自家用車ドライバーは、自家用車活用事業として乗務する前に、自宅又は車内とタクシー事業者の運行管理者との間で遠隔通話により点呼を行い、健康状態・アルコールチェック・使用する車両の運行前点検実施の確認を行う[14]。
乗務開始後は、タクシー事業者と提携した配車アプリ(GO、Uber、S.RIDE、DiDiなど)からの複数の配車依頼を受けて、ドライバーの判断によりどの配車依頼を受けるか選択し、指定された迎車地に向かう[2][14]。乗客は配車アプリ内で行き先を指定しキャッシュレスによる事前決済を行う為、ドライバーと乗客の間で料金の直接収受は発生せず[2][15]、自家用車側で特別な装備を用意する必要は無い。
乗務終了時には、乗務開始前と同様に、自宅又は車内とタクシー事業者の運行管理者との間で遠隔通話により点呼を行う[14]。
なお、自家用車ドライバーの所持する自家用車による運行の他、タクシー事業者が自家用車ドライバーに車両を貸与して乗務する形態も想定されている。この場合、自家用車ドライバーは通常のタクシードライバーと同様に、営業所において対面点呼により、運行状況について報告し、アルコールチェックを受ける[14]。 業界団体の全国組織である全国ハイヤー・タクシー連合会は、2023年11月6日に行われた内閣府規制改革推進会議の第1回地域産業活性化ワーキング・グループにおいて、第二種運転免許教習の効率化や取得期間の短縮、法定10日間研修の半減、第二種運転免許試験の多言語化及び特定技能1号へのタクシー乗務員の追加、地理試験の廃止などの大胆な規制緩和を進めれば現在の需給不均衡に対応可能で、そもそもライドシェアの導入は不要というスタンスを取っていた[16]。 また、本制度導入に先立ち、東京ハイヤー・タクシー協会はライドシェア導入に向けたガイドライン策定を進める中で、客を乗せた状態での走行を1回あたり最長で20キロメートル程度に制限し、遠距離輸送は引き続きタクシードライバーに委ねるべきとする案を検討していたことが日本経済新聞によって報じられている[17]。 こういった動向を踏まえ、自動運転専門メディア「自動運転ラボ」の発行人である下山哲平は同メディアの中で“日本版ライドシェア”案について「タクシー事業者が倒れてしまっては元も子もないのも事実」「『ライドシェア』という言葉から離れ、タクシー事業における新制度と捉えれば、特に批判は上がってこないだろう」と言及していた[18]。 一方、実際に制度を導入するタクシー事業者の立場では、エムケイホールディングス代表の青木信明が、配車アプリ会社から提供された、制度導入の基準となる配車不能率などの数字に違和感を感じると述べ、「いったい誰が(配車不能率の高い)平日の深夜帯だけ働くというのか」「人を集まらなくしてこの制度をわざと失敗させようとしているのではないか」とし、「4月?6月と9月?11月は7時から19時を運行可能時間帯とする、それくらいの(大胆な)裁量がなければタクシー供給不足の解消と、働き手がやってみたいと思える制度にはならない」と言及している[19]。
制度導入に向けた動向
出典^ 『自家用車活用事業の制度を創設し、今後の方針を公表します。