脊椎動物亜門
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またホヤ類は「他の脊索動物と分岐した後に、成体で脊索動物の特徴を失ったと考えられる」[19]
初期の脊索動物からの進化
現生種の解析から分かる事実

現生種の遺伝子の解析等から、以下のことが分かっている。

初期の脊索動物は頭索動物の
ナメクジウオのような動物であり、口、脊索、背側神経管、咽頭裂、肛門より後方の尾を持っていたと思われる[20]

「ナメクジウオの脳は十分発達しておらず、単に神経管の先端部がいくらか膨らんでいるだけ」[20]だが、この先端部の構造が複雑性を増して脊椎動物の脳が進化したと考えられる[20]。その根拠は脊椎動物の前脳・中脳・後脳の主要部を制御するホメオボックス遺伝子がナメクジウオでも同じパターンで発現していること[20]

心臓や甲状腺のような脊椎動物特有の構造を制御する遺伝子が脊索動物の祖先にすでに備わっていたことがホヤの全ゲノム解析から示唆されている[20]

脊椎動物特有の構造である神経堤に似た性質のある細胞がホヤから発見されているが、ナメクジウオにはこのような細胞がなく、ホヤは神経堤の進化の中間段階にある可能性がある[20]

進化史ハイコウエラの復元図

まず5億3,000万年前(カンブリア爆発の頃)には、ハイコウエラ(英語版)というナメクジウオのような全長3センチメートルほどの生物の化石が発見されているが[21]、この生物は脊椎動物の特徴を一部持ち合わせている[21]。具体的にはナメクジウオと同様、懸濁物食をしていたと思われる口を持ち合わせている一方[21]、脊椎動物のようなよく発達した脳、小さな眼、魚類に似た筋節構造を持っている[21]ミクロンギアの復元図

ミロクンミンギアは頭部を獲得した最古の脊索動物だと考えられており[21]、脳や眼を備えた頭部の獲得により複雑な動きや摂餌行動ができるようになったが[21]、まだ脊椎は獲得していない[21]コノドントの復元図(右)とその2種類の歯(左)

最古の脊椎動物は5億年ほど前に現れており、その一つであるコノドント類は、軟骨性の内骨格しか持っていない[21]

オルドビス紀からシルル紀の間に脊椎動物はさらに進化して、半規管を持つ内耳の獲得により平衡感覚を保ち[21]対鰭も獲得した[21]。また筋肉質の咽頭を持ち[21]、これにより海底に住む生物や有機堆積物を吸い込んで食べていたと考えられている[21]。またこの頃には硬骨の甲皮で身を守る遊泳性の脊椎動物が数多くいたが、デボン紀末に全て絶滅した[21]

軟骨性の骨格が硬骨化したのは、4億7,000万年ほど前に甲皮が出現したのが始まりで[21]、4億3,000万年前までには軟骨の内骨格を薄い硬骨が覆う種が現れ始め[21]、その後、顎を獲得した脊椎動物で硬骨化が進んだ[21]
脊椎動物の特徴

他の脊索動物では1つしかないHox遺伝子が脊椎動物では2つあるなど[22]、脊椎動物ではシグナル分子や転写因子をコードする重要な遺伝子ファミリーに対して遺伝子重複が起きており[22]、「このことが脊椎動物の骨格系や神経系の革新に結びついた可能性がある」[22]
他の脊索動物との差異

脊椎動物においては、他の脊索動物が持つ特徴である脊索や咽頭裂は以下のように変化している:

ほとんどの脊椎動物では脊索の周囲に連結した骨格が発達し
[19]、成体では脊椎の名残が残るのみ[19]。ヒトでは脊索は退化して椎間板の一部になる[19]

咽頭裂とそれを支持する咽頭弓は四肢動物以外ではガス交換に用いられる[19]。四肢動物では「咽頭溝は咽頭裂として開口しないが、耳などの頭部や頸部の構造の発生において重要な役割を演じる」[19]

脊椎動物の派生形質

多くの脊椎動物では脊椎骨が神経管を取り囲んでおり[22]、また胚において神経管が閉じつつある際に神経管の背側に神経堤が形成されるという特徴がある[22]。「神経堤は胚の中で移動し、歯、頭蓋骨の一部や軟骨、神経、眼などの感覚器官の原基など、さまざまな構造をつくり出す」[22]
脊椎動物から羊膜類に至る系統樹

脊椎動物の系統樹は以下の通りである[23]。右下に太字で描いた「四肢動物」は「魚類以外の脊椎動物」を表し、脊椎動物以下で四肢動物を除いたものが「魚類」である。

脊椎動物

円口類

ヌタウナギ類

ヤツメウナギ類



顎口類

軟骨魚類サメエイギンザメ目

硬骨魚類

条鰭類

肉鰭類

総鰭類(シーラカンス目

肺魚類

四肢動物

両生類

羊膜類


指のある肢の獲得



肉鰭の獲得

またはその派生物の獲得

硬骨の獲得

脊椎骨の獲得

円口類

ヌタウナギとヤツメウナギからなり、脊椎動物の中で顎を持たないという特徴を持つ[22]。脊椎骨を持たないがその痕跡はある[22]。なお、かつてヌタウナギには脊骨がないとされ、脊椎動物から外されていたが、その後分子系統解析が進み、脊椎骨の痕跡が見つかると脊椎動物に分類されるようになった[22]。@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .mod-gallery{width:100%!important}}.mw-parser-output .mod-gallery{display:table}.mw-parser-output .mod-gallery-default{background:transparent;margin-top:.3em}.mw-parser-output .mod-gallery-center{margin-left:auto;margin-right:auto}.mw-parser-output .mod-gallery-left{float:left;margin-right:1em}.mw-parser-output .mod-gallery-right{float:right}.mw-parser-output .mod-gallery-none{float:none}.mw-parser-output .mod-gallery-collapsible{width:100%}.mw-parser-output .mod-gallery .title,.mw-parser-output .mod-gallery .main,.mw-parser-output .mod-gallery .footer{display:table-row}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div{display:table-cell;text-align:center;font-weight:bold}.mw-parser-output .mod-gallery .main>div{display:table-cell}.mw-parser-output .mod-gallery .gallery{line-height:1.35em}.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div{display:table-cell;text-align:right;font-size:80%;line-height:1em}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div *,.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div *{overflow:visible}.mw-parser-output .mod-gallery .gallerybox img{background:none!important}.mw-parser-output .mod-gallery .bordered-images .thumb img{outline:solid #eaecf0 1px;border:none}.mw-parser-output .mod-gallery .whitebg .thumb{background:#fff!important}円口類


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