腕時計
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キネティック (AGS) は1988年にセイコーが発売した、世界初の自動巻き発電クォーツ腕時計「セイコー オートクオーツ」のムーブメントに使用された方式である[28]。発売時は機構名をAGS (Automatic Generating System) としていたが1997年にキネティックに変更された。キネティックは自動巻き時計と同様に、腕の振りによって発生したローターの回転を歯車で約100倍に増速し、発電した電力をキャパシタに蓄える電池交換不要のクォーツ腕時計である。装着していない時には省電力のため針の動きが自動的に停止し、再び装着され振動が与えられるとそれを感知して自動的に現在時刻に復帰する「キネティックオートリレー」、うるう年においても正しい日付を示す「キネティックパーペチュアル」、手巻き充電にも対応し、パワーリザーブ表示機能を持つ「キネティック・ダイレクトドライブ」もある。

1999年にセイコーがリリースしたスプリングドライブ[29]は、機械式ムーブメントながらテンプやアンクルを持たず、代わりに水晶振動子を使用した電子的な調速機構を組み込み、動力源と発電源に自動巻きで巻き上げたぜんまいを使用しながらクォーツ時計と同等の高精度を実現したものである[30]。このため機械式調速機構で使用されるテンプや、クォーツ時計で使用される電池が不要である。セイコーはスプリングドライブを機械式とクオーツ式に対する第三の駆動機構」と位置づけている[31]

世界的には、機械式時計のセイコー5が電池の入手が困難な低開発諸国を中心にクオーツ時代を生き残り、その一部が国内に逆輸入され、また、一部は国内で再生産されている。セイコー5は安価ながら実用上十分な精度、カレンダー、防水、自動巻き機能をもっており、機械式時計の入門機として一定の需要を維持している。
カシオ計算機

「腕時計は床に落とせばたやすく壊れる」という常識に反し、2?3階から落としても壊れないという耐衝撃性能を備えたタフな腕時計、G-SHOCK(Gショック)を1983年から発売した。Gショックはその頑丈さを買われ、過酷な環境や戦場で愛用されるようになった。最初はデジタルウォッチのみの展開であったが、1989年には「デジアナ」ウォッチもラインナップに加えた。日本では発売早々ヒットとはいかなかったが、1990年代には映画に登場させたり、「限定商品」を投入する販売促進策などによって大躍進に至った。

2010年代になると廉価帯の腕時計としてのコストパフォーマンスの高さが人気となり、「チープカシオ」として再びブームを起こした[32] [33] [34]

大ヒットした限定G-SHOCKの一例。
初代デジアナをベースにしたスケルトンモデルである。

シチズン

シチズンの「エコ・ドライブ」は光発電によって駆動する。また外気温と装着者の体温の差を利用しゼーベック効果によって発電した電気エネルギーを動力源にする「エコ・ドライブ サーモ」の腕時計もあった(現在、エコ・ドライブ サーモを適用した腕時計は販売していない)。
スウォッチ

安価なクォーツ時計に鮮やかな色彩、有名アーティストによるデザイン差別化や少数限定販売によるコレクションアイテムとして、ユーザーの支持を集めた。ニコラス・ネグロポンテによるインターネットタイムを提唱したが普及には至っていない。

2010年ごろにおいて、壁時計では秒針の音を避けるなどの目的でスウィープ運針のものも多いが、クォーツ腕時計はほとんどが秒刻みの運針であったが、シチズンの傘下のブローバから、毎秒16回駆動のクォーツ腕時計が発売された。シチズンとブローバは以前に音叉式腕時計で提携しており、ブローバからの技術導入でシチズンが国産化した経緯がある。

機械式腕時計でも脱進機の新機構が導入された。スイスのユリスナルダン2001年に発表した「フリーク」は新しい脱進機の導入により、潤滑油を不要としている。オメガはジョージ・ダニエルズが発明した「コーアクシャル」脱進機の導入によりアンクル爪とガンギ歯の摩擦の低減に成功している。さらに近年では独自の脱進機を開発したり、ガンギ車やアンクル、ヒゲゼンマイにシリコンや新たな特殊合金などの先端素材を採用してオイルフリーや精度向上を目指す動きもある。

2013年5月のBaselworld(バーゼル・フェア)において、スウォッチが発表したSistem51[35]は高価な機械式自動巻き腕時計と同程度の性能を持ちながら、完全機械化された製造工程と「51」の由来である部品数低減などの最新の再設計により[36]、クォーツ式と同様のファッショナブルなスタイリングと同程度の価格帯の機械式腕時計を提供した。
防水腕時計

ムーブメントを水分から保護する仕様のケースを装備した腕時計を防水腕時計と呼ぶ。現在では一般に市販されている腕時計の多くが、何らかの防水仕様を備えている。規格については一般用耐水時計の規格として、ISO 2281/JIS B 7021 に記されている。古い防水時計では Waterploof ないしはそれに類する表記がされている事例が見られるが[37]、今日の防水時計はいずれも "Water Resistant" またはそれを略した "Water Resist" などが表記に用いられる。 

腕時計の防水機能は、「気圧」もしくは「水深 (m/ft)」で表される。基本的には、小雨に打たれたり日常の水仕事で水がかかっても大丈夫というレベルの「日常生活防水」(3 - 5気圧防水)、水泳や潜水などで着用する10 - 20気圧防水、そして本格的なダイビングに使用される潜水用腕時計(数百メートルから極端なものでは一万メートル防水も)までさまざまなレベルがある。

ただし「3気圧防水」と言っても、「水深30メートルまで大丈夫」というわけではない。この気圧は、静止した状態でこの水圧に耐えられるという意味であり、衝撃や圧力が加わった場合の防水機能は保証されない。水深で表される場合には実際に表記どおり潜ることも可能な性能を持つが、経時的な防水機能の劣化のため、パッキング交換等のメンテナンスを怠ると性能を充分に発揮できずに浸水する場合がある。

防水強度表使用例飽和潜水用
300m防水空気潜水用
200m防水日常生活強化
20気圧防水日常生活強化
10気圧防水日常生活強化
5気圧防水日常生活
防水非防水
JIS B 7023 / JIS B 7021 による規定2種潜水時計1種潜水時計2種防水時計2種防水時計2種防水時計1種防水時計
雨や手洗いの際の水しぶきに耐えうる程度の使用○○○○○○
水仕事(炊事・洗濯)に耐えうる程度の使用○○○○○
ヨット・ボートなどのマリンスポーツ、釣りなど船上作業。プールなどでの軽い水中使用○○○○
競泳、素潜りシュノーケリングなどの浅い水中での使用○○○
スキューバダイビングなど空気潜水での使用○○
飽和潜水での使用○

ねじ込み式竜頭

この種の時計は第1次世界大戦前後に出現しており、初期にはガラスののぞき窓と竜頭操作用のねじ込み蓋を備えた別体ケースに腕時計を入れてベルトで装着するものがあった。防水性は確保できるものの操作製が悪く体裁も悪かった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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