フレームは自転車を構成する各部品が組み付けられる車台である。自転車のフレームは伝統的にフロントフォークとセットで製造され、流通してきた歴史があり、公的な強度・耐久性試験もフレームとフロントフォークを組み付けた状態で行われる[24]。この場合、フロントフォークを含めた構造物はフレームセットと呼ばれる。一方、スポーツ用の自転車においてはフロントフォークを含まないフレーム単体で製造、販売されることも多い。
フロントフォークとフレームはステアリングコラムと呼ばれる軸構造によって回転可能に接続され、ヘッドパーツと呼ばれる転がり軸受け構造によって滑らかに操舵できるようになっている。
車輪詳細は「ホイール (自転車)」および「自転車用タイヤ」を参照
ホイールとタイヤによって構成される。ホイールのハブとリムとの間は金属製のワイヤースポークによって支え、ハブには滑らかに回転するために転がり軸受け構造を採用し、タイヤは中空で、円形の断面形状を持つものが一般的である。
2輪の自転車では前輪が操舵、後輪が駆動を受け持つ構成が多いが、ベロシペードおよびペニー・ファージングまでは駆動と操舵の両方を前輪で行っていた。リカンベントの一部には駆動と操舵の両方を前輪で受け持つ構成の車種があるほか、前輪で駆動し後輪で操舵するものもある。
ハンドルストレートハンドル(バーエンドバー付き)詳細は「ハンドルバー (自転車)」を参照
2輪の自転車では、操舵用のハンドルは棒状でフロントフォークの最上部に固定され、フロントフォークを直接回転させる構造のものが一般的である。操舵に必要な機能以外にも、強くこぐ際には運転者が上体を支えるよりどころとしての機能を持つため、用途によりさまざまな形態がある。3輪以上の自転車では、リンク機構によって操作を操舵輪に伝達する構造を持つものが多い。
サドル詳細は「サドル (自転車)」を参照
運転者が座る部分はまたがって座るサドル型が一般的で、前方が細く、後方が広くなっている形状のものがほとんどである。
運転者が体重をかける割合が少ない用途では、こぎやすさを重視して細長く、運転者の体重の多くをサドルに乗せる乗車姿勢の車種では幅が広く作られていて、スプリングを備えたものもある。リカンベントでは運転者の背中までの広い範囲を支える椅子型(シート)のものが多い。
ペダル詳細は「ペダル (自転車)」を参照
手漕ぎ自転車(ハンドサイクル)及び特殊なもの(主に遊戯用)を除けば、運転者が動力を与えるのにはクランクの先端に回転可能に支持されたペダルで行われる。
単純な平板状のものは踏み込む力だけを動力とするが、革紐などによって足を固定するトウクリップや、クリートと呼ばれる金具を備えた靴を固定するビンディングペダルによって、踏み込む力だけでなく足を引き上げる力も動力として利用できるペダルもある。
クランクには運転者の体格や体力、車体各部の寸法などに応じて選択できるように、いくつかの異なる長さのバリエーションを持つ製品もある。
ドライブトレイン「ドライブトレイン」の抽出図(図は前後に変速を含む)
ドライブトレインは、クランク、軸受、チェーンホイール(後述)、チェーン(あるいはコグドベルトや少数ではあるがシャフト)、スプロケット(あるいはカセットスプロケット)、フリーホイールなどによって構成される。
運転者の足や腕によって回転されるクランクはボトムブラケット(BB)と呼ばれる軸受け構造で支持される。クランクの回転はローラーチェーンとスプロケットの組合せにより駆動輪へと伝達されるものが一般的である。19世紀末の安全型自転車が登場するまでは前輪の軸がクランクと直結しているものが通常であった。また、初期の自転車用チェーンはブロックチェーン(block chain)と呼ばれるもので、現在用いられているローラーチェーンとは構造が異なっていた。
スプロケットのうちクランクと同軸にあるスプロケットは自転車においてはチェーンホイールと呼び、単に「スプロケット」と呼ぶ場合は駆動輪と同軸にある被駆動スプロケットを指す。駆動輪のスプロケット軸にはフリーホイールが内蔵されていて、クランキングを止めて惰性で走行することができる車種がほとんどである。