臀部
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医療においては、筋肉注射を行う際の部位として尻がよく用いられる。腕などに比較して対象部位が広く、かつ筋肉も大きいために、ある意味安全性が高いと考えられる。しかし、神経や血管を傷つけないように深く注射針を刺すことができる場所は、実はそう広くはない[7]
侮辱の道具としての尻詳細は「ムーニング」を参照

自分の尻を見せることは、欧米においては一般的にその相手を侮辱することを示すことがある。なかばジョーク的な意味においても、性別問わず、着衣をおろして尻を見せることがある。近年は特に女性の行為が多い。
美人の条件としての尻

古くはホッテントットと呼ばれ、現在ではコイコイ人(コイコイン)と呼ばれるアフリカ南部の原住民の集団においては、女性の尻が大きいことが美人の条件とされている。その尻は脂肪臀症(ステアトピギー、: Steatopygie)と呼ばれる特異な状態を呈し、体の側方より見た場合に著しい盛り上がりをみせ、子どもを背負った場合の足がかり(踏み台代わり)になるともいわれる。これは日本においても早くから伝わり、尻の大きい女性を揶揄してホッテントットと呼ぶことがあった。学童期におけるあだ名としても少なからず用いられ、心理的苦痛を覚えた女性も多いと推測される。このコイコイ人の女性の尻は、栄養状態が悪化するとしぼむという。なお、こうした脂肪臀症はコイサンマン(旧称ブッシュマン)の女性にもみられる。

有史以前の彫刻や土器などにおいて、こうした尻の大きな女性(あるいは母性をかたどった神像など)の像がみられることから、初期の人類の女性はそもそも尻が大きかったのではないかという考えがある。食べ物が豊富に得られなかった狩猟採集民族だったころの人類、とくに獲物を狩る男性ではなく、今でいう「家庭」を守り育児をする女性にとっての栄養タンク(ラクダのコブのようなものであろうか)の役目があったのかもしれない。コイコイ人やコイサンマンには、そうした古い人類の特徴が残っていると考えることができる。そして、男性が女性の二つの大きな丸みに対して興味を持つということは、男女という性差がある動物ゆえの当然の反応であるともされていた。おもしろいことに、時代をはるかに下ったヴィクトリア朝の女性の衣装にも、極端に尻の突き出しを強調したスタイル(バッスル)がみられる。

日本においては特に美人の条件とまではされていないが、腰周りを含めた尻が大きい女性は子孫繁栄に結びつくとのことでありがたがる風習があった。安産型、安産体形ともいわれるが、現在では実際に安産かどうかとは無関係に、女性をからかう言葉や自分の体形を自嘲気味に表現するときなどに多く用いられる。

トンガにおいてはかつては肥満が美人の条件ともされ、勢い尻も大きいほうがよいという風潮があったが、現在は国を挙げての減量政策のため、旧来の価値観(大きい尻が好まれる)の衰退に影響を及ぼしている可能性が懸念される。
尻とヒップ

尻とヒップはしばしば同義に用いられるが、ヒップの語源のHipsは腸骨あたりの両側面を指す英単語であり、日本語の尻とは指す部位が違う。また、バストウエストなどのようなスリーサイズを示す意味でのヒップは、その部位の胴回りのことであり、厳密に同じ意味とは言えない場合がある。このように「ヒップ」という言葉は、一般語として広まってはいるものの、ファッション用語としての性格がやや強い。

ヒップのサイズは、尻の最も盛り上がった部分の胴回りを、柔軟な素材で作られたメジャーによって計測する。女性下着のサイズを選択する際の目安となるが、国によりサイズを優先する部位が異なる。例えばガードルは、フランスではヒップサイズを、他国ではウエストサイズを基準にしているという。

漠然とした尻の形状、特に体を横から見た場合の尻のラインをヒップラインと呼ぶ。個人差はあるが、日本人及びアジア人の体型は、尻の盛り上がりが垂れ下がり、末広がりで平坦なスタイルを呈することが多い。キュッと引き締まった盛り上がりを見せる欧米人に比較して、特に若い女性は審美的観点から劣等感を覚え、憧れを抱く場合が多いとされる。そのため、尻の形状を整える補正下着なども多く販売されている。しかし、伝統的な和服などを着用する際には、尻や胸のふくらみ(乳房)が小さいほうが似合うとも言われる。

ヒップラインを引き締め、上方に盛り上がったスタイルを作ることをヒップアップと言う。ヒップアップには尻の筋肉を鍛えることが効果的と言われ、足を振り上げるなど各種の運動が提唱されているが、実際の効果は定かではない。

女性のヒップラインが分かる服装(スパッツブルマー水着など)は男性の目をひきやすく、性的嗜好の1ジャンルになっている(尻フェチなど)。尻に密着したスカートパンツ、およびその上からショーツのラインが見える場合なども、男性は欲情を催しやすい。逆に、男性の引き締まったヒップラインに性的魅力を感じる女性もいるという。

ウエストラインが極端に低く、尻の盛り上がりによってずり下がるのを止めているようなボトムスを、ヒップハングなどと呼ぶ。しかし、実際はウエストラインよりも下、腰骨に引っかけるようにして着用するものを言う。ヒップハンガー、ヒップボーン、ローライズもほぼ同義である。いわゆるヘソ出しルックによく用いられる。しゃがみこんだ場合には、着衣の後方より臀裂が露出してしまうことが多い。
尻にまつわる言葉
尻が付く慣用句など

人体の尻の特徴またはその行為からきたもの。卑俗表現の「けつ」を使う場合もある。

尻が軽い(同:尻軽)

尻が長い(同:ながっちり=長っ尻)

尻が青い

尻に敷く

尻に火が付く

尻に帆を掛ける

尻ぬぐい

尻を叩く

尻をはしょる(同:尻ばしょり)

尻を捲る(くくる、まくる)

尻の穴が小さい(狭い)

尻を割る

尻を掘る

尻の毛を抜く

尻拭いをする

○ケツ(自転車やオートバイに一人ではなく○人で乗車する行為。
オートバイの二人乗りも参照。)


最後、後ろの意からきたもの

帳尻

言葉尻

柄尻(包丁の柄の最後部)

中心尻(刀身における柄に覆われる部分の最後部)

尻切れトンボ


尻が付くことわざ

頭隠して尻隠さず

頭でっかち尻すぼみ

尻の付く業界用語

豊尻 「尻」の音読みは「こう」である。「豊尻手術」は(ほうこう手術)。

けつカッチン

アナ尻

私のお尻に入れてください(
倉持由香

尻の付く遊び・ゲーム

しりとり

尻文字

尻の付く楽曲

俺の尻をなめろ

おしりかじり虫

丸いお尻が許せない

尻の付く病気

尻腐れ病(
トマトの頂部=尻が黒褐色にやわらかくなってくさる病気)

地名

土地や湖の後ろの方を表すものがある。ただし、北海道のアイヌ語由来の地名においてはその限りではない。

奥尻島

利尻島

焼尻島

塩尻市

川尻駅

沼尻スキー場

池尻 (世田谷区)

田尻町

目久尻川

真名ヶ尻隧道

尻擦坂

藤尻

尻羽

井ノ尻

尻屋崎

尻岩山

尻別

湖尻

尻手

海尻駅

その他の用例

器物の底。たとえばドーム状の底の釜を尻張釜という。

後ろ、後方の意。

物事の
最後

物事の後始末。

自動車の後ろ側。

大根などの野菜の先端の部分。

果実の枝に近い部分。

脚注^ 林四郎ほか「例解新国語辞典第六版」2002年1月 「尻(しり)」の項
^お母さんの基礎知識(思春期・男の子編)(もっと詳しく…)-神奈川県ホームページ
^ バストと初経のヒミツの関係
^『初経』をキーにした現代ティーンの成長と体型変化について
^ パンツサイズ(ショーツサイズ)のはかり方|小学生・中学生女の子下着の悩み解決|ガールズばでなび
^下着ではじめるからだのエイジングケア おなか・ヒップ編
^ 大阪労災病院看護部「はじめての注射と採血 (はじめてのシリーズ)」2006年3月

関連項目

巨尻



骨盤

股間

スパンキング


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