自殺した家族・身近な人には、相談してくれなかったことや救えなかったことへの自責、孤立感、自殺に追いやった問題への怒りなどをへて、身体的・精神的な複数の影響が長期的に出る[65]。この問題に対して、政府をはじめ、多くの自治体や相談窓口が対応を行っている。
自殺した方の家族へのケアや処遇
「en:Suicide survivor
その他、複数人の自殺が、近接した時間・場所において実行される群発自殺
があり、これはメディア報道がきっかけとなって起こることが多い。群発自殺には、複数の自殺志願者が、お互いに合意の上で同時に自殺する集団自殺がある。インターネット上の自殺サイトを媒介として実行されたことがあった。戦争での集団自決とは異なる。有名人の自殺の後追い自殺などを連鎖自殺、模倣自殺ともいい、その他一般人の凄惨な自殺を報じるニュースが、模倣者を発生させる現象のことも含めてウェルテル効果ともいう。オーストリアなどでは報道の仕方を変えることで群発自殺を減らせることが実証されている。疾病や人間関係など解決困難な問題から逃れるために自殺したい状態を自殺願望、具体的な理由はないが死にたいと思う状態を自殺念慮と使い分けることがある[66]。
その他の類型として、利他的あるいは偽利他的な動機から相手の同意なく他人を自殺行為に巻き込む拡大自殺(Extended Suicide)、自身で直接自殺するのではなく、犯罪を犯して死刑になることで司法の手を借りて自殺しようとする間接自殺などがある。警官を挑発して事件現場で殺害されようと企てる(俗にいう「警察による自殺」)場合もある。 自殺は社会的な制度として行われることもある。宗教的な理由から生け贄として自害するなどである。また一部のカルト宗教において、ある種の死によって魂が救われる、と教祖的立場の人間が説く場合に発生することがある(「カルトの集団自殺」)。自爆テロなどの事例があり、こうした死が殉教と見なされる場合もある[67]。 歴史的には、キリスト教の過激派が、わざと旅人などを襲い、反撃を誘うことで自らを殺させて、殉教を達成しようとする「キルクムケリオーネス運動」などの異端が存在した。 自殺に関連、また類似したものとして以下のものがある。 自殺脅迫という、本気で死ぬ気が無いのに、○○したら/しなかったら自殺すると相手を脅迫する行為もある。恋人や配偶者、公務員に対して行われることが多い[68]。 積極的な安楽死とは、致死性の薬物やガスを投与・摂取することにより、苦しまずに死に至るという概念である。アメリカ合衆国の一部の州、オランダ、スイスなどの国々では、末期の癌や疾病等で多大な苦痛があり、確実に死が目前に迫っている、患者本人が希望する場合は、致死性の薬物やガスを投与する、または本人に提供して本人が自己摂取することにより、苦しまずに死に至る安楽死が法律で認められている。 消極的な安楽死または尊厳死とは、救命回復のための治療も、疾病の進行の抑止・遅延の為の治療も、生命維持の為の治療も行わず、緩和ケアの治療は行い、苦しまずに死に至るという概念である。消極的な安楽死または尊厳死は、一般論としてどこの国においても、法律により強制隔離・強制治療が義務付けられている感染症、精神病を例外として、本人の意思に基づくならば違法性はなく、医師、看護師、家族が犯罪として法的責任を問われない。 なお、米国では病院内での重大な医療事故の最多のものは自殺であるという(独立系・非営利組織の医療施設評価認証機構である「ジョイント・コミッション」の医療事故報告による)。日本での日本医療機能評価機構による調査では、調査の3年間に29 %の一般病院(精神科病床なし)で自殺が起こっている。その自殺者の入院理由となる疾患は、35 %が悪性腫瘍(癌)である。 自傷段階の場合、現世への希望をまだ諦めきっていないため、なんらかの事態の改善につながる助けを求めている傾向があるとされるが、自殺ではコミュニケーションを求める行為はほとんどみられず、またそのような心の余裕もないことが多い[69]。 以下、Walsh(2005)による自傷行為と自殺未遂の判定表を挙げる。ただし、双方は死への意図のあるなしではなく強弱の同一線上にある例も多いため、一種の指標として柔軟に用いるのが望ましい。 自傷行為と自殺企図との区別の例番号項目自傷行為自殺企図 いずれの場合でも状況を一見しただけで安易に自殺であると断定するのは拙速であることがあり、特に有名人の自殺に関しては多くこの問題が取り上げられる。 警察の捜査で自殺と断定された事件が事故または殺人事件ではないかと疑われる例は以前から存在している。反対に、自殺であるにもかかわらず、遺族が故人の自殺を恥じるなどの理由によって事故とされている場合も存在するのではないか、ともいわれている。 日本では、徳島自衛官変死事件のように遺族とのトラブルや訴訟となった例もある。また、日本で起きた生坂ダム殺人事件は、警察により自殺として処理されたが、発生から20年後に犯人が名乗り出たため、殺人事件であることが判明している。
宗教的な自殺
他の行為との類似と区別
自殺脅迫
安楽死・尊厳死詳細は「安楽死」および「尊厳死」を参照
自傷行為
1行為そのもので期待されるものどうにもならない感情の救済(緊張、怒り、空虚感、生気のなさ)。痛みから逃れること。意識を永久に終わらせること。
2身体的ダメージレベル、および潜在的に行為が死に至る確率身体的にはあまり強くないことが多い。致死率はあまり高くない方法を好む。深刻な身体ダメージを及ぼすことが多い。致死率が非常に高い方法を好む。
3慢性的、反復的であるかどうか非常に反復的である。反復的なことは少ない。
4今までにどの程度の種類の行為を行ってきたか2つ以上の種類の方法を繰り返し行う。主に1つの方法を選ぶことが多い。
5心理的な痛みの種類不快感、居心地の悪さが間欠的に襲ってくる。耐えられない感情が永続的に続く。
6決意の強さもともと自殺するつもりは強くないのでそれほど強くはない。他の選択肢を考えることもできる。一時的な解決を図ろうとして行ってしまうことが多い。決意が並外れて強い。自殺することが唯一の救いとしか思えない。視野が狭い。
7絶望、無力な感じがどの程度あるか前向きに考えられる瞬間と、自分をコントロールする感覚を少しは保っている。絶望、無力感が中心で、一瞬であってもその感情を外すことができない。
8実行することで不快な感情は減少したか短期的には回復する。間違った考え方も感情も行為そのものによっておさまる。「意識の変化」を起こす。まったく回復しない。むしろ自殺がうまくいかなかったことによってさらに救いがもてなくなる。即時の治療介入が必要。
9中心となる問題は何であるか疎外感。特に社会の中での自らのボディ・イメージ(アイデンティティにもつながる)が築けていないこと。うつ。逃れられない、耐えられない痛みに対する激しい怒り。
事故・他殺と自殺
Size:370 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef