自殺
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韓国スリランカでは、パラコートの利用を制限すると、農薬による自殺者が減ったという統計がある[39]
比較の難しさ
自殺死亡率は、統計の信頼性や更新頻度が国によって異なるため、単純な比較が難しいとされる。世界保健機関(WHO)が、2014年に発行した「世界自殺リポート」では、順位付けはしていない[84][85]
リスクファクター日本における統計については「日本における自殺#リスクファクター」を参照2008年に米国の16州で自殺が急増した状況[86]

自殺のリスクに影響を及ぼす因子には、精神疾患、薬物乱用、心理状態、文化的状況、家族および社会的状況、遺伝学、トラウマまたは喪失の経験がある[87][88][89]。精神障害と物質乱用はしばしば共存する[90]。その他の危険因子には、以前に自殺を試みたことがあること[91]、自殺の手段がすぐに利用できること、自殺の家族歴、外傷性脳損傷の存在などがある[92]。例えば、銃器を所有している世帯の自殺率は、所有していない世帯よりも高いことがわかっている[93]

失業、貧困、ホームレス差別などの社会経済的問題は、自殺の考えを誘発することがある[94][95]。なお、社会的結束が強く、自殺に対して道徳的な異議を唱える社会では、自殺はまれである可能性がある[96]。そして約15 - 40 %の人は遺書を残す[97]退役軍人は、心的外傷後ストレス障害などの精神疾患や、戦争に関連した身体的健康問題の発生率が高いこともあり、自殺のリスクが高い[98]。自殺は地域集団としても起こりうる[99]

自殺には家族性があり、自殺行動をする者の血縁者は自殺のリスクが上がる[100]。自殺が血縁者間で伝播するのは、遺伝的な要因だけでなく、環境的(社会的)要因も影響する[100]。(たとえば親が経済苦状態なら、子供も経済苦状態で生きており、しかも高等教育が受けづらく、たいてい将来的にも苦境に陥る)。親子ともども自殺していても、要因は遺伝(生物学的要因)とは限らない。親子は文化的継承も行っており、親の振る舞いかたを子は模倣する[100]。遺伝的な影響の大きさ部分を調べるためのデンマークの研究では、自殺した養子の生物学的親族の自殺率は、養子縁組親族の自殺率の6倍であった[100]。双子研究では、自殺行動の遺伝率が38 %から55 %と推定されている[100][注 4]。また親の気分障害や「衝動的-攻撃的」性質は子の自殺の割合に影響があるということも浮かび上がった[100]。10歳 - 21歳の子の親が自殺すると大きな影響があり、なかでも母親が自殺すると特に大きな影響があることが浮かび上がった(母親が自殺以外の原因で死亡した場合より、母親が自殺した場合のほうが、子が自殺する強い要因となるということも浮かび上がった)[100]
過去の自殺試行・自傷行為

過去の自殺試行は最大のリスクファクターである[101]。自殺者の約20 %は以前に自殺未遂を経験しており、自殺未遂者の1 %は1年以内に自殺を遂行し[91]、5 %以上は10年以内に自殺により死亡する[102]。自傷行為は通常自殺未遂ではなく、自傷行為を行った人のほとんどは自殺のリスクは高くない[103]。しかし、別の研究では自傷行為は自殺リスクと関連性があり、自傷行為を行う人は12か月後の自殺死亡リスクが50 - 100倍であると英国国立医療技術評価機構(NICE)は報告している[104]
メンタルヘルス問題

一般市民の自殺既遂者の診断[105]気分障害35.8 %
薬物乱用22.4 %
統合失調症10.6 %
パーソナリティ障害11.6 %
器質性精神障害1.0 %
その他の精神疾患0.3 %
不安障害6.1 %
適応障害3.6 %
その他のDSM分類Iの疾患5.1 %
診断なし3.2 %
自殺したうつ病の女性を描いた絵画。彼女を写した写真をもとにしたもの「メンタルヘルス」も参照

世界保健機関(WHO)の自殺予防マニュアルによれば、自殺既遂者の90 %が精神的に不健康な状態にあり、また60 %がその際に抑うつ状態であったと推定している[106][注 5]。該当しなかったのは、診断なし2.0 %と適応障害2.3 %に過ぎないとしている。物質関連障害(アルコール依存症や麻薬)の比率については日本の状況と大きくことなるものの[注 6]

自殺既遂者の約半数が人格障害と診断される可能性があり、境界性人格障害が最も多いと推定する研究者もいる[107]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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