腕時計
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2010年代になると廉価帯の腕時計としてのコストパフォーマンスの高さが人気となり、「チープカシオ」として再びブームを起こした[32] [33] [34]

大ヒットした限定G-SHOCKの一例。
初代デジアナをベースにしたスケルトンモデルである。

シチズン

シチズンの「エコ・ドライブ」は光発電によって駆動する。また外気温と装着者の体温の差を利用しゼーベック効果によって発電した電気エネルギーを動力源にする「エコ・ドライブ サーモ」の腕時計もあった(現在、エコ・ドライブ サーモを適用した腕時計は販売していない)。
スウォッチ

安価なクォーツ時計に鮮やかな色彩、有名アーティストによるデザイン差別化や少数限定販売によるコレクションアイテムとして、ユーザーの支持を集めた。ニコラス・ネグロポンテによるインターネットタイムを提唱したが普及には至っていない。

2010年ごろにおいて、壁時計では秒針の音を避けるなどの目的でスウィープ運針のものも多いが、クォーツ腕時計はほとんどが秒刻みの運針であったが、シチズンの傘下のブローバから、毎秒16回駆動のクォーツ腕時計が発売された。シチズンとブローバは以前に音叉式腕時計で提携しており、ブローバからの技術導入でシチズンが国産化した経緯がある。

機械式腕時計でも脱進機の新機構が導入された。スイスのユリスナルダン2001年に発表した「フリーク」は新しい脱進機の導入により、潤滑油を不要としている。オメガはジョージ・ダニエルズが発明した「コーアクシャル」脱進機の導入によりアンクル爪とガンギ歯の摩擦の低減に成功している。さらに近年では独自の脱進機を開発したり、ガンギ車やアンクル、ヒゲゼンマイにシリコンや新たな特殊合金などの先端素材を採用してオイルフリーや精度向上を目指す動きもある。

2013年5月のBaselworld(バーゼル・フェア)において、スウォッチが発表したSistem51[35]は高価な機械式自動巻き腕時計と同程度の性能を持ちながら、完全機械化された製造工程と「51」の由来である部品数低減などの最新の再設計により[36]、クォーツ式と同様のファッショナブルなスタイリングと同程度の価格帯の機械式腕時計を提供した。
防水腕時計

ムーブメントを水分から保護する仕様のケースを装備した腕時計を防水腕時計と呼ぶ。現在では一般に市販されている腕時計の多くが、何らかの防水仕様を備えている。規格については一般用耐水時計の規格として、ISO 2281/JIS B 7021 に記されている。古い防水時計では Waterploof ないしはそれに類する表記がされている事例が見られるが[37]、今日の防水時計はいずれも "Water Resistant" またはそれを略した "Water Resist" などが表記に用いられる。 

腕時計の防水機能は、「気圧」もしくは「水深 (m/ft)」で表される。基本的には、小雨に打たれたり日常の水仕事で水がかかっても大丈夫というレベルの「日常生活防水」(3 - 5気圧防水)、水泳や潜水などで着用する10 - 20気圧防水、そして本格的なダイビングに使用される潜水用腕時計(数百メートルから極端なものでは一万メートル防水も)までさまざまなレベルがある。

ただし「3気圧防水」と言っても、「水深30メートルまで大丈夫」というわけではない。この気圧は、静止した状態でこの水圧に耐えられるという意味であり、衝撃や圧力が加わった場合の防水機能は保証されない。水深で表される場合には実際に表記どおり潜ることも可能な性能を持つが、経時的な防水機能の劣化のため、パッキング交換等のメンテナンスを怠ると性能を充分に発揮できずに浸水する場合がある。

防水強度表使用例飽和潜水用
300m防水空気潜水用
200m防水日常生活強化
20気圧防水日常生活強化
10気圧防水日常生活強化
5気圧防水日常生活
防水非防水
JIS B 7023 / JIS B 7021 による規定2種潜水時計1種潜水時計2種防水時計2種防水時計2種防水時計1種防水時計
雨や手洗いの際の水しぶきに耐えうる程度の使用○○○○○○
水仕事(炊事・洗濯)に耐えうる程度の使用○○○○○
ヨット・ボートなどのマリンスポーツ、釣りなど船上作業。プールなどでの軽い水中使用○○○○
競泳、素潜りシュノーケリングなどの浅い水中での使用○○○
スキューバダイビングなど空気潜水での使用○○
飽和潜水での使用○

ねじ込み式竜頭

この種の時計は第1次世界大戦前後に出現しており、初期にはガラスののぞき窓と竜頭操作用のねじ込み蓋を備えた別体ケースに腕時計を入れてベルトで装着するものがあった。防水性は確保できるものの操作製が悪く体裁も悪かった。

早期に近代的な防水構造を採用した代表例は1926年のロレックスである。オイスター社が開発した削り出しによる一体構造の「オイスターケース」にパッキングを装備したねじ込み竜頭を備えてコンパクトでスマートな防水時計を実現した。1928年にはロレックスを装着した女性メルセデス・グライツがドーバー海峡横断遠泳に成功、ロレックスの防水性を広く喧伝した。
Oリング防水

ねじ込み式竜頭は原理自体は理想の方法だが、ぜんまい巻き上げや時間合わせで頻繁に竜頭を使うと、摩耗して気密性が下がる弱点がある[38]。それに代わる簡易な手段として裏蓋や竜頭部分のパッキンにOリングを使い防水性を確保する手法が広まった。Oリングの劣化で気密性が下がった場合はOリングの交換で復旧できる。ケース材質もさびにくいステンレス製とし、裏蓋を扁平なねじ込み式として密閉性を高める手法も一般化した。

Oリング方式は第二次世界大戦中には連合国側で通常型の軍用時計に広く使われ、戦後は大衆時計にまで普及した。しかし初期のOリング式防水時計は現代で言う「日常生活防水」レベルの防水性能がほとんどであったため、日本でも1960年代前期に、ユーザーが防水性を過信して着用したまま入浴や水泳を行い時計を故障させるトラブルが続出したことがある。

一部のメーカーは耐久性の要求される時計について、一種の多重ケース構造に近い手法とOリングの併用で気密性をさらに高める方法を採った。「オメガ・シーマスター」シリーズの高性能版はその代表例である[39]

クォーツ時計では廉価に電池交換を請け負う店舗が多く存在するが、この際に防水Oリングの交換や組み込み、再組立てが時計メーカーの指定通りに行われるかは一部のメーカーの指定業者以外では保証が無い。従って、電池交換の際に「電池交換後は防水機能を保証できない」とする時計店もある。

メーカー指定の時計専門店、もしくはメーカーに送付して電池交換を行う場合はOリング交換や防水検査が実施されるのが普通である。
ダイバーズウォッチ詳細は「ダイバーズウォッチ」を参照

夜光塗料を塗布した文字盤を装備して暗い水中でも視認でき、ねじ込み式竜頭やOリングなどで防水機能を確保することで、水深100m以上の水圧に耐えられる「ダイバーズウォッチ」は、1930年代に軍用向けに出現した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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