自閉症スペクトラム
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生活年齢にはっきりと遅れがある。状態の変化を嫌ってパニックを起こすことが絶え間ないこともある。こだわりの要因が非常に強く、様々な病気を引き起こすことがよく知られる。また言語障害や肢体不自由を伴うケースがある。

最近は折れ線型自閉症も注目化されている。
原因

双子研究により、原因を大きく遺伝要因と環境要因に分けて影響度を算出できる。自閉症スペクトラムの遺伝要因の影響度(遺伝率)は90%と非常に高い[6]。近年ではこれより低い推定もあるが、いずれにせよ遺伝的要因が大きい[7]。ただ自閉症リスクを増加させる変異のほとんどは同定されていない。心理社会的要因は現在では明確に否定されており、子育てのスキルは要因ではない[1]

東京大学大学院の研究では、自閉症スペクトラム障害者に特徴的な幼少期の一過性の脳体積増加がニューロン以外のグリア細胞などの組織増加であることが間接的に示された。脳体積が正常化する成人期にかけては定型発達者と変わらないレベルになることも示された。出生直後の脳体積は健常群よりも小さかった[8]

内側前頭前野のうち、非言語情報を処理する領域のはたらきが通常よりも弱いことがわかっており、相手の仕草や表情などをうまく読み取ることができず、これが対人コミュニケーションを難しくしている一因と考えられる[9]
出生前の要因

にきび治療薬イソトレチノインを子宮内で曝露した子供の 30?60% が神経認知障害を有することが報告されている[10]

バルプロ酸ナトリウムを妊娠中に使用することは、母体のてんかんを考慮しても、子孫が自閉症や自閉症スペクトラム障害になるリスクを増加させるという報告がある[11][12][13][14][15][16]
出生前にバルプロ酸を投与した動物は自閉症様行動を示し、それらはミノサイクリンによって有意に減衰した[17]
基礎研究

小膠細胞の数を一時的に減少させたマウスは、他のマウスとの社会的接触の減少と同時に、毛繕い行動の増加が見られ、強迫性障害や自閉症スペクトラム障害のような疾患に見られる繰り返し行動との類似が示唆された。不十分なシナプス刈り込みによる、シナプス間の弱いシグナル伝達と関連していることを示している[18]
診断

典型的には生後2年以内に明らかになる[1]。生後18か月以内でも一つも言葉を喋らない場合、ASDの懸念を持つであろう[1]。狭義の古典的な自閉症、DSM-IVにおける自閉症性障害、は明白であるが、言語障害のないアスペルガー障害が自閉症スペクトラム障害に含まれることとなり、受け入れるべき個人差までもが診断されうる状況となっている[19]

DSM-5における診断基準(抜粋)[1]
相互の対人的・情緒関係の欠如

対人的相互反応で非言語的コミュニケーションを用いることの欠如

人間関係を発展させ、維持し、理解することの欠如

該当すれば特定せよ

知的障害を伴う、または伴わない

言語障害を伴う、または伴わない

緊張病を伴う

評価尺度には、自閉症診断観察尺度汎用版(ADOS-G)、自閉症診断面接改訂版(ADI-R)などがある[1]。学習障害のない成人の診断には、NICEはAQ-10の使用を提案している[20]
鑑別疾患

奇妙さというだけでは個性であり正常であり必ずしも精神障害ではないため、診断には重度で持続的で著しい機能の低下を必要とする[19]。範囲の拡大により粗雑な診断を受けた半分の人々が、成長につれて自閉症スペクトラム障害の定義から外れていくが、間違って診断されれば傷跡が残されたように感じることもあり、そのようなリスクを考慮する[19]

社会コミュニケーション障害[1] - 社交不安障害では、会話や行動の症状は社交場面に限られる[19]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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