ドライジーネの登場と同時代にフランスやロシアで同様の二輪車が発明されていたという起源の主張があり、日本でも1970年頃まではフランスの「セレリフェール」という二輪車が自転車の始祖であるという説が有力であった。しかし、それらは後の研究で反証され、存在の立証ができずに自転車の正史としては認められることはなかった。特にイタリアで主張されたレオナルド・ダ・ヴィンチの自転車のスケッチは大きな物議をかもすことになった。1500年代にレオナルド・ダ・ヴィンチが自転車のスケッチをしたという原稿が見つかった。しかし、これは1960年代にダ・ビンチの手書き原稿を修復したイタリア人のある修道士が、もともと描かれていた二つの円を自転車の車輪に見立て、ペダルやチェーンなどを加筆することで、自転車に仕立てたものだとされている。このスケッチが描かれた紙は、16世紀に保存上の必要から二つ折りに糊付けされていたが、修道士が加筆する直前、歴史学者のペドレッチが強い照明を使い透かした当初、描かれていたのは二つの円だけだった[15]。 1732年に彦根藩藩士の平石久平次時光が世界初のペダル式の自転車@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}(自動車)[要出典]である新製陸舟車を発明する[16]。 1839年に、イギリスのマックミランによってヨーロッパ初のペダル式の自転車が考案された[17]。ミショー型ベロシペード 1861年にフランスでミショー型が発売された[注釈 2]。これは現在の小児用の三輪車と同じようにペダルを前輪に直接取り付けたものであった。ピエール・ミショーがオリビエ兄弟
ペダル式自転車の誕生
1870年頃、英国のジェームズ・スターレーが、スピードを追求するために前輪を巨大化させたペニー・ファージング型自転車を発売し好評を博したため、多くのメーカーが追随。前輪は拡大を続け、直径が1.5メートルを超えるものも出現した。当時盛んに行われたレースなどスポーツ用に特化したもので、長距離のクロスカントリーライドまで行われた。しかし極端に重心位置が高いため安定性が悪く、乗車中は乗員の足がまったく地面に届かないことなどにより日常用としては運用が困難であり、転倒すれば高所より頭から落ちるような危険な乗り物であった。日本ではだるま車などと呼ばれた。詳細は「ペニー・ファージング」を参照
1879年に英国人ヘンリー・ジョン・ローソン(英語: Harry John Lawson) により後輪をチェーンで駆動し、座席(サドル)の高さが低いため重心が低く、乗員の足が容易に地面に届く物が製作され、ビシクレット(Bicyclette…二つの小輪)と名付けられた。これが英語の Bicycle の元となった。マキャモンによる初期の安全型
1884年スターレー・アンド・サットン(Starley & Sutton)、ハンバー、マキャモン(McCammon)(en)、BSAなどがビシクレットに改良を加えた自転車を発売する。
安全型自転車の誕生安全型自転車の一例
1885年にジェームズ・スターレーの甥ジョン・ケンプ・スターレーが「ローバー安全型自転車(Rover Safety Bicycle)」の販売を開始する。側面から見て菱形のシルエットを持つダイヤモンド型のフレームを持ち、前後輪が同じ大きさで、後輪チェーン駆動の現在の自転車に近い姿になった[17]。この安全型自転車の登場により、それまでのスピードは出るが危険なペニー・ファージング自転車は徐々に衰退していき、またそれまでスポーツ用が主な用途だった自転車は日常の手軽な交通手段としての側面を強くしていった。
しかし、この時までの自転車は車輪が木製か空気なしのゴム製であり、乗り心地は非常に悪く「ボーン・シェーカー」(骨ゆすり)とも呼ばれるようなものであった[17]。これが大幅に改善されるのは、1888年にジョン・ボイド・ダンロップが空気入りタイヤを実用化してからのことである。この発明はすぐに自転車に使用され、乗り心地と速度の大幅な向上をもたらした[17]。その後フリーホイール機構が普及し、自転車の基本がほぼ完成された。詳細は「安全型自転車」を参照 地上を移動する目的において、ヒトの筋力が最も効率良く発揮される手段が自転車である[3]。自重を支えつつ歩いたり走ることに比べて筋力を効率的に進む目的に充てられ、より速く遠くに進むことができる。 自転車は、自動車に比べて安価に購入でき、燃料が不要なことから、道路整備が遅れ国民の所得水準が低い発展途上国では重要な移動手段である[18]。また自動車などと比較して、移動距離当たりのエネルギーが少ない上、路上の専有面積が少なく、有害な排出ガスが発生しないので、ヨーロッパ諸国など都市化が十分に進んだ先進国でもここ数十年、再評価されるようになってきている。欧州諸国や日本などでは健康増進効果への期待の面からも、また環境への負荷を小さくする面でも高く評価され、積極的に利用されるようになっている。 日本の道路交通法では「軽車両」に分類される[19][20]。運転免許を取得する必要は無いが、自転車でも交通事故は起き、死傷者が発生することもあるため、自転車の運転者には(自動車や自動二輪を運転することと同様に)安全運転を心掛けることが求められる。 主な自転車に関する道路交通法の規定を以下に記す[21][22]。 これらの違反について警察官による取り締まりも強化されるようになった。同時に、自転車利用の促進のため、道路での走行ルールの明確化、走行場所の法的な明確化・確保もされた。なおそれと連動して自転車専用レーン整備のための行政的な推進も図られる。 平成後期より、自転車の運転者「自転車保険」(事故時の損害賠償などに対応するもの)への加入を義務化する地方自治体も現れた。
自転車の位置づけ
効用という観点での位置づけ
自転車の道路法規での位置づけ、交通事故と交通安全
道路交通法第54条第2項
危険回避のため止むを得ない場合をのぞき、ベルを鳴らすことは禁止。
道路交通法第65条
酒気帯び運転等の禁止。
道路交通法第71条
運転する場合の電話での通話、画面の注視の禁止。(=ながら運転の禁止)
道路交通法第52条
夜間にライトやそれに準ずるものを点灯せずに走行する夜間無灯火走行の禁止。
道路交通法第19条
軽車両の並走の禁止。(2台〈以上〉の自転車が横一列に並んで走ってはならない)
道路交通法第17条
自転車は車道の左側を通行。