肺癌
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IASLC/ATS/ERS Classification of Lung Adenocarcinoma in Resection Specimens[15][16]

Preinvasive lesions

Atypical adenomatous hyperplasia

Adenocarcinoma in situ (?3 cm formerly BAC)

Nonmucinous

Mucinous

Mixed mucinous/nonmucinous



Minimally invasive adenocarcinoma (?3 cm lepidic predominant tumor with ?5 mm invasion)

Nonmucinous

Mucinous

Mixed mucinous/nonmucinous


Invasive adenocarcinoma

Lepidic predominant (formerly nonmucinous BAC pattern, with >5 mm invasion)

Acinar predominant

Papillary predominant

Micropapillary predominant

Solid predominant with mucin production


Variants of invasive adenocarcinoma

Invasive mucinous adenocarcinoma (formerly mucinous BAC)

Colloid

Fetal (low and high grade)

Enteric

BAC, bronchioloalveolar carcinoma; IASLC, International Association for theStudy of Lung Cancer; ATS, American Thoracic Society; ERS, European RespiratorySociety.
その他

カルチノイド (carcinoid tumor)、円柱腫 (cylindroma)、粘表皮癌 (mucoepidermoid carcinoma) など。
転移性肺腫瘍

には全身から右心系に集まってきた血液が送られるため、他臓器由来の悪性腫瘍の血行性転移の好発部位となる。これを転移性肺腫瘍 (: metastatic lung tumor)[注釈 1]と呼ぶ。肺腫瘤影が多発する場合は転移性肺腫瘍が疑われるが、その他に肺内転移 (: intrapulmonary metastasis) や重複癌 (: double cancer) との鑑別が必要である。
検査

肺癌は、検診等で偶然撮影した、あるいは何らかの症状があって撮影した胸部レントゲン写真・CTで異常影が認められた際に、疑われることが多い。肺癌の検査には、胸部異常影が肺癌であるかどうかの確定診断のための検査と、肺癌の病期(広がり)を決定し治療方針を決めるための検査がある。
腫瘍マーカー
CEA、SLX、SCCCYFRA、ProGRP、NSEなどの高値は癌が存在する可能性を示唆する。また、治療後の効果を推定する補助となり得る。癌の確定診断に用いることはできない。
喀痰検査
喀痰細胞診で癌細胞が検出されれば、肺癌の可能性が非常に高い。逆に肺癌があったとしても細胞診検体に癌細胞が出現しないことが多いため、細胞診で癌細胞がいなかったとしても肺癌の否定はできない。
CT
肺結節ないし腫瘤がスピクラ (spicula)、胸膜陥入像、ノッチを伴う場合、肺腺癌の可能性が高い。また肺門・縦隔リンパ節腫大の有無、胸水の有無、遠隔転移の有無は病期決定に重要である。
気管支鏡検査 (bronchoscopy)
気管支内視鏡を挿入することで、中枢気管支を観察し、生検を行う。ただし、気管支鏡は太さが4-6 mm 程度あるため挿入できる範囲が限られ、肺癌が肺末梢に存在する場合には異常を観察できない。その場合、経気管支生検 (Transbronchial biopsy; TBB)、経気管支擦過、気管支洗浄などの方法で肺末梢から病理診断検体や細胞診検体を採取し、肺癌の確定診断を行う。また、蛍光気管支鏡(AFB:Autofluorescence Bronchoscopy)や気管支腔内超音波断層法(EBUS:endobronchial ultrasonography)などによって極早期の肺癌の発見が可能となっている。
経皮肺針生検
CTを撮影しながら針を直接経皮的に肺腫瘤に突き刺し生検を行い、病理学的に確定診断を行なう。
胸水細胞診
原因不明の胸水がある場合、胸腔穿刺にて胸水検体を採取し、細胞診が行われることがある。
PET
核種で標識したブドウ糖(18FDG)を点滴静注し、その集積をみることで肺結節ないし腫瘤が癌かどうか、リンパ節および全身に転移がないかどうか推定できる。病期診断に用いる。
MRI骨シンチグラフィ
脳転移や骨転移の有無をみる。病期診断に用いる。
病理診断

小生検/細胞診における腺癌診断のアルゴリズム[15]
第一段階
明らかな腺癌(adenocarcinoma、ADC)あるいは扁平上皮癌(squamous carcinoma、SQCC)が認められる場合は、そこで診断が確定する。神経内分泌形態が認められる場合、腫瘍は「小細胞癌」small cell carcinoma (SCLC) あるいは「非小細胞癌おそらく大細胞神経内分泌癌」non-small cell lung carcinoma (NSCL), probably large cell neuroendocrine carcinoma (LCNEC) に分類される。これ以外のものは非小細胞癌NSCL-NOSに分類される。
第二段階
非小細胞癌NSCLC-NOSは、さらに免疫染色 (TTF-1, p63, CK5/6)、粘液染色 (DPAS or mucicarmine)、分子情報により以下のように分類される。

NSCLC, favor ADC

NSCLC, favor SQCC

NSCLC-NOS, possibly adenosquamous carcinoma

NSCLC-NOS

EGFR mutation testingは、古典的腺癌、NSCLC, favor ADC, NSCLC-NOS, NSCLC-NOS, possible adenosquamous carcinomaに実施すべきである。

IASLC/ATS/ERSコンセンサス会議における病理学的推奨事項[15]
BACという用語の使用を控える

小型(? 3センチメートル)で、純粋なLepidic growthを示す孤立性腺癌を上皮内腺癌adenocarcinoma in situ (AIS) と呼ぶ。完全に切除されれば患者の生存は100%である。AISの大部分はnon-mucinous である。

小型(? 3センチメートル)で、Lepidic growth優位、浸潤巣?0.5センチメートルの腺癌を微小浸潤腺癌 Minimally invasive adenocarcinoma (MIA) と呼ぶ。完全に切除されれば患者の生存はほぼ100%である。MIAの大部分はnon-mucinousである。

浸潤性腺癌は、準定量的に組織パターンを評価し、優位パターンに基づいて分類する。

腺癌が多発している場合、組織パターンの徹底的な評価が、転移か同時・異時性重複癌かの決定に役立つ。

かつて混合型と分類されていたnon-mucinous BAC優位の腺癌は、lepidic predominant adenocarcinoma (LPA)という用語の使用を推奨する

早期腺癌における micropapillary predominant adenocarcinoma という分類は予後不良を意味するため、使用が推奨される。

かつてmucinous BACと分類されていた腺癌は、lepidic growth と浸潤性増殖の程度により mucinous AIS, mucinous MIA, invasive mucinous adenocarcinoma のいずれかに分類すべきである。

生検で認められる非小細胞癌は、可能なかぎり腺癌か扁平上皮癌に分類すべきである。

病期

肺がんの病期分類[17]N0N1N2N3M1aM1bM1c
T1miIA1
T1aIA1IIBIIIAIIIBIVAIVAIVB
T1bIA2IIBIIIAIIIBIVAIVAIVB
T1cIA3IIBIIIAIIIBIVAIVAIVB
T2aIBIIBIIIAIIIBIVAIVAIVB
T2bIIAIIBIIIAIIIBIVAIVAIVB
T3IIBIIIAIIIBIIICIVAIVAIVB
T4IIIAIIIAIIIBIIICIVAIVAIVB

肺がんの場合、以下の3つの要素によって病期が決められている[17]

T(原発腫瘍 primary Tumor):原発巣の大きさや周囲の組織との関係

N(所属リンパ節 regional lymph Nodes):胸部のリンパ節転移の程度

M(遠隔転移 distant Metastasis):原発巣以外の肺転移や胸水、その他の臓器への遠隔転移の有無

肺がんのT分類 [17]T分類 病期解説
Tis上皮内がん、肺野に腫瘍がある場合は
充実成分※1の大きさが0センチメートル (cm)、かつ病変の大きさ※2が3cm以下
T1充実成分の大きさが3cm以下、かつ肺または臓側胸膜におおわれ、
葉気管支より中枢への浸潤が気管支鏡上認められない
(すなわち主気管支に及んでいない)
T1mi微少浸潤性腺がんで充実成分の大きさが0.5cm以下、かつ病変の大きさが3cm以下
T1a充実成分の大きさが1cm以下で、TisやT1miには相当しない
T1b充実成分の大きさが1cmを超え2cm以下
T1c充実成分の大きさが2cmを超え3cm以下
T2充実成分の大きさが3cmを超え5cm以下
または、充実成分の大きさが3cm以下でも以下のいずれかであるもの

主気管支に及ぶが気管分岐部には及ばない

臓側胸膜に浸潤がある

肺門まで連続する部分的または片側全体の無気肺か閉塞性肺炎がある

T2a充実成分の大きさが3cmを超え4cm以下
T2b充実成分の大きさが4cmを超え5cm以下
T3充実成分の大きさが5cmを超え7cm以下
または、充実成分の大きさが5cm以下でも以下のいずれかであるもの

臓側胸膜、胸壁、横隔神経、心膜のいずれかに直接浸潤がある

同一の肺葉内で離れたところに腫瘍がある

T4充実成分の大きさが7cmを超える
または、大きさを問わず横隔膜、縦隔、心臓、大血管、気管、反回神経、食道、椎体、気管分岐部への浸潤がある
または、同側の異なった肺葉内で離れたところに腫瘍がある
注記
※1: 充実成分とは、CT検査などによって病変内部の肺血管の形がわからない程度の高い吸収値を示す部分のこと。
これに対し、病変内部の肺血管の形がわかる程度の淡い吸収値を示す部分をすりガラス成分という。
※2: 病変の大きさとは、充実成分およびすりガラス成分を含めた腫瘍全体の最大径のこと。

肺がんのN分類とM分類 [17]病期解説
N0所属リンパ節※3への転移がない
N1同側の気管支周囲かつ/または同側肺門、肺内リンパ節への転移で原発腫瘍の直接浸潤を含める
N2同側縦隔かつ/または気管分岐下リンパ節への転移がある
N3対側縦隔、対側肺門、同側あるいは対側の鎖骨の上あたりにあるリンパ節への転移がある
M0遠隔転移がない
M1遠隔転移がある
M1a対側肺内の離れたところに腫瘍がある、胸膜または心膜への転移、悪性胸水※4がある、悪性心嚢水(しんのうすい)※5がある
M1b肺以外の一臓器への単発遠隔転移がある
M1c肺以外の一臓器または多臓器への多発遠隔転移がある
注記

※3:肺がんの所属リンパ節は、胸腔内や鎖骨の上あたりにある。
※4:胸水の中にがん細胞がみられること。
※5:心臓の周りにたまった液体(心嚢水)の中にがん細胞がみられること。

治療

肺癌の中でも小細胞肺癌は他の組織型と生物学的な性格が大きく異なるため、小細胞肺癌とそれ以外の組織型を併せた非小細胞肺癌の二つに大別して治療方法が選択される。

小細胞肺癌(Small cell lung cancer:SCLC --- 肺癌の約20%)

非小細胞肺癌(Non-small cell lung cancer:NSCLC --- 肺癌の約80%)

肺癌の治療はその癌の増殖状態と患者の状況(年齢など)に依存する。普通実施される治療は、外科手術、化学療法そして放射線療法である。また、極めて早期の肺門中心型早期肺癌に対しては、光線力学療法(PDT)が行われる。
小細胞肺癌(SCLC)

小細胞肺癌は発育が早いため、発見時にはほとんどが進行性である場合が多い。また、CTなどの画像検査上限局しているように見えても検出できない程度の微少転移が既に存在していることがほとんどである。そのため手術や放射線療法などの局所治療の効果は極めて限定的であり、化学療法が治療の中心となる。治療方針の違いにより病期は2つに分類される。

小細胞肺がんの病期分類病期分類所見治療方針
限局型 (Limited disease: LD)


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