膵臓癌
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遺伝性膵炎(PRSS1, SPINK1):約50%が発症する[12]

家族性異型多発母斑黒色腫症候群(Familial atypical multiple mole and melanoma syndrome、略称:FAMMM)(p16):10%から20%[13]

遺伝性乳癌卵巣癌症候群(BRCA1, BRCA2, PALB2):1%から2%

ポイツ・ジェガーズ症候群(Peutz-Jegher's Syndrome):30%から40%

遺伝性非ポリポーシス大腸癌 (Hereditary non-polyposis colon cancer、略称:HNPCC、Lynch syndrome)(MLH1, MSH2, MSH6):4%

毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia Telangiectasia):合併率不明。

リ・フラウメニ(Li-Fraumeni)症候群:合併率不明。

遺伝性膵炎、家族性大腸線種ポリポーシス、FAMMM、ポイツ・ジェガーズ症候群などの遺伝性疾患では膵癌発生率が高く、遺伝性膵癌症候群とも呼ばれる。
糖尿病との関係

日本人においては、糖尿病と膵癌のリスク増加は関連がある。糖尿病と癌罹患に共通する危険因子(加齢、肥満、不適切な食事、運動不足)により関連している可能性がある。糖尿病により膵癌リスクが高まる機序としては、高インスリン血症高血糖炎症などが考えられる[14]

膵臓癌における糖尿病の有病率は68%。糖尿病とがんに関する委員会による日本における8つのコホート研究を用いた大規模なプール解析では、糖尿病でない者に対する糖尿病患者の膵臓癌の発症率は1.8倍である。また、新規に発症した糖尿病を合併した膵臓癌は、膵頭十二指腸切除の後、57%で糖尿病が消失したことが報告されている[15]
分類

発生する部位によって以下の通りに分類される。

膵鉤部癌

膵頭部癌 - 膵癌のうち60%は膵頭部に発生する
[16]

膵体部癌

膵尾部癌

病理

膵癌は膵臓のいずれの組織からも発生しうるが、それぞれ全く異なる性質を示す腫瘍となる。

浸潤性膵管癌(Invasive ductal carcinoma) - 膵癌の約90%を占める代表的な組織型で、通常型膵癌とも呼ばれる。膵管に由来する。

膵内分泌腫瘍(pancreatic endocrine tumor[17]) - 内分泌腺(ランゲルハンス島)に由来し、約8割が何らかのホルモンを産生する。通常型膵癌と比較して抗剤が効きにくいが進行も緩やかである。

膵管内乳頭粘液性腫瘍(英語: intraductal papillary-mucinous neoplasms、略称:IPMNs)[18] - 膵管上皮から発生する腫瘍で、膵管内発育と粘液産生を特徴とする。一般に悪性度が低く経過観察が可能であるが、悪性化の所見があるものは手術治療の対象となる。

粘液性嚢胞腫瘍(英語: mucinous cystic tumors、略称:MCTs) - 粘液を有する大型・多房性の嚢胞性病変で、中年女性に好発する。悪性度が高く、通常型膵癌に準じた治療が行われる。

腺房細胞癌 - 腺房に由来する比較的稀な腫瘍である。

そのほか稀な組織型 - Solid-pseudopapillary carcinoma、未分化癌、漿液性嚢胞腺癌(きわめて稀)、転移性膵癌など。

検査
血液検査

腫瘍マーカー:以下の値が高値を示すことで指標として用いられる。

CA 19-9

DUPAN-2

SPAN-1

エラスターゼ 1

NCC-ST-439

SLX

miRNA[19]


画像検査

以下の画像検査を行うことで評価を行う。
超音波検査
一般に検診にて用いられる。典型的な膵管癌は境界不明瞭で不整形の低エコー域として描出される。膵頭部の癌では主膵管や胆管の拡張も認められる。
CT
非造影検査では臨床的に有用な情報が乏しいため、一般にダイナミック造影を行う。膵癌は血流に乏しいことが多いため、造影早期(動脈相)には膵実質よりも造影不良域として描出される。造影後期(平衡相)では膵実質と同程度の造影効果を示すため不明瞭となる。一方、膵内分泌腫瘍は血流に富むため造影早期から強く増強される。また、周囲への浸潤像やリンパ節転移、遠隔転移の評価も行える。
MRI
胆管・膵管を描出するMRCP画像では膵管の不整や狭窄、途絶を評価できる。造影MRIでも造影CTと同様の評価が可能である。
FDG-PET
癌に一致して異常集積が見られるが、炎症との鑑別はしばしば困難である。
内視鏡的逆行性胆道膵管造影(Endoscopic retrograde cholangio-pancreatography、略称:ERCP)
特殊な内視鏡胆管膵管を直接造影する方法である。膵管癌では膵管の不規則な狭窄や途絶が見られ細胞診が施行できる。合併症として膵炎を起こすことがある。
超音波内視鏡(Endoscopic ultrasonography、略称:EUS)
先端に超音波探触子がついた内視鏡を使用し、内や十二指腸内から観察する超音波検査。腫瘍の穿刺細胞診も行える。
検診
尾道方式による早期発見・治療

広島県尾道地区では、膵癌の危険因子が複数ある人に超音波検査をして異常所見があった場合、非侵襲的な検査をさらに受けてもらい、早期発見・治療につなげる取り組みを2007年から実施しており、他地域にも広がり「尾道方式」と呼ばれている[20]
アメリカ予防医学専門委員会の検診非推奨

アメリカ予防医学専門委員会(USPSTF)は2019年8月6日、膵臓癌検診に関する有益性と有害性をレビューした結果、症状のない成人に対する膵臓癌検診を推奨しないとする声明を発表した[21]


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