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ゼラチンは製菓材料・ゲル化剤・増粘剤・安定剤として広く利用されている。
工業製品関連
弦楽器
ゼラチンの利用法として、歴史に古くから記されている。特に木材に対して極めて強力な接着力を示す一方、蒸気をあてると結合が緩み綺麗に剥離する事から、調整や修理の必要な、
バイオリンなどの弦楽器の接着剤として用いられ、修理の際に剥離の必要な部位には、意図的に接着力の弱いものが使用されている。高温多湿の車内などに放置すると、ニカワが溶けてしまい、楽器がバラバラに分解してしまうという惨事が起こる。その際、たいてい弦の張力で傷が付いてしまう。
和弓
日本では、ハゼノキを幾重にも貼り合わせてつくる和弓づくりにも古くから用いられており、材料の接着は弓の性能に大きく影響する事から和弓に用いる膠は伝統的に弓師自ら作成・調合している。
建築
膠の接着剤:住宅建築用住宅において、フローリングの固定に使用される。通常は酢酸ビニル系の接着剤で固定されるが、シックハウス症候群を予防するためにニカワを使用して固定することがある。
フィルム印画紙
溶かしたゼラチンに臭化カリウムの溶液と硝酸銀の溶液を加えて攪拌すると写真乳剤となる。1871年銀塩写真に使う写真乳剤が開発されそれを塗布し乾燥させ感光膜とした臭化銀ゼラチン乾板が発明された。それらの写真乳剤をベースとなる素材に塗布したものが、それぞれフィルムであり印画紙となった。以降、感光物質の結合剤であり、保護コロイドとして機能するゼラチンが用いられ続けているが、デジタルカメラが普及し、使用量は減少してきている。
医薬品・化粧品
医薬品
飲み薬に使用されている各種のカプセルの他、
錠剤トローチなどにも使用されている。[4]日本では、年間1000t以上のゼラチンが医薬用として使用されている[4]。水分量を増やし流動性を高めたゼラチンを用い、嚥下障害のある患者への水分補給などにも使用されている[4]湿布薬にもゼラチンが用いられており、多用されている日本では特に使用率が伸びている。ゼラチンには止血作用があるのでゼラチンスポンジとして手術時に使われる。やがて体内で吸収されるので除去する必要はない。また、ゼラチン加水分解物を止血剤として注射することもある。また、化学繊維を織り込んで作られた人工血管のコーティング材としても利用されている。ロバ(ウシの場合もある)の膠(ゼラチンとして精製する前のもの)を阿膠(あきょう)といい止血作用のある生薬である。阿膠は効能を表示しない限りは法的に食品扱いである。
化粧品
ゼラチンの元でもあるコラーゲンは美容の分野で保湿剤として着目されており、従来シャンプーリンス口紅などに使用されていた粘性保持のための添加剤としてだけでなく、「加水分解コラーゲン」「水溶性コラーゲン」などが製品化され化粧品の基材の一つとして使用されている。
美術兎皮膠の顆粒剤と液体獣皮膠(常温)獣皮膠(加熱)

日本画では、膠は絵具の固着材となり、岩絵具などの顔料を定着させるため膠水で溶いて使用する[5][6]湯煎した膠とすすを練り合わせて成形・乾燥させたものであり、膠は固着成分として、また疎水性のすす粒子を包み込んで水中に分散させる保護コロイドとして機能している[7]。紙や布の滲み止めなどには膠と生ミョウバンの混合液である礬水を塗布する。かつては鹿の皮革から作られていたことから鹿膠(しかにかわ)と言われているものや、三千本膠と言われる牛皮膠などが主に用いられている。

中国の絵画でも膠を使った墨や彩墨[8][9]、チベット・ネパールのタンカでも膠絵具が使われる[10]

西洋絵画では、膠絵具は主に室内装飾や舞台美術、布描きの一種(Tuchlein)に用いられ、ディステンパーと呼ばれる[11][12]油彩画やテンペラ画では、支持体目止め地塗りの材料として膠が用いられ[13][14]、兎の皮革から作られた兎膠(英語版)(トタン膠)などが良く知られている。水彩紙の表面サイズ剤としても使われる[15]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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