自由律俳句の賞としては、1990年に始まった「放哉」南郷庵友の会主宰の「放哉賞」があり、受賞者に「層雲」同人のきむらけんじなどがいる(第一回受賞)。近年ではお笑い芸人の又吉直樹がコラムニストのせきしろと組んで自由律俳句の著書を出すなどしている。せきしろは、公募ガイド社が運営するWEBサイト「Koubo」にて投稿コーナー「せきしろの自由律俳句」を、同社が発行する季刊公募ガイドでは作品を添削する「せきしろの自由律俳句添削」を連載している。また、『伊集院光とらじおと』(TBSラジオ)や、『かが屋の鶴の間』(中国放送)では自由律俳句のコーナーがある。 参照文献 関連文献
作品例
弟を裏切る兄それが私である師走(河東碧梧桐)
曳かれる牛が辻でずつと見廻した秋空だ(同)
まっすぐな道でさみしい(種田山頭火)
分け入つても分け入つても青い山(同)
うしろすがたのしぐれてゆくか(同)
どうしようもない私が歩いている(同)
たんぽぽたんぽぽ砂浜に春が目を開く(荻原井泉水)
棹さして月のただ中(同)
咳をしても一人(尾崎放哉)
墓のうらに廻る(同)
いれものがない両手でうける(同)
こんなよい月を一人で見て寝る(同)
草も月夜(青木此君楼)
光水の上にある(同)
橋をよろこんで渡つてしまふ秋の日(中塚一碧楼)
病めば蒲団のそと冬海の青きを覚え(同)
シャツ雑草にぶっかけておく(栗林一石路)
こういう思想をもって黄ばんだ街路樹を仰いでいる(同)
陽へ病む(大橋裸木)
蛙の声の満月(同)
横になって夕立に逃げられちゃった(同)
うごけば、寒い(橋本夢道)
無礼なる妻よ毎日馬鹿げたものを食わしむ(同)
妻よおまえはなぜこんなにかわいんだろうね(同)
ずぶぬれて犬ころ(住宅顕信)
夜が淋しくて誰かが笑いはじめた(同)
座った分だけ高くなる空(せきしろ)[13]
1+1=1(堀田季何)
脚注^ a b c d 瓜生鐵二 「自由律俳句」『現代俳句大事典』 280-281
^ a b c d 瓜生鐵二 「自由律俳句」『現代俳句ハンドブック』 196頁
^ 栗田やすし 「短律・長律」『現代俳句大事典』 348頁
^ 上田、157、166頁
^ 上田、70頁
^ 上田、77頁
^ 上田、128頁
^ 上田、102-105頁
^ 川名大 「プロレタリア俳句」『現代俳句ハンドブック』 210頁
^ 日野百草「戦前の自由律における社会性俳句」殿岡駿星編著『橋本夢道の獄中句・戦中日記』290頁
^ 上田、233頁
^ 上田、235-237頁
^ MAGAZINE, P+D (2017年8月2日). “せきしろが語る、「自由律俳句」入門 。P+D MAGAZINE”. pdmagazine.jp. 2020年3月31日閲覧。
参考文献
上田都史 『自由律俳句とは何か』 1992年、講談社
齋藤慎爾、坪内稔典、夏石番矢、榎本一郎編 『現代俳句ハンドブック』 雄山閣、1995年
稲畑汀子、大岡信、鷹羽狩行監修 『現代俳句大事典』 三省堂、2005年
殿岡駿星編著『橋本夢道の獄中句・戦中日記』 勝どき書房、2017年
西垣卍禅子 『新俳句講座第一巻 自由律俳句文学史』 新俳句社、1960年
上田都史 『自由律俳句文学史』 永田書房、1975年
永田竜太郎 『自由律俳句作品史』 永田書房、1979年
関連項目
自由律短歌
自由詩