聖公会
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修道士修道会制度が存在する(一旦ほとんど廃止され、19?20世紀になってから復興された[15])。アングリカン・ベネディクト会、アングリカン・フランシスコ会などが存在する[16]

聖職者の祭服アルブストールなど)や、聖堂の様式(ほとんど必ず中央奥に祭壇と聖卓がある)などはカトリックとほとんど同じである。

教会暦の概念があり、時節によって定められた祭色を用いる。

礼拝の式次第は、幾度もの変遷を遂げているが、現行のものは特に聖餐式に関しては、おおよそローマ典礼(英語版)(カトリック教会のミサ)に準拠した形式となっている。また、朝の祈りでは「ザカリヤの賛歌」(ベネディクトゥス・ドミヌス・デウス)、夕の祈りでは「マリヤの賛歌」(マニフィカト)、就寝前の祈りでは「シメオンの賛歌」(ヌンク・ディミティス)が主に歌われまたは唱えられるのは、カトリックの聖務日課から受け継いだ形式である。

聖餐には原則的に薄い種無しパン(ホスチア、ホースト、ウェファー)とアルコール発酵したぶどう酒が用いられる。

儀礼の中では聖餐を何よりも重要視し、原則的に毎主日(教会によっては毎朝)聖餐式が行われる。

教名(一般的には洗礼名、または教名の風習がない教派からの転会者は堅信に際して名付けられる)、また教父母の風習がある。

多くの教会で、「聖○○教会」という具合に、特定の守護聖人に因んだ名が付けられる。

公祷の祈祷文は、原則的に全て成文祈祷であり、一冊の祈祷書にまとめられている(一冊の祈祷書に全ての成文祈祷を載せるという形式は、聖公会発祥である)。

主日の聖餐式や週日の朝・夕の祈りでは、その日に朗読される聖書箇所(聖書日課)が全て定められている。

逝去者のための祈り(レクイエム)を行う。

グレゴリオ聖歌の旋律に由来する聖歌がある[注 3]

以下、主に「ハイ・チャーチ」と呼ばれる教会に見られる特徴


聖像を認めており、イエス・キリスト聖母マリア、その聖堂の名前の由来になった聖人、天使などの絵や彫像を、祭壇やステンドグラス、バナー(旗)などに用いる場合がある。

聖餐を伴う礼拝(聖餐式)のことを、英語ではMass(ラテン語の「ミサ:Missa」と同語)と呼ぶことがあり、日本語でも稀にミサと呼ぶ場合がある[18]

礼拝中、特定の箇所で十字を切る、ひざまづく、立つなどの決まった所作がある。

陪餐の際に、分餐者の前でひざまづいて、分餐者の手から信徒の口で聖体を拝領する場合がある。

礼拝中、振り香炉抹香)やトーチ(行列用の手持ち蝋燭)を用いる場合がある。

礼拝中の全てまたはほとんどの祈祷文を、旋律を付けて朗唱(唱詠司式/チャンティング:Chanting/コーラル・サーヴィス:Choral Service)する場合がある。こうした盛式聖餐式を、「ハイ・マス」(High Mass)・「荘厳ミサ」(Solemn High Mass)や「歌ミサ」(Sung Mass)と呼ぶ。対義語は「ロー・マス」(Low Mass)である[19]

現在、多くの聖公会は、司式者と会衆が向かい合って行われる対面司式であるが、司式者が祭壇に向かい会衆に背を向けて司式する背面司式を行う場合も稀にある。

司祭に対する敬称として、神父・Fatherと呼ぶ場合がある。(多くの教会では「司祭」あるいは「○○先生」と呼ぶ。稀に牧師と呼ぶ場合もあるが、聖公会における「牧師」(Rector)はプロテスタントの用語とは異なり、カトリックにおける主任司祭、即ち、その教会の管理者たる司祭という意味である。)[20](詳細は「牧師#呼称と役職の教派別対照表」および「牧師#聖公会の牧師」を参照)

プロテスタント的な側面

ローマ教皇首位権を認めず、また聖公会内に教皇のような絶対的指導者を置かず(カンタベリー大主教が名誉としての筆頭聖職者ではある)、原則として国や地域ごとに置かれた各教会のゆるやかな連合体(アングリカン・コミュニオン)として成り立っている。

聖母マリア無原罪の御宿り被昇天の教義を認めない。

煉獄の教義を認めない。

聖餐式は、聖職も信徒も等しく、原則的にパンとぶどう酒の二種陪餐(両形色)である。

聖体」を、聖餐式の中で飲食する以外の目的で用いること(聖体賛美式など)は行わない。

礼拝は原則的に各国語で行われる。

公会議は、第4回目のカルケドン公会議まで、あるいは第7回目の第2ニカイア公会議までのみを認める[注 4]

聖職者の結婚を認める(修道士を除く)。

個人懺悔を義務とせず、懺悔のあとに行動による「償い」も課さない。

離婚・再婚を認める。

(ここ数十年の間の変革であるが、)女性聖職者を認めつつある。

これら「プロテスタント的な側面」の多く(ことに前半部分)は、正教会とも類似する要素である。
中間的な側面

旧約聖書はいわゆる「続編」を含み、礼拝中の聖書朗読でも普通に旧約聖書として扱われるが、「この部分を元に教義を建てない」という原則も持っており、聖典とは区別している[23]

聖奠(サクラメント)洗礼聖餐の2つとするが、堅信聖職按手聖婚個人懺悔病人の按手および塗油の5つを「聖奠的諸式」(Sacramental Rites)と称して、実質的にはサクラメントに準ずる、聖霊の恵みを伴う神秘的儀礼として認めている。

聖餐論に関しては個々の聖職者や信徒によって様々な理解がなされているが、概して、カトリックの全実体変化説も、一部プロテスタントの象徴説からも距離を置く。ただ、聖餐式の式文中には、「イエス・キリストの肉を食し、その血を飲み」や「主イエス・キリストの体/血」などといった語句が用いられている。(詳細は「聖餐論#聖公会の聖餐理解」を参照)

聖人の概念があり、聖人崇敬を否定しないが、義務ともしない。また、聖母マリアや聖人に対する執り成しの祈りも公祷においてはほとんど行わない(但し、聖歌隊によるアンセムでは、「アヴェ・マリア」などが歌われることがある)。聖公会として公式に記念する聖人は、宗教改革以前の人物がほとんどで、カトリックや正教会などよりも限定的である。しかし、これは認めないということではなく、「諸聖徒の交わり」として尊重している。例えば、教名に、カトリックでのみ、あるいは正教会でのみ認定されている聖人や福者らの名を用いることなどもできる場合がある。

聖書のみ」ではなく、「聖書」・「伝統」・「理性」の3つを信仰の柱とする[24][注 5]。3つめの「理性」をも重んずるところから、自由主義神学的な信仰理解をする者が比較的多い。

礼拝中に歌われる歌(Chant, Hymn)のことを、漢語では「讃美歌」ではなく「聖歌」と訳す(カトリック、正教会と同様)が、その多く(英語では"Hymn"と称するもの)は、ルター派のコラールに類似した、全会衆で唱和する平易な歌である。(但し、聖歌隊によるアンセムでは、カトリック由来のラテン語多声聖歌も歌われることがある。)また、祈祷文や詩編唱唱詠において(英語では"Chant"と称するもの)は、アングリカン・チャント(英語版)と呼ばれる、ホモフォニックかつメリスマをあまり用いずシラビックで平易な和声聖歌の伝統がある[27][28]

歴史「イングランド教会史」および「イングランド国教会#イングランドのキリスト教史」も参照
古代?中世初期長野聖救主教会:屋根にケルト十字が掲げられている


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