自動車
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中でもフェラーリに代表されるV12エンジンや、F1カーなどから発せられる高音のエンジンサウンドは、旧来から魅力的とされてきた[124][注 11]

昨今のトレンドである電気自動車では、エンジン音が存在しないため、電子的な合成音を使って魅力的なエンジンサウンドを作りだそうとするブランドが増えている[124]。その中でも2019年6月に発表されたBMWのEVコンセプトカー、”Vision M Next”では、エンジンサウンドの制作に作曲家ハンス・ジマーが起用されており[126]、このようにエンジン音に対する概念は変化しつつある。

自動車の車内は、一定の空間を保有しながらそれでいて閉鎖的であるため、音楽を楽しむには好適な環境であり、ドライブの魅力にも大きな役割を果たしている。そのため、カーオーディオは自動車関連用品の中でも重要な位置を占めている。

自動車を題材とした音楽作品については、「Category:自動車を題材とした楽曲」を参照。音楽の存在を重視した自動車映画としては、『チキ・チキ・バン・バン』(1968年)や『ワイルド・スピードシリーズ』(2001年 - )、『ベイビー・ドライバー』(2017年)などがある。
負の影響

自動車は使用者に多くの便益を与えるが、地球環境の破壊の恐れや、人間の健康を害したり、生命を奪ってしまうことすらある。
交通事故「交通事故」も参照交通事故で大破した車

自動車が社会に及ぼす悪影響の中で特に大きなものは、交通事故で、怪我人や死者やその家族という被害者と、事故を起こした車を運転していた加害者を作りだしてしまう。交通事故は出来る限りゼロに近付けるべきであり、特に死亡事故はゼロに近付ける努力を精一杯するべきだ、とされている。日本の警察は交番などに、その地域で、日々、交通事故によって怪我を負った人や死亡した人の数を掲示し、人々に注意を喚起し、意識を変え、運転に慎重になってもらおうと努力している。

負傷(怪我)と分類される場合でも、被害者は実際には重い障害を負って生涯苦しむ人が含まれている。まして被害者が死亡してしまった場合、遺族の悲しみは計り知れない。また死亡した人に子供がいれば、その子供は交通遺児となり、「親を失った子」としてその後の人生を生きなければならず、親が生きていたらできたはずのことができない人生となる。加害者となった者も、(自賠責保険任意保険などで)被害者に金銭的に補償すればそれで全てが済むというような生易しいものではない。たとえば、運転時にいわゆる「ながら運転」をしていた場合、危険を予見できたにもかかわらず、道路交通法で定められている「注意義務」を怠ったことによって罪が重いが、そうでなくても、ただほんの一瞬注意を怠ってしまった、ということでも過失運転致死傷罪が適用される可能性があり、運転者(加害者)は刑務所で服役しなければならない可能性がある。また、自動車保険を利用して被害者に対して金銭的に補償しても、さらに運転者が刑務所で服役しても、遺児にとって大切な親が生き返るわけでもなく、結果として加害者となった者は一生涯、被害者の人生を狂わせてしまったことに対する道義的な責任を感じ続けなければならなくなる。加害者は、「自分は人を殺してしまった」、「残された家族の人生も壊してしまった」などと苦しむようになり[127]、加害者の人生も、大きく変わってしまうのである。自動車によって頻繁に起きるようになった交通事故は、ただの金銭問題や経済問題といったレベルをはるかに超えて、人々の人生を狂わせ、苦しめ続けている。

なお(一部に、人命を軽視する者や、人の命まで金銭に換算して済ましてしまおう、という者がいるが、それがそもそも非常に不謹慎である、と一般にされている。それでも金銭に換算して理解しようとする者にその金銭を示すと)交通事故関連の損失は、日本だけに限った場合でも、毎年6.7兆円に及んでいる[128]

自動車の前に馬車が普及していたヨーロッパや米国では、車(馬車)が非常に危険だということは理解されていて、歩行者と車の走行場所の完全な分離(歩車分離)が馬車時代から進み、自動車が走行する車道と、歩行者の歩く歩道の距離が何倍もとってあり、その結果事故が少ない。またヨーロッパでは「歩行者優先」が徹底されていて、歩行者がいたら、自動車運転者はほぼ絶対的に停車する。ところが日本は後進国の段階、馬車すらも普及していない状態、つまり歩行者(や人が引く荷車)しかなかった道に、いきなり自動車が人の動線を侵害するように導入されてしまった。おまけに、ヨーロッパの走行状態を知らない人々が住む日本では「歩行者優先」の原則が十分理解されず、自動車の運転者が傲慢に歩行者の歩行を妨害するようなことがまかり通るようになってしまい、それが放置されるようになってしまった。最近では海外の交通状況を理解する日本人も増えるようになり、日本でも歩行者優先意識の啓発、あるいは歩行者優先の原則の絶対厳守とその原則を守らない運転者に対して厳罰を科すことが望まれるようになりつつある。歩道のガードの拡充、十分な幅の自転車専用レーンの確保などの道路インフラ整備が必要とされている。東名飲酒運転事故以前は飲酒運転も横行していた。速度超過、事故を誘発する違法駐車、横断歩行者の妨害等などの交通犯罪が蔓延している現状がある。またスマートフォンの普及などが原因となって、2010年代後半にはながら運転による深刻な事故が統計的に明白に急増したので、「ながら運転」による事故に関しては日本政府も厳罰化した改正案を2019年5月8日に閣議決定し、法案として提出した[129]

また日本など高齢化が進む社会(高齢化社会)では、全ドライバーに占める高齢ドライバーの割合が増え、ブレーキペダルとアクセルペダルの「踏み間違い」や道路の逆走事故が頻発するようになってきた。高齢者は、実際には客観的に測定して運転技能が落ちているにもかかわらず、本人は逆に「自分の運転には絶対に自信がある」などと言うようになり、こうした高齢者による自信過剰が原因で、より一層重大で深刻な事故が起きていることが判ってきている[130]

運転技能が落ちた高齢者ドライバーほど逆に自分の運転に「自信」を持つという恐ろしいデータも明らかになってきて、もはや高齢者ドライバーの「自覚」に期待したり、(自発的な)免許の自主返納に期待することは無理だ、高齢者に期待することが事故を引き起こす環境を放置する結果を生んでいる、ということも指摘されるようになってきている。(フジテレビの情報番組などをはじめとして)日本では高齢化が進み悲惨な事故が既に急増したので、高齢者ドライバーに関しては(アクセルを踏み込む異状操作時に作動したり、障害物に突進する場合に作動する)自動ブレーキ車限定の免許」(現在のところ。また将来的には「自動運転車限定の免許」)に強制的に変えるなどの法的・行政的な対策が必要だ、との指摘が行われるようになっている。

2010年代後半、先進国の大手自動車メーカーやIT企業などが主導して、自動運転車、しかもA.I.(人工知能)と高性能のセンサーを多数活用した高度な自動運転車の開発にしのぎを削っており、すでに一部の地域では実験的に走行が始まっており、2020年代には本格的に販売され、普及が進んでゆくと予想されており、性能の良いAIを用いた自動運転車ならば、人間が運転するよりも事故率を数百分の1や数千分の1程度にまで減らすことができる、といった予想もあり、自動運転車の普及によって、交通事故で苦しむ人々が減ることが望まれている。
大気汚染と環境破壊「化石燃料#化石燃料の使用が引き起こす公害・環境問題」も参照


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