聖霊
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第1ニカイア公会議(第一全地公会、325年)の頃から第1コンスタンティノポリス公会議(第二全地公会、381年)の頃にかけて、こうした三位一体論の定式が(論争はこの二つの公会議が終わった後もなお続いていたが)整理されていった[22][23]
「異端」とされた考え

本節では、いわゆる正統派から否定される諸説を概観する。「三位一体そのものを説明するよりも、三位一体でないもの(異端の教え)を説明し、それを否定する方がより正確」とされることがある[24]
三神論(聖霊は「三つの神のうちの一つ」)
いわゆる正統派によれば、聖霊は神であるが、父なる神・子なる神・聖霊は、三つの神ではないとされ、三位格は三神ではないとされる[24][25][26][27](なお、こうした「異端」が歴史上まとまった形で出現したことはないともされるが[28]、幾つかの事例につき「三重の神性」への傾斜として批判的に指摘されることはある[2])。
聖霊は一様式(mode)もしくは「一つの『役』」
「子なる神、聖霊は、時代によって神が自分を表す様式(mode)を変えていったもの」「一つの『役』のようなもの」と主張する考えは、様態論的モナルキア主義(英語: modalistic monarchianism)と呼ばれ、いわゆる正統派から否定される[24][29][30][31]
聖霊の神性は比較的劣っている
聖霊の神性は認めるものの、父なる神(神父:かみちち)、子なる神(神子:かみこ、イエス・キリスト)よりも劣った存在であるとする主張である。この主張を聖霊について採るアリウス派は、子なる神も父なる神より劣ったものとした。アリウス派は第1コンスタンティノポリス公会議でいわゆる正統派から異端とされたが、聖霊の神性が比較的劣っているという教説も併せて否定されている[2][32]
聖霊は神ではない
聖霊の神性を否定した人々は「聖霊神性否定論者(英語版)、プネウマトマコイ」[33][34][35]ギリシア語: Πνευματομ?χοι[注 7])、もしくは主唱者であったコンスタンディヌーポリ総主教の名から「マケドニオス主義者」と呼ばれる[34][36]、第1コンスタンティノポリス公会議でいわゆる正統派から異端とされた[34]。「聖霊は神の活動力だ」などと主張する団体もある[37]
カトリック教会における聖霊信心

カトリック教会において、「来たり給え、創造主なる聖霊よ」(羅:Veni Creator Spiritus)のような聖霊を賛美するグレゴリオ聖歌は有名であり、また聖霊が使徒らに降った聖霊降臨という祝日が盛大に祝われる[38]

その祝日に向けて、「聖霊への十日間の祈り」の信心が多くの国では根付いている[39]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 「神゜」は「神」に半濁点の「゜」(ただし厳密には半濁点ではない。詳細は「天の王」を参照。
^ a b 神゚は「神」に半濁点の「゜」をつけたもので、唯一神と区別するために付す。
^ : ?γιο Πνε?μαは「聖なるプネウマ(霊)」、: Holy Spiritも聖なるスピリット(霊)」であって、「精」の字(「精霊」)は教会で使われないのみならず、語義的にも不適切である。
^ 聖大バシレイオス(聖大ワシリイ)は、「第一に、第二に、第三に」「一つには…、二つには…、三つには…」といった数え方・言及の仕方を三位一体に適用することに批判的である。彼はその根拠として、マタイによる福音書28章19節を挙げ、そこでイエス・キリストが「父と子と聖霊」を述べる際に数を伴わせていない事を挙げている。
^ (hypostasis):古典ギリシア語再建音からはヒュポスタシス、現代ギリシア語からはイポスタシスと転写し得る。
^ 転写:ペルソナ
^ (Pneumatomachoi):古典ギリシア語再建音からはプネウマトマホイ、現代ギリシア語からはプネヴマトマヒと転写し得る。

出典^ a b c d “聖神”. 日本正教会. 2015年9月24日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2019年6月22日閲覧。
^ a b c d e “ ⇒Holy Ghost”. CATHOLIC ENCYCLOPEDIA. 2019年6月22日閲覧。
^ a b “Holy Spirit”. ENCYCLOPEDIA BRITANICA. 2019年6月22日閲覧。
^ “牧師東西南北( 2002年6月2日 週報より)”. 2014年10月18日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2019年6月22日閲覧。
^ “ ⇒キリスト教こんにゃく問答X「聖霊」”. 日本キリスト教団 行人坂教会. 2019年6月22日閲覧。
^ ゴンサレス 2010, p. 278.
^ 日本カトリック司教協議会教理委員会 2008, p. 220(685節).
^ バシレイオス 1980, pp. 125?126.
^ “ ⇒NPNF2-08. Basil: Letters and Select Works”. Christian Classics Ethereal Library. 2019年6月22日閲覧。
^ “聖霊、私たちを愛へと導く愛”. opusdei.org. 2021年5月14日閲覧。
^ Vladimir Lossky (ウラジーミル・ロースキイ) 1997, p. 56
^ マッキム 2009, p. 281.
^ 久松 2012, pp. 184?187.
^ a b c Crawford Gribben (2007-08-16). God's Irishmen: Theological Debates in Cromwellian Ireland. Oxford University Press. p. 133. ASIN B001DU7GVM 
^ a b マッキム 2009, p. 278.
^ ゴンサレス 2010, p. 156.


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