般舟三昧経
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5世紀初頭の中国東晋時代、中国浄土教の先駆者である廬山の慧遠は、『般舟三昧経』にもとづく空観の完成を目指して観想念仏の行を実践して、念仏結社である白蓮社の祖と仰がれた。

6世紀の中国随時代、天台宗を開いたは、『摩訶止観』において、『般舟三昧経』にもとづく精神統一の行を説いた。この行法は「常行三昧(じょうぎょうざんまい)」とよばれ、後世の浄土教や禅宗にも影響を与えた。

7世紀の中国唐時代、中国浄土教を確立した善導は、『般舟讃』において般舟三昧の行道の法を記している。

12世紀、日本において浄土宗を開いた法然は、『選択本願念仏集』において、『般舟三昧経』から、「我が国に来生せんと欲せん者は、常に我が名を念じて休息せしむること莫れ。」の句を引用し、これを「選択我名」と呼んだ。

13世紀、日本において浄土真宗を開いた親鸞は、『教行信証』において『般舟三昧経』から「余道に事うることを得ざれ、天を拝することを得ざれ、鬼神を祠ることを得ざれ、吉良日を視ることを得ざれ。」の句を引用し、「神祇不拝」を説いた。

脚注
注釈^ 支婁迦讖訳では阿弥陀仏の極楽浄土は梵語スカーヴァティー(sukh?vat?)の俗語形を音写して「須摩提」と表記される。
^ 西暦179年の支婁迦讖訳『般舟三昧経』が現存する最古の例である。西暦148年にはすでに安世高が『無量寿経』を漢訳したとも伝えられるが、欠本となっており現存しない。
^ 最初期の浄土経典である支謙訳『大阿弥陀経』(『無量寿経』の異本のひとつ)との関連が指摘される。
^ 「念仏を用うるが故に空三昧を得る」、「この三昧を証すれば空定なること知る」「解を以て空を見る者は一切想念無し」などの句がある。
^ 最初期の般若経典であり、『般舟三昧経』と同時期に漢訳された支婁迦讖訳『道行般若経』(『八千頌般若経』/『小品般若経』の異本のひとつ)との関連が指摘される。

出典^ 平川 彰 「大乗経典の成立」『東洋学術研究』(106)、1984年、109-123頁。
^ 梯 信暁 「インドの浄土教」『大谷女子大学紀要』(31)、1996年、20-45頁。
^ 清野 宏道 「道元禅師の見仏思想」『駒沢大学仏教学部研究紀要』(72)、2014年、87-111頁
^ 幡谷 明 「親鸞教学と般舟三昧思想(上)」『大谷学報』(59)、1979年、1-11頁。
^ 河波 昌 『形相と空』春風社、2003年、26-32頁。
^ 望月 信亨 『国訳一切経 印度撰述部 大集部 第4巻 大集月蔵経/般舟三昧経』 大東出版社、1934年、255-258頁。
^ 香川 孝雄 「般舟三昧経における浄土教思想」『仏教大学研究紀要』(35)、1958年、100-117頁。
^ 藤田宏達 『原始浄土思想の研究』 岩波書店、1970年、229頁。
^ 斉藤 隆信 「善導所釈の三念願力」『佛教大學大學院紀要』(23)、1995年、1-28頁。
^ Restoration and publication of Ancient Gandhari Buddhist Texts, The University of Sydney, (2019), https://crowdfunding.sydney.edu.au/project/10335 
^ 榮 明忍 「龍樹の般舟三昧考」『印度學佛教學研究』(50)、2002年、698-700頁。
^ 土屋 松栄 「浄土教思想の諸問題(IV)」『印度學佛教學研究』(41)、1993年、1008-1006頁。

参考文献

林 純教 『蔵文和訳般舟三昧経』 大東出版社 1994
ISBN 978-4500006113

矢吹 慶輝、成田 昌信、望月 信亨 『国訳一切経 印度撰述部 大集部 第4巻 大集月蔵経/般舟三昧経』 大東出版社 1934、改訂版1981 ISBN 978-4500000579

末木 文美士、梶山 雄一 『浄土仏教の思想 第二巻 観無量寿経・般舟三昧経』 講談社 1992 ISBN 978-4061925724。後者が担当

外部リンク

大方等大集經賢護分(CBETA版)

般舟三昧經 一巻本(CBETA版)

般舟三昧經 三巻本(CBETA版)

拔陂菩薩經(CBETA版)

大方等大集經賢護分(SAT版)

佛説般舟三昧經 一巻本(SAT版)

般舟三昧經 三巻本(SAT版)

拔陂菩薩經(SAT版)

関連項目

浄土三部経

般若経










仏教典籍

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