側方に彎曲するだけでなく、椎体自体がねじれながら彎曲するため、やがて肋骨も変形し、凸側の肋骨が後方に張りだすと、女性の場合は乳房が左右不均等になったり、背中が出っ張るなど容姿に影響する。それらの体や姿勢の変形により、劣等感や羞恥心など心に影響を与える場合もある。 胸の圧迫と変形による呼吸器障害・循環器障害など内臓にも影響を及ぼす。進行すると凸側の肋骨の前後がつぶれるように変形し、肺、心臓などの臓器を圧迫することで影響が出る。側彎が70度を超えた場合は肺活量が極度に減少し、90度を超えると肺や心臓の機能にも大きく影響し平均余命が短くなるといわれる。 腰椎は、肋骨がなく、主に筋肉と靭帯により支えられるため、胸椎よりも負担が大きい。また、椎間板への影響もあり、側彎が45度を超えると椎間板への負担が不均等となり、椎間板の痛み、腰痛の原因となる[2]。 予防方法はわかっておらず、早期発見によって非観血的治療を行うことに利点がある。 日本では、乳幼児や学校の健康診断で脊柱検査が行われており、1980年(昭和55年)頃よりモアレ検査による検診が普及し、早期発見が可能になった。学校保健安全法の改正により、2016年度から運動器検診(家庭で評価ののち学校医による視触診が実施され総合判定)が学校健診の必須項目に加えられた[15][16]。 側彎リサーチ学会(英:Scoliosis Research Society (SRS) 側彎検査を行うことを推奨している[17]。 レントゲン写真などから彎曲の大きさ(コブ角/Cobb angle)を測り、おおむね の三段階に分類し、軽度では定期的なレントゲン撮影による経過観察を継続する。 25度以上と診断されると、右写真のような専用のコルセットなどの装具による維持療法が行われることが多い。コルセットで彎曲が完全になくなる(完治する)ことは無いが、装具は確実に進行を遅らせるため、手術となったとしてもその時期を遅らせる効果がある[18]。 50度以上と診断されると、スクリューやロッドを挿入して脊柱を矯正する外科手術を行う。この場合も完治することは無い。 日本側彎症学会では、装具による矯正治療と手術が必要であるとし、運動療法が有効だという客観的なデータはいまだに発表されておらず、徒手矯正、マッサージなども無効としている[20]。 シンガポールでは、自然療法による改善・進行防止の処置を行う専門クリニックがある。 脊椎側彎症が原因の肉離れに悩まされていたウサイン・ボルトは、走行中に骨盤が揺れることでハムストリングスに負担がかかっていることが判明したため、背骨を守るためバイエルン・ミュンヘンのチームドクターの指導で腹筋、背筋、大殿筋など骨盤周辺の筋肉を3年かけて強化した[21]。これによりレーニング中の怪我が減少したことに加え、推進力を生む蹴り上げる力も強化され後の活躍につながった[21]。同時にカイロプラクティック・ケアによっても支えられた[22]。
内臓機能の低下
腰痛
脊柱検査
日本
アメリカ
女性には、10歳と12歳の2回
男性には、13?14歳の1回
治療
軽度(25度未満)
中度(20度?40度程度)
40度程度
高度(50度以上)
装具装具による矯正の例(56度から27度に改善)
手術手術による矯正の例
矯正固定術
VBT(Vertebral Body Tethering)
グローイング・ロッド(英:Growing Rod)
ベプター(Vertical Expandable Prosthetic Titanium Rib(VEPTR))
Shilla
ApiFix[19]
民間療法
筋肉の強化
Size:29 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef