脊椎動物亜門
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肛門、およびこれらをつなぐ消化管をもち、体内に体腔ないし偽体腔(線形動物、輪形動物など)を持つ。

ボディプランは、前方(運動のとき体の進む方向)と後方の区別、腹側と背側の区別がある傾向があり、したがって左側と右側の区別も可能である[9][10]。運動のとき体の前方へと進むので、進行方向にあるものを識別する感覚器や餌を食べる口が前方に集まる傾向にある(頭化という)。

多くの左右相称動物は環状筋縦走筋のペアを持つので[10]、ミミズのような体が柔らかい動物では水力学的骨格(英語版)の蠕動により動ける。

多くの左右相称動物には繊毛で泳ぐことができる幼生の時期がある。

後口動物「後口動物」も参照

後口動物(新口動物)とは歴史的には胚にできた原口が口になる前口動物(旧口動物)に対し、原口が口にならず新たに口が開く動物として定義された分類群である[11]。しかし1990年代に分子系統解析が始まると、この歴史的な意味での後口動物は単系統にならないことが示されたので、毛顎動物有鬚動物などが後口動物から外され、上述の系統樹にあるもののみが後口動物として残された[12]

なお、珍無腸動物 (Xenacoelomorpha) を含むか否かは2016年現在未確定[13][14][15][16][17]
脊索動物

脊索動物は脊椎動物を含む動物門で、(一生のうち少なくとも一時期に)脊索を持つという特徴をもつ[18]。詳細後述。
脊索動物門における脊椎動物の特徴・進化
脊索動物の特徴

脊索動物における脊椎動物の特徴や進化した点を見るため、本節では脊索動物の特徴を簡単に述べる。脊索動物は下記のような特徴を持つ:

消化管と神経管の間に脊索(大きな液胞で満たされた繊維質の組織)というしなやかな棒状の構造を胚の時期に持つ
[19]。成体でも脊索を保持する種も存在する[19]

他の動物門の胚では腹側に神経索ができるのに対し、脊索動物の胚では背側に環状の神経索(神経管)ができ[19]、脳と脊髄からなる中枢神経系に発達する[19]

消化管は口から肛門まで伸び[19]、胚の時期に咽頭(口のすぐ後ろの領域)の両側に溝のような構造(咽頭溝)ができ[19]、そこに咽頭裂という裂け目ができる[19]。脊椎動物以外の脊索動物の咽頭溝は多くの場合懸濁物食の器官として用いられる[19]

他の動物門では消化管が体の後端まで伸びているものが多いのに対し、脊索動物では肛門の後ろに尾が伸びており[19]、水生の種では尾の骨格と筋肉を推進に用いる[19]。ただし胚発生の段階で尾が退化する種も多い[19]
ナメクジウオ

頭索動物(ナメクジウオ)は以下のような特徴を持つ:

ガス交換:咽頭裂では殆ど行われず、体表を通して行われる[19]

採餌:繊毛を使って口から海水を取り込み、咽頭裂の粘膜で海水中の餌を捉えて消化管に送り込む。その際海水は咽頭裂から体外に出る[19]

移動:脊索の両側にある筋肉を収縮させることにより脊索をしならせ、体を左右に振って移動する[19]

体長:成体では6センチメートル程度[19]
ホヤの一種Polycarpa aurata

尾索動物(ホヤ類)は次のような特徴を持つ:

幼生期:脊索動物の特徴が顕著であるが、幼生期が数分しかないものもいる[19]

成体:固着性で、幼生期とは著しく姿を変える[19]。尾と脊索は吸収され、神経系も退化[19]

採餌:咽頭裂から海水を入れ、粘液で海水中の餌を捉える。それを繊毛で食道に運び、水と排泄物が肛門から出水管へと出ていく[19]

ホヤ類はナメクジウオのもつ13のHox遺伝子のうち4つを失っており、幼生期のボディープランが他の脊索動物とは異なる機構で形成される[19]

またホヤ類は「他の脊索動物と分岐した後に、成体で脊索動物の特徴を失ったと考えられる」[19]


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