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B1はS1(肺尖区)の区域気管支であり、B2はS2(後上葉区)、B3はS3(前上葉区)の区域気管支である。右主気管支は右上葉気管支を分枝した後、中間気管支管(左には存在しない)という。
右中葉
中間気管支管は前方に右中葉枝を分枝する。右中葉枝は外側(前方)のB4と内側(後方)のB5に分枝する。B4はS4(外側中葉区)、B5はS5(内側中葉区)の区域気管支である。
右下葉
右中葉枝を分枝した直後、後方にB6が分枝される。次いで、B7が前下内方へ、B8が前下外方へB9+10が下後方に分枝する。B6はS6(上下葉区)、B7はS7(内側肺底区)、B8はS8(前肺底区)、B9+10はS9(外側肺底区)、S10(後肺底区)の区域気管支である。
左上葉
左主気管支から左上葉気管支が上方に分枝する。左上葉気管支は上行する上区枝と前下方の舌区枝に分枝する。上区枝は上後方のB1+2と前方のB3に分枝する。舌区枝は前方のB4と下外方のB5に分かれる。B1+2はS1+2(肺尖後区)、B3はS3(前上葉区)、B4はS4(上舌区)、B5はS5(下舌区)の区域気管支である。
左下葉
左上葉気管支を分枝した直後、B6を後方に分枝する。左側にはS7(内側肺底区)は存在しないことが多く、前下方のB8、後方のB9+10を分枝する。B9+10は外側のB9と内側のB10に分枝する。B6はS6(上下葉区)、B8はS8(前肺底区)、B9はS9(外側肺底区)、B10はS10(後肺底区)の区域気管支である。
脊椎動物
起源

酸素の摂取は水中からより空気中からのほうがはるかに有利となる。これは水中における溶存酸素がせいぜい15℃で7ml/lであるのに対して空気中には209ml/lにも達すること、空気の比重は水の1000分の1、空気の粘性は水の100分の1であること、酸素の血液中への拡散速度は空気中が水中の50万倍にも上ることによる。しかし、初期脊椎動物によって水呼吸に用いられてきた鰓は水との接触面積を柔軟で微細な襞状構造によって達成しているため、これを空気中に引き出すと襞間の水の凝縮力によってしぼんでしまい、呼吸媒体との接触面積が水中に比して著しく低下する。そのため、空気呼吸の利点を享受するには新たな呼吸器官が必要となる。この空気呼吸器官は鰓のような凸状の酸素摂取面を体外に発達させるのではなく、体内に凹状の酸素摂取面を設けることで、空気の圧力により呼吸媒体との接触面積が広く維持できる。こうして鰓裂直後の消化管腹壁より分化した嚢状器官として肺は発生した。脊椎動物が肺を獲得した時期に関しては初期の有顎動物下門である板皮綱に既に肺を持つものがいたとする説があるが、初期の硬骨魚綱には確実に存在している。また、軟骨魚綱は肺を持つことがなかったグループである。
肺循環の分化

発達と同時に、取り入れた酸素を機能的に全身に運ぶため、血管の配置も変化している。魚類では心臓からでた動脈の一つが通り、その後全身に巡るという形を取るが、両生類以上では心臓から来て当臓器を通って、すぐに心臓へ戻り、あらためて全身へ運ばれるという形を取る。つまり心臓から全身を回る循環と、肺へ行ってすぐ戻る循環が分化する。これを、それぞれ体循環肺循環という。ただし、これを十分に行うためには心臓内部が二つに分かれなければならないが、そのための壁は爬虫類以上でなければ完成されない。

肺呼吸する魚の空気呼吸と水呼吸への依存度[4]種温度
(℃)O2摂取(%)CO2排出(%)
空気から水から空気へ水へ
肺魚類
プロトプテルス・エチオピクス249283268
レピドシレン・パラドクサ2042580100
ガーパイク類
ロングノーズガー227327892
スポッテッドガー2042580100
アミア類
アミア3074263961
2069312377
10892793
304060892
オステオグロッスム類
ピラルクー28?3078223763

両生類

基本的に魚類と同じ単純な袋状の構造で、通常は最大の呼吸器官であるが、これだけでは全呼吸量をまかなうことができない。両生類の皮膚の角質層はきわめて薄く、また通常粘液で覆われているので酸素二酸化炭素が透過しやすく皮膚呼吸の能力も高い。皮膚呼吸への依存度は活動時のカエルで全呼吸量の2分の1から3分の1程度と言われている。

水生種の中には幼形成熟(ネオテニー)により(えら)を失わないものも多く、これらは肺呼吸と皮膚呼吸に加え、鰓呼吸も併用している。冷涼湿潤な森林の地表で生活するグループの中には当臓器そのものを失って全面的に皮膚呼吸に依存するものもある。サンショウウオ科ハコネサンショウウオアメリカサンショウウオ科の全ての種がそうである。

両生類の中では活動的で呼吸量も多いカエルのものは、比較的複雑になっており、内壁の襞の発達によりいくつもの泡沫が集合したような外観である。
爬虫類

爬虫類は基本的にほぼ当臓器に依存した呼吸が可能な程度に構造が複雑化して、内壁は海綿状にまで発達している。中には哺乳類と同程度にまで複雑化したものを持つものもある。皮膚の表面には厚い角質が発達するので皮膚呼吸への依存は低いが、水生のカメなどでは咽頭や総排泄孔の内壁の粘膜を水中での補助呼吸器官として用いている。さらにワニやカメなどが潜水するときは心臓の操作によって肺循環を低下させ、肺呼吸を停止した状態での効果的な血液循環を図ることが知られている。また、ヘビの場合、著しく細長くなった体制に応じて左の肺が退化し、右の肺のみが発達する。
鳥類「鳥類の体の構造#呼吸器系」を参照

鳥類は、気嚢と肺管の組み合わせによる極めて効率的なガス交換システムをもつ。

気管から分岐した気管支は、最終的に並行して走る肺管と呼ばれる細かい管になり、これがガス交換の場となる。ここから5対の気嚢と呼ばれる大きな袋が出ている。気嚢(きのう)は頚気嚢(けいきのう)、鎖骨間気嚢、前胸気嚢の3対の前気嚢と、後胸気嚢と腹気嚢の2対の後気嚢に分かれる。また各気嚢には気管に直結した経路も存在する。

呼吸運動において5対の気嚢がふいごのように伸縮するが、肺管は伸縮しない。吸気はまず3対の後気嚢に直接吸い込まれ、保持される。次に酸素を豊富に含んだ後気嚢内の空気が後方から肺管に送り込まれる。肺管の血管には前方から血流が送られており、肺管の前方の古い空気との間で二酸化炭素を排出した後、後方の新しい空気から酸素を吸収する。肺管を通過した空気は前気嚢に集められ、気管に向けて排出される。

このようにガス交換部における空気の流れは一方向のみで、常に新鮮な空気が血液と対向方向に流れる。他の脊椎動物では空気は往復運動している。そのためガス交換部である肺胞に常にある程度の古い空気が残存せざるを得ず、新鮮な空気は常にかなりの量の古い空気と混合した後にガス交換が行われることになる。

こうした効果的なガス交換能力を身につけていたことが鳥の激しいエネルギー消費を伴う飛行を可能にしたと言える。しかし、鳥の気嚢は全身にくまなく入り込んでいるため、獣医学的には鳥の呼吸器感染症は重篤になりやすいと言われている。
恐竜

鳥類獣脚類の恐竜から分岐して進化した。現存鳥類の呼吸システムを、獣脚類(もしくは恐竜全体)が既に持っていたという仮説があり、研究がすすめられている。2005年には、マジュンガサウルス脊椎骨の構造の研究から獣脚類が気嚢を持つ証拠が提出され、この仮説の実証が前進した。


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