女性の外性器は、よく「膣」であると言われるが、厳密には外陰部(=Vulva(ウルウァ:ラテン語の「子宮」に由来する)または、Pudendum(プデンドゥム:ラテン語で「恥るべき」を意味するpudendlus(プデンドゥス)から派生))のことである。外陰部を構成する小陰唇に挟まれた膣前庭部に膣口が開口している[8]。膣は、厳密には体内の部分を指す医学用語である。
膣内壁は皺襞(ひだ)状になっており、挿入された陰茎や亀頭を刺激し射精を促す。
一部医師によって膣内壁の皺襞、疣贅(いぼ)の形状が尖圭コンジローマによるものと誤診されることがある[9][10]。 一般的には「膣(ちつ)」と表記されるが、「腟(しつ)」が使われる場合もある。いずれも常用漢字外である。小川鼎三の「医学用語の起こり」によると、「腟」は『重訂解体新書』(『解体新書』の改訂版)を訳出する際に作成した新字であり「しつ」と読ませようとしたが、既存の似た文字である「膣」に取って代わられ、読みも「ちつ」になったとされている[11][12][13]。しかし、いずれの字も『康熙字典』に存在するため、この説には疑問が残る。ちなみに、中国語における「膣」は「肉が出来る」といった意味を表し、この字が女性器を表すのは日本語の用法である[疑問点 – ノート]。Vagina のことを中国語では「陰道」と言う。 益田赤十字病院 第一産婦人科部長 水田 正能の「産婦人科医が“膣”を使ってはならない
語源
『重訂解体新書』は、『解体新書』の原典であるクルムスの『解剖圖譜』を翻訳、重訂したものである。その中で大槻玄沢は、“腟”を女性生殖器に用いた理由として、「腟、法技納〔羅〕、悉乙牒、〔蘭〕」とあり,さらに「按ズルニシケイデハ室ナリ。則チ男茎容受ノ室ナリ、且ツ胎産及ビ月経通利ノ道ナリ、イマ新ニ字ヲ製シテ訳シテシカ云ウ。室ノ辺傍肉ニ从ウ、音ヲ叱トナス、則チ会意ナリ。中略、肉生ズルナリノ腟ニハ非ズ」と書いている。これは、“腟”は以前より中国 に存在していた漢字で、『玉篇』に「腟チツ、音扶、肉生也」とある.
大槻玄沢は、中国製漢字の「肉が生ずる」という意味の“腟”の存在は知りつつも、臓器の特徴を著すために、「月(にくづき) 部」に「室」を会意した漢字“腟”を使用したのである。大槻玄沢の記載は、小生の出身地であ る岡山県津山市にある洋学資料館で『重訂解体新書』を拝見させていただき、確認した。どうして“膣”が誤用されているのか。一般に、“腟”は“膣”の略字であり、“膣”の方が古い 字体で正式だと誤解されているようである。
小川政修の『西洋醫學史[14]』によれば、「妊娠診斷、受胎、陣痛促進(坐藥)、乳分泌増加(膏藥貼用)、通經(煎劑の腟内注入)」と、“醫學”“斷”“經”などの旧字体の中でも、“腟”が正確に使用されている。さらに断定的な証拠として、大槻文彦氏は『大言海』に、“腟”と“膣”は異義の字であると書いているが、「膣ハ篇海「音窒、肉生也」ト。今ハ腟ト同ジク用ヰル」と続く。この『篇海』は、前出の『玉篇』より後代の著であるので、強いて言えば「腟」の方が旧字体なのである.
Vaginaはラテン語で剣の鞘や植物の葉鞘、子房といった鞘状の構造一般を意味するv?g?na(ワーギーナ)に由来し、解剖学では膣を含めた鞘(さや)(包膜、包被としての役目を担っている構造)を意味する。膣粘膜は、vagina mucosaと呼ぶ。
脚注[脚注の使い方]^ Japan, CondeNast. “処女&処女膜についての意外な事実8つ! 初体験で出血しないのはノーマル!?