1908年に日本の池田菊苗が東京帝国大学にて四基本味の他に「うま味」について報告した[2]、四基本味に「うま味」が加わり、五基本味と考えられるようになった。
生理学的定義に基づく味覚のいわゆる五原味(甘・酸・塩・苦・うま味)には含まれないものに、「辛味」「渋味」「冷味」「刺激味」「?味」があるが、これは味覚ではなく触覚に近い感覚である[3]。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}渋味は苦味と似ているが、味覚の差は、苦味物質の混合比率や濃度により変化する[要出典]。
苦味を感じさせる化合物への拒否反応は、毒性化合物の摂取を避けるための反応だとされている。苦味のある化合物への感受性は多くの種で異なり、これは生態学的地位および食物選択の違いの結果と考えられている。 苦味物質は、主に、アルカロイド類のカフェイン、テオブロミン、ニコチン、カテキン、テルペノイドのフムロン類、リモニン、ククルビタシン、フラバノン配糖体のナリンジン、苦味アミノ酸、苦味ペプチド、胆汁酸、無機塩類のカルシウム塩、マグネシウム塩がある[4][5]。 茶などに含まれるカテキン、コーヒーなどに含まれるクロロゲン酸などがある。デナトニウムは、最も苦味の強い物質としてギネスブックにも記載されている。 「苦い」という味覚は古来より敬遠される傾向にあったので「苦々しい(苦いものを食べた時のような渋い顔)」、「臥薪嘗胆(がしんしょうたん、苦い肝を嘗めて辛い思いを忘れずに精進する」、「苦虫を噛み潰したよう(不愉快な時の顔つき)」などといった言葉の語源にもなっている。 適度な苦味はブラックコーヒー、魚介類の「わた」など内臓料理の珍味、酒、渋茶(濃茶)などで親しまれているケースもある。微かに苦いと感じることを「ほろ苦い」という。適度なほろ苦さは好まれる傾向にあるが、どのレベルの苦さを「ほろ苦い」と感じるかは人による。
苦味物質
苦味のうまさ
苦味のあるものニガウリ(ゴーヤー)ホップ
煎じたもの
ブラックコーヒー
濃茶(こいちゃ、=濃い抹茶)。濃く入れた紅茶、緑茶(無糖ストレートのもの)
砂糖を加えていないカカオ(ビターチョコレート)
カラメル
ニガウリ(=ゴーヤー、ツルレイシ)
菜の花
シュンギク
ケール
山菜類 (フキノトウなど)
ヨモギ(草餅、ヨモギ汁
ホップ(ビール)
ウイスキー
渋柿
柑橘類 (グレープフルーツ、ナツミカンなど)
薬の一部
粉薬の一部
煎じ薬
丸薬の一部(正露丸など)
アモバン
キニーネ、およびトニックウォーター
熊胆
センブリ
魚類の内臓(ワタ)、特に胆のうの部分を使った料理。
マグネシウム。にがり。
苦味チンキ
カンパリ
ビターズ
デナトニウム(主な商品名:ビトレックス) - 誤飲防止などに使用される苦味物質
炭化してしまった食品、お焦げ。
脚注^ Hennig, H. : Qualitatenreihe des Geschmacks, Z. Psychol., 74 ; 203-219, 1916
^ 池田菊苗「新調味料に就きて」『東京化学会誌』30 1909年
^ 後藤奈美によると「渋味は、いわゆる五原味(甘・酸・塩・苦・旨味)には含まれず、対応する味覚受容体が報告されていない。味蕾のない上唇と歯茎の間に渋味を与える硫酸アンモニウムや硫酸銅の溶液を垂らしても渋味として感知されることから、辛味と同様、渋味は触覚に近い感覚だと考えられている。」という。後藤奈美「赤ワインの渋み」『日本醸造協会誌』107巻4号 2012年 p212
^ 山田恭正「苦味物質の化学」『New Food Industry』Vol.44.No.2 食品資材研究会 2002年