航空自衛隊
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キャッチフレーズは “Key to Defense, Ready Anytime”。
歴史黎明期の航空自衛隊ジェット機詳細は「航空自衛隊の歴史」を参照

航空自衛隊は第二次世界大戦後、日本の軍備が再建される中で、陸上自衛隊海上自衛隊のように前身組織(保安隊警備隊)を持たず、アメリカ軍の協力によって新設されている。

空自の設立は旧陸軍飛行戦隊関係者(三好康之原田貞憲谷川一男、秋山紋次郎、田中耕二、浦茂など)の新空軍研究から始まった。独立国となる以上軍備が必要であり、軍備の中には独立空軍を入れなければならないというものであった。戦中と異なり既に航空戦力はジェット機の時代であり、それにはアメリカ空軍(旧アメリカ陸軍航空軍)の多大な協力が必要であったが、三好が連絡を取り協力を得ている。なお当初、旧大日本帝国海軍航空隊関係者は新海軍再建に傾倒していたが、後に旧陸軍航空部隊関係者と合流し1952年7月末から合同研究が始まっている(海軍にも新海軍再建における海空一体化論に基づく研究成果を持っていた[17])。

防衛庁発足に伴い、旧内務省出身で保安庁官房長だった上村健太郎が防衛庁次長を断って初代航空幕僚長に着任した。主要ポストには旧陸海軍の長老の売り込みや庁内推薦など交錯し、海軍は戦前の艦隊派条約派の対立を引きずっていたが、主要ポストは陸海同数に決まった[18]

発展過程で影響力を及ぼした者として、空自の育ての親と言われる源田実元海軍大佐(第3代航空幕僚長)[19]の存在があり、自ら航空機に乗って指導し、また、曲技飛行隊ブルーインパルスの創設も行っている。その他、牟田弘國元陸軍中佐(第6代空幕長・第4代統幕議長)、大室孟元陸軍少佐(第7代空幕長)、石川貫之元陸軍少佐(第10代空幕長)、竹田五郎陸軍大尉(第14代空幕長・第12代統幕議長)、山田良市元海軍大尉(第15代空幕長)など陸海軍から多くの実力者が発展に貢献した。なお、航空幕僚長就任者を旧軍の出身別に分けると、陸軍11名・海軍5名と陸軍出身者が過半数を占め、かつ、空自出身者初の統合幕僚会議議長(第4代)は牟田弘國元陸軍中佐(第6代空幕長)であり、また、第16代統合幕僚会議議長森繁弘(第17代航空幕僚長)は、自衛隊最後の旧軍出身者(士官候補生たる陸軍兵長陸士60期修業)であった。

空自は小隊といったショップの独立性(組織の性格上、個人の能力・判断・権限といったものが大きい)が強く、現場指揮官のカリスマ性で末端の隊員を牽引する部分が大きい。また、組織内の全体的な統一よりも、各基地、各小隊ごとが独自の基準をもって勤務することが多い。文化的には階級章や礼式・号令、徒手体操などは陸自を範としているため似通った点も数多くある。

戦後日本は、自衛隊と、日米安全保障条約等に基づき駐留する在日米軍によって軍事力侵略を抑止する一方で、日本国憲法の前文及び第九条の規定と平和主義的な政治風潮・世論の制約から、専守防衛を掲げた。

航空自衛隊は、対地・対艦攻撃が可能な支援戦闘機を含む戦闘機、ペトリオット地対空ミサイルなど世界的に見ても最先端兵器を装備することから、陸海空各自衛隊のなかで最も政治的制限を加えられてきた経緯がある。戦闘機からは精密爆撃のための装備、空中給油装置をあえて取り外していた時期もあった。しかし、米空軍との連携能力の整備に関しては発足以来着々と進められており、日米間での共同作戦を可能とする暗号装置、秘話装置戦術データ・リンク敵味方識別装置などの配備、隊員間の語学教育は年々充実の度合いを深めている。また、より緊密に戦術的連携を深めるため、近年では米領グァム島においての日米共同演習「コープノース」が毎年1回実施されている。
任務日本の防空識別圏

平時においては日本へ領空侵犯する、もしくは可能性のある経空脅威の排除が使命である。このため領空の外側に防空識別圏(ADIZ)を設定し、日本各所に28ヶ所のレーダーサイトを設置して、状況に応じて早期警戒機早期警戒管制機による警戒態勢を敷いている。防空識別圏に侵入する国籍不明機に対しては、まず緊急周波数である121.5MHz及び243MHzで航空無線機により無線警告を発し、さらに戦闘機によるスクランブル発進を実施する。スクランブル発進については、2006年4月7日のロシア軍機に対する百里基地のF-15J発進によって創設以来2万回を記録した。スクランブル発進で確認した目標は、統合幕僚監部が毎日公表している [20]

有事においては、陸上自衛隊や海上自衛隊への支援として、対艦攻撃、対地攻撃、航空輸送を実施する。専守防衛の理念から、要撃(防空)戦闘に特化した傾向にある。F-15Jや早期警戒管制機、パトリオットミサイル(防衛省・自衛隊では原音に近い「ペトリオット」表記を使用)などを備えている。

また、航空機の稼働率や搭乗員の練度(年間200時間以上と言われている)も高いとされる。日米安全保障条約に基づき米空軍と強固な協力関係にあり、米空軍と共同使用の横田基地には航空自衛隊航空総隊司令部が、在日米軍司令部や米第5空軍司令部、日米共同統合作戦調整センターなどとともに設置され、三沢基地も共同で使用しているほか、日米合同演習を毎年行っている。


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