃墜され、搭乗していたパイロットとシステム・オペレーターの2名が死亡した。また、対空砲火でC-130輸送機が撃墜され、10名の人員が殺傷されている。
2015年にはシリア領内で活動するISILへの空爆作戦を開始した[5]。 イギリス空軍は国防会議 (Defence Council) の空軍委員会 (Air Force Board 現在の国防省が創設されるまでイギリス空軍とその人員は、航空省の空軍会議によって管理されていた。1964年に空軍会議の責務は国防会議が引き継ぎ、新たに陸海空の委員会が編成され、そのうちの空軍委員会がイギリス空軍の管理を任ぜられた。空軍参謀総長サー・リチャード・ナイトン大将 委員[6]
構成と編制単位バッジ
指揮
空軍委員会
国防大臣 (The Secretary of State for Defence)
Minister of State for the Armed Forces
Minister for International Defence and Security
Minister of State for Defence Equipment and Support
Under Secretary of State for Defence and Minister for Veterans
2nd Permanent Under Secretary
空軍参謀総長 - 空軍大将 (Air Chief Marshal)
空軍参謀次長 - 空軍中将 (Air Marshal)
Air and Space Commander
Chief of Materiel (Air)
Air Member for Equipment Capability
Assistant Chief of the Air Staff (Air Vice-Marshal)
軍団戦闘機軍団のスーパーマリン スピットファイア
1936年に多種にわたる航空機の管理を特化すべく軍団の設立が始まった。イギリス空軍の戦闘機を管轄する組織として戦闘機軍団が創設され、爆撃機は爆撃機軍団の管轄下に入った。海からの脅威に航空機で対処するため、沿岸軍団も設立された。第二次世界大戦の開戦時には、戦闘機軍団、爆撃機軍団、沿岸軍団、気球軍団、整備軍団、訓練軍団があった。このうち、訓練軍団は、1940年から1968年にかけて、飛行訓練軍団と技術訓練軍団に分割された。
1941年に輸送機を管理する軍団として空輸軍団が創設された。1943年に輸送軍団に名称を変更し、さらに1967年に航空支援軍団へ名称を変更した。
イギリス空軍の打撃軍団は1968年に戦闘機軍団と爆撃機軍団を統合して作られた。1969年に沿岸軍団と信号軍団を吸収し、1972年には航空支援軍団も吸収した。
1973年に整備軍団と第90航空群の統合によって支援軍団が創設された。1977年に訓練軍団を吸収し、1994年に人事・訓練軍団(通称PTC)と兵站軍団へ分割。人事・訓練軍団はイギリス空軍全人員の養成を受けもつほか、イギリス空軍内の契約や人員の生活保護、人員の補充、予備役や転勤の管理などに責任を持った。兵站軍団は、前線兵力の規模縮小 (Options for Change) に合わせた後方人員数とされたため1999年に廃止、その機能は Defence Logistics Organisationを経て現在はDefence Equipment and Supportに引き継がれた。
これら統廃合の末、2007年には打撃軍団と人事・訓練軍団が存在し、この2個軍団に空軍委員会から権限を委任されていた。同4月1日より打撃軍団と人事・訓練軍団を統合し、航空軍団が編成された。現在のイギリス空軍において航空軍団が唯一の軍団であり、統合前の二つの軍団の命令系統は現在の軍団司令部に完全に集約されている。司令部 (HQ) はハイ・ウィッカム空軍基地に置かれている。 航空団(Group)[注釈 1][注釈 2]は、特定の任務に向けて編成される。限定的な環境や地域で活動し、特定種の任務に就く。
戦闘機軍団 (Fighter Command) 1936年
爆撃機軍団 (Bomber Command) 1936年
沿岸軍団 (Coastal Command) 1936年
訓練軍団 (Training Command) 1936年
気球軍団 (Balloon Command) 1938年
整備軍団 (Maintenance Command) 1938年, 支援軍団 (Support Command) 1973年
空輸軍団 (Ferry Command) 1941年, 輸送軍団 (Transport Command) 1943年, 航空支援軍団 (Air Support Command) 1967年
信号軍団 (Signals Command) 1958年
打撃軍団 (Strike Command) 1968年
兵站軍団 (Logistics Command) 1994年
人事・訓練軍団 (Personnel and Training Command) 1994年
航空軍団 (Air Command) 2007年
航空団
第1航空団(航空戦闘、ハイ・ウィッカム空軍基地):戦闘機を運用する。訓練基地として広範囲に使われるカナダのグースベイ航空基地
第2航空団(航空戦闘支援、ハイ・ウィッカム空軍基地):戦略および戦術輸送機、ISTAR、空中給油機、捜索救難機を運用する。空軍連隊が指揮下にある。
第22航空団(ハイ・ウィッカム空軍基地):雇用、訓練、管理を行う。
第38航空団(ハイ・ウィッカム空軍基地):エンジニアリング、兵站、通信、医療、軍楽隊などを担当する。
第83遠征航空団(アル・ウデイド空軍基地):常設統合司令部の指揮下でアフガニスタンやイラクなど中東地域での任務を支援する。
飛行群イラク戦争に参加したトーネード GR.4
飛行群(Wing)[注釈 1]は、特定の任務に向けて航空団隷下の部隊単位として編成される。管理部門として基地からも編成される。
独立飛行群は、飛行隊か地上支援隊の2つ以上の隊で編成される。近年は、必要な時に編成される。イラク戦争(テリック作戦)では、トーネード飛行群はクウェートとドーハの空軍基地から活動するために編成された。 飛行隊 (Squadron) は、主要任務を遂行する航空部隊単位であり、任務によって運用する航空機を変更する。大部分の飛行隊は、空軍中佐に指揮される。イギリス陸軍の連隊といくつか類似した特徴があり、基地に関係なく編成されており、歴史と伝統がある。地上支援隊は、飛行隊と同じ規模で基地に配備される。 飛行班 (Flight) は、飛行隊の下位編成である。空軍少佐に指揮され、2から16個の飛行班で飛行隊が編成される。小規模な編成であるため、独立して編成されることもある。例えば、フォークランド諸島の第1435飛行班などである。
飛行隊
飛行班
基地
本土.mw-parser-output .locmap .od{position:absolute}.mw-parser-output .locmap .id{position:absolute;line-height:0}.mw-parser-output .locmap .l0{font-size:0;position:absolute}.mw-parser-output .locmap .pv{line-height:110%;position:absolute;text-align:center}.mw-parser-output .locmap .pl{line-height:110%;position:absolute;top:-0.75em;text-align:right}.mw-parser-output .locmap .pr{line-height:110%;position:absolute;top:-0.75em;text-align:left}.mw-parser-output .locmap .pv>div{display:inline;padding:1px}.mw-parser-output .locmap .pl>div{display:inline;padding:1px;float:right}.mw-parser-output .locmap .pr>div{display:inline;padding:1px;float:left}バークストン・ヒース
在英アメリカ空軍使用基地
ヘンロウ空軍基地(軍用、ベッドフォードシャー、ヘンロウ。