聖遺物(せいいぶつ、羅: Reliquiae、英: Relic)は、キリスト教の教派、カトリック教会において、イエス・キリストや聖母マリアの遺品、キリストの受難にかかわるもの、また諸聖人の遺骸や遺品をいう。これらの品物は大切に保管され、日々の祭儀で用いられてきた。聖遺物のうち聖人の遺骸については、正教会での不朽体に相当する。古代から中世において、盛んに崇敬の対象となった。 聖人崇敬は2世紀半ば頃にローマ帝国におけるキリスト教の迫害で命を落とした殉教者の遺体を信徒が手厚く葬ってその生涯と徳をたたえ、信仰生活の模範として仰いだことに始まる。信徒たちは聖人の命日に墓に集まり儀式を執り行った。やがて殉教者の遺体を中心に聖堂が建立されるようになった。4世紀にキリスト教がローマ帝国の国教となってのち、殉教者や神意にかなった生き方を貫いたとみなされる聖職者や信徒に、死後「聖人」の称号が与えられるようになった。そして聖人とその遺物に加護と神への取り次ぎを求める様々な宗教実践が形成されていった。これには日々の願掛け、治癒の奇跡などが含まれる。 8世紀にはキリスト教でもっとも重要な祭儀である「聖餐」を執り行う主祭壇の下には、聖人の遺体か、少なくともその一部が埋葬されていなくてはならないと定められた。このため聖堂を建てるときには聖遺物の入手が不可欠となった[1]。 フランス革命では多くの寺院が聖像破壊運動によって破却された。その後、ナポレオンとローマ教皇ピウス7世のもとで結ばれたコンコルダート
初期の信仰
入手の必要性と手段