肺炎
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原因肺炎レンサ球菌の電子顕微鏡写真

感染性肺炎は細菌性肺炎ウイルス性肺炎、真菌性肺炎に分けられる。一般に感冒上気道炎後の続発性肺炎は細菌性肺炎であるが、時にウイルスそのものによる肺炎・間質性肺炎をきたすことがある。

インフルエンザウイルス肺炎、コロナウイルス肺炎、麻疹肺炎など。病原体が原因ではない非感染性の肺炎にはアレルギー性の過敏性肺炎がある。
細菌MRSAによる肺炎のCT写真詳細は「細菌性肺炎」を参照

細菌は市中肺炎(CAP)で最も一般的な原因であり、その50%のケースでは肺炎レンサ球菌単独によるものであった[29][30]

その他の菌ではインフルエンザ菌(20%)、クラミジア(13%)、マイコプラズマ(3%)[29]ほか、黄色ブドウ球菌モラクセラ・カタラーリスレジオネラ菌グラム陰性菌などであった[11]

それが薬剤耐性菌であることも多く、薬剤耐性肺炎球菌(DRSP)や、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などと呼ばれている[13]

非定型肺炎

マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマによる肺炎。潜伏期2?3週間。統計は、院内肺炎ではなく市中肺炎が多い。検査は、血液検査では寒冷凝集反応や抗マイコプラズマ抗体の上昇を見る。胸部X線写真は区域性の所見を示さず、すりガラス状の間質性陰影を見ることが多い。ルーチン検査の喀痰培養検査でも検出できないので参考にならない。診断は、抗マイコプラズマ抗体の上昇で確定診断になる。


治療は、抗マイコプラズマ抗体が上昇するまで数日かかるため確定診断を待ってから治療するのでは遅いので、寒冷凝集反応から経験的治療に基づいて化学療法を行う。化学療法は抗生物質を用いる。マイコプラズマは細胞壁を持たないのでβ-ラクタム系等の細胞壁合成阻害薬は無効である。

また、アミノグリコシド系も気道移行性が悪いので無効である。マクロライド系、テトラサイクリン系、ケトライド系を第一選択薬とする。
ウイルス

肺炎は、成人では.mw-parser-output .frac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .frac .num,.mw-parser-output .frac .den{font-size:80%;line-height:0;vertical-align:super}.mw-parser-output .frac .den{vertical-align:sub}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}1⁄3、児童では15%がウイルスを原因としている[31]。一般的にはライノウイルスコロナウイルスインフルエンザウイルスRSウイルスアデノウイルス、パラインフルエンザなど[4][32]

単純ヘルペスウイルスではめったに起こらないが、例外として新生児、癌患者、臓器移植受容者、重度熱傷が挙げられる[33]

サイトメガロウイルスは、臓器移植患者や免疫不全患者に起こり得る[31][33]
菌類クリプトコッカス

ヒストプラスマ・カプスラーツム、ブラストミセス、クリプトコッカスニューモシスチスコクシジオイデスなどが挙げられる。
寄生虫

トキソプラズマ、糞線虫、回虫マラリア原虫など。以前原虫とされていたニューモシスチス肺炎は現在は真菌に分類される。
非感染性誤嚥性肺炎(右側下葉)

機械的肺炎

誤嚥性肺炎 (嚥下性肺炎)

閉塞性肺炎

吸入性肺炎


薬剤性肺炎[34]

インターフェロン - 間質性肺炎をきたすことがある。

抗がん剤

漢方薬


症候性肺炎

膠原病性肺炎 (関節リウマチにおけるリウマチ肺が代表)


その他

好酸球性肺炎、過敏性肺炎

化学性肺炎

フッ素化合物(防水スプレー)の吸引[35]



症状

発熱呼吸困難、全身倦怠感、胸部痛など。初期はのどの痛みはあまりないが、痰を排出しようと咳を繰り返すことで炎症を起こす場合がある。

しかし、高齢者の場合、発熱がみられないなど非典型的な症状を呈することが多く、食欲低下、何となく元気がない、といったちょっとした体調の変化をきっかけとして肺炎の診断につながる例も少なくないので注意が必要である。

症状の頻度[36]症状頻度
咳79?91%
疲労90%
熱71?75%
息切れ67?75%
喀痰60?65%
胸痛39?49%

診断画像診断にて見られる影

身体所見 (聴診所見など体の症状)、胸部X線写真、胸部CT、採血 (白血球数、CRP値、KL-6LDH)、喀痰培養など。従来は行われていなかったが超音波断層撮影の有用性が報告されている[37][38]

喀痰のグラム染色は有用と考えられ、好中球による貪食像(どんしょくぞう: 好中球が細菌を取り込んでいる像)は起炎菌の同定(原因となる病原体を特定すること)につながることもある(肺炎球菌では特に)。ただし、臨床研究では喀痰グラム染色と起炎菌とは一致しないと結論され、アメリカのガイドラインでは推奨されていない。

近年は迅速診断キットにより肺炎球菌レジオネラについては尿を検体(検査をする対象物)として検査が可能となった (商品名 BinaxNOW肺炎球菌、レジオネラ。溶血連鎖球菌の検査キットBinaxStrepAは咽頭粘液を検体とする)。

なお、肺炎の原因菌の中でも特殊な結核に付いては、常に鑑別にあげなければならない。結核を疑う場合は、チール・ニールセン染色(Ziehl-Neelsen stain)や蛍光塗抹検査、T-SPOTなどを行う。
分類

肺炎の分類としては、いくつかの異なった分類が存在する。
罹患場所による分類

市中肺炎(community-acquired pneumonia; CAP): 普通の生活のなかで発症した肺炎。なお、退院後2週間までに起こった肺炎は院内肺炎と見なす。これは原因菌の想定を妥当なものとするためである。

院内肺炎(hospital-acquired pneumonia; HAP): 医療機関で治療中の患者、他の疾患を持つ患者に発症した肺炎。なお、入院後48時間までに発症した肺炎は市中肺炎と見なす。これも原因菌の想定を妥当なものとするためである。

医療ケア関連肺炎(Healthcare-associated Pneumonia; HCAP): 老人ホームなどの医療・介護施設で発症した肺炎。[39]


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